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一晩目
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ベットに横たわりながら丸い照明を見ていた。
明かりはついてない為ただの丸いプラスチックだ。
その横に小さなシミがあり、更に隣にはヒビが入っていた。
探せば天井のそこら中にあった。それらはまるで夜空のように見ようと思えば見えなくもなかった。丸い照明が月でシミは星、ヒビが雲だ。
窓から差し込む光はいつの間にか赤くなっている。
芳樹君が居なくなったのは確か5時ほどだったか。
俺は今この部屋で一人になってから一時間が経っていた。
特にすることも無い為ベットに横たわりながら天井を見て暇を潰していたが流石に限界を感じ始めていた。
「うぁぁぁぁ」
声を出しながら起き上がる。声を出した理由は無音だと怖いからだ。自分を奮い立たせるため、そしてこの家に潜んでいるかもしれない何かに威嚇する為。
最初は良かった。芳樹君がいたのもあるが家の中はそんなに悪い雰囲気ではなかった。
しかし芳樹君がいなくなった途端、この家が非常に恐ろしく感じられた。
それが本当に家が変わったのかそれとも俺が一人になり恐怖しているだけなのか。
ドアの前に行きドアノブに手をかけ、一気に押し開いた。
冊子からの赤い夕陽と薄暗い室内。
その空間はなんとも言えない雰囲気を醸し出していた。それは感覚的なものでまるで異界に迷い込んだ様な現実感が薄れたある意味幻想的な異様な空気だった。それは本能的な危機感を感じさせた。
そんな感覚に反して身体は動かない。力が入らないわけでも金縛りの様に力みすぎているわけでもない。
動く気がしないのだ。頭の片隅では危機感があるがそれを何か別のものが邪魔している様な感覚。
しかし焦っていないわけでは無い。片隅では危機感からくる逃走衝動と動かない事への焦燥感が高まっている。
視線は真正面のドア。確か芳樹くんがトイレだと言っていた場所だ。
何故そこに視線がいったのか、それはわからない。ただ、ドアをずっと見続けていた。
木製の木の板に銀色のドアノブが付いたなんの変哲のない代物。
ドアノブがゆっくりと動き出した。
こちらから見て左に伸びたドアノブがゆっくり、ゆっくりと下に向かっていく。
脳が一気に働き情報が交錯する。
芳樹くんは確かに帰ったはずだ、幽霊なんているわけ無い、もし居たら?、20万なんておかしい。
ドアノブが下まで90度回り扉が開き出した。
そこで危機感が何かを超えた。すぐに後ろに下がりドアを閉めた。
息は上がっていた。目の前の扉を見つめる。
頭の中はぐちゃぐちゃだった。しかしある思いが次第に強くなって動き回る脳みそを落ち着かせ始めた。
逃げたい。全てを投げ出してこの家から逃げ出したい。
そんな思いに駆られた。
そんな状態が長く続いた、次第に恐怖は薄れていきこのままではどうしようもないと思い始めた。
ただの見間違いだったのではないか。それならば俺はただの馬鹿だ。逃げるにしてもこのドアを開きあのリビングを通らなければならない。早くしないと陽が完全に沈んでしまう。一瞬窓を開けて逃げようかとも思ったが辞めておいた。それは格好悪すぎる。
意を決してドアノブに手を掛ける。逃げる逃げないどちらにしても開けなければならない。
ドアを力一杯開けた。
リビングが視界に広がり正面のドアを見やる。ドアはしっかりと閉じていた。
リビングも先ほどの様な空気は消えただの薄暗い部屋になっていた。
緊張に支配されいた身体は脱力し脳に一気に安心感が流れ込んでくる。
大きなため息に似た呼吸と馬鹿馬鹿しさ。
思わず口角が上がってしまう。
自室に入りベッドに横になると何か自信めいた感情が湧き上がっていた。
大丈夫、何も心配する事はない。これが終われば20万が手に入る。
一週間後の事を考えればどんな事でも耐え、乗り越えらる気がしていた。
明かりはついてない為ただの丸いプラスチックだ。
その横に小さなシミがあり、更に隣にはヒビが入っていた。
探せば天井のそこら中にあった。それらはまるで夜空のように見ようと思えば見えなくもなかった。丸い照明が月でシミは星、ヒビが雲だ。
窓から差し込む光はいつの間にか赤くなっている。
芳樹君が居なくなったのは確か5時ほどだったか。
俺は今この部屋で一人になってから一時間が経っていた。
特にすることも無い為ベットに横たわりながら天井を見て暇を潰していたが流石に限界を感じ始めていた。
「うぁぁぁぁ」
声を出しながら起き上がる。声を出した理由は無音だと怖いからだ。自分を奮い立たせるため、そしてこの家に潜んでいるかもしれない何かに威嚇する為。
最初は良かった。芳樹君がいたのもあるが家の中はそんなに悪い雰囲気ではなかった。
しかし芳樹君がいなくなった途端、この家が非常に恐ろしく感じられた。
それが本当に家が変わったのかそれとも俺が一人になり恐怖しているだけなのか。
ドアの前に行きドアノブに手をかけ、一気に押し開いた。
冊子からの赤い夕陽と薄暗い室内。
その空間はなんとも言えない雰囲気を醸し出していた。それは感覚的なものでまるで異界に迷い込んだ様な現実感が薄れたある意味幻想的な異様な空気だった。それは本能的な危機感を感じさせた。
そんな感覚に反して身体は動かない。力が入らないわけでも金縛りの様に力みすぎているわけでもない。
動く気がしないのだ。頭の片隅では危機感があるがそれを何か別のものが邪魔している様な感覚。
しかし焦っていないわけでは無い。片隅では危機感からくる逃走衝動と動かない事への焦燥感が高まっている。
視線は真正面のドア。確か芳樹くんがトイレだと言っていた場所だ。
何故そこに視線がいったのか、それはわからない。ただ、ドアをずっと見続けていた。
木製の木の板に銀色のドアノブが付いたなんの変哲のない代物。
ドアノブがゆっくりと動き出した。
こちらから見て左に伸びたドアノブがゆっくり、ゆっくりと下に向かっていく。
脳が一気に働き情報が交錯する。
芳樹くんは確かに帰ったはずだ、幽霊なんているわけ無い、もし居たら?、20万なんておかしい。
ドアノブが下まで90度回り扉が開き出した。
そこで危機感が何かを超えた。すぐに後ろに下がりドアを閉めた。
息は上がっていた。目の前の扉を見つめる。
頭の中はぐちゃぐちゃだった。しかしある思いが次第に強くなって動き回る脳みそを落ち着かせ始めた。
逃げたい。全てを投げ出してこの家から逃げ出したい。
そんな思いに駆られた。
そんな状態が長く続いた、次第に恐怖は薄れていきこのままではどうしようもないと思い始めた。
ただの見間違いだったのではないか。それならば俺はただの馬鹿だ。逃げるにしてもこのドアを開きあのリビングを通らなければならない。早くしないと陽が完全に沈んでしまう。一瞬窓を開けて逃げようかとも思ったが辞めておいた。それは格好悪すぎる。
意を決してドアノブに手を掛ける。逃げる逃げないどちらにしても開けなければならない。
ドアを力一杯開けた。
リビングが視界に広がり正面のドアを見やる。ドアはしっかりと閉じていた。
リビングも先ほどの様な空気は消えただの薄暗い部屋になっていた。
緊張に支配されいた身体は脱力し脳に一気に安心感が流れ込んでくる。
大きなため息に似た呼吸と馬鹿馬鹿しさ。
思わず口角が上がってしまう。
自室に入りベッドに横になると何か自信めいた感情が湧き上がっていた。
大丈夫、何も心配する事はない。これが終われば20万が手に入る。
一週間後の事を考えればどんな事でも耐え、乗り越えらる気がしていた。
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