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見てはいけない物を目撃する私
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それは春の陽気が根こそぎ隅に追いやられた様な蒸し暑い日だった。まだ六月に入ったばかりなのにこの湿気。
クラス内では、皆口々に異常気象だのダルいだの好き放題に不平を漏らしていた。そんな普通のコミュニケーションの輪に入れる筈も無い私は、自分の机だけが世界の全てと言わんばかりに椅子に座ったまま身動き一つしなかった。
「今日は蒸すね。ゆりえちゃん」
私の隣に座るクラスでナンバーワンの美少女、国岩頭ユリアが下敷で顔をあおぎながら私に話しかける。
私がユリアと幼稚園が一緒でこの娘の天然の性格を知っていなければ「ブスでクラスで孤立している私に慈悲かボランティアで話しかけてんの? この超リア充上から目線女!」と、ひねくれた考えをしただろう。
ユリアは幼稚園の時の無邪気な性格のままだ。多分この世界の大多数の人間達と違い、私の事を他の皆と同じく分け隔てなく認識していると思われた。
······でも時々、隣の席のユリアから私は視線を感じる事があった。あれ? これって幼稚園の時も同じ事があった様な。
「ねえ。ゆりえちゃんはお昼の時間、どこでお弁当食べているの? いつも見かけないけど」
ユリアが可愛らしいピンクのハンカチで額を拭いながら私に質問する。ユリア。簡単な事よ。
私はこのクラスで居場所が無いから人気のない屋上で食べているの。幾ら天然だからってそこは察してよ。ハーフの美少女よ。
「そっかあ。屋上かあ。気持ち良さそうだね」
ユリアのこの邪気の無い笑顔は「私も屋上で食べてみようかな」と言う前ふりだった。その事を、私は程なくして気づく事となった。
「本当だあ。ゆりえちゃん。外で食べるの気持ちいいね」
朝から曇っていた空から太陽が元気良く顔を出していた昼間。私は何故か屋上でユリアとランチを共にしていた。
何故かユリアは私の肩に触れる程ピッタリと接近していたが、この時の私は特に気にしていなかった。
幾ら人気が無いとは言え、私達と同じ様に屋上にいる数人の生徒達がこちらを見る。当然だろう。
美少女と小太りなブスとの組み合わせ。衆目を集めるのは当然だ。私はひっそりとお弁当を食べたいのに。
「あ。いたいた。小田坂さん!」
精神的に疲弊し、お弁当のお米の味がゴムのように感じていた私の前に、鶴間君が笑顔で現れた。
え!? そして鶴間君のすぐ後ろには北海の姿もあった。な、なな何で二人が屋上に!?
「ごめんね。小田坂さん。さっき国岩頭さんとの会話を聞いちゃって。僕達も一緒していいかな?」
鶴間君は爽やか過ぎる笑顔でユリアの隣に座った。鶴間君はお弁当を広げ。そして北海君はパンをかじる。
左から順に小太りの私。ハーフの美少女。イケメン鶴間君。無愛想な北海君が並び昼食を摂っている。
幼少の頃より孤立し、他人とのコミュニケーション能力が欠落している私にとって、この未知の状況は苦痛でしか無かった。
ユリアと鶴間君中心の会話を、私は異世界の出来事の様に聞いていた。
「北海君はもう少し愛想良くしたら? 女子達が怖がってるよ?」
ユリアがこの機会を利用して、クラスの女子達の代弁を試みる。
「別に。好かれようとは思わねーよ」
食べるのが早い北海君は、最後のパンの欠片を口に放り込みながら素っ気なく答える。か、格好いい! さすが硬派だわ。北海君は。
「そっかあ。北海君の事を気にしている女子、何人かいるのになあ」
な、なぁにぃぃ!? そうなの? そうなののユリア!? 北海君を狙っている女子がいるの!?誰? どこの誰? その何人って具体的に誰なの!?
ゴン。
聴覚を人生最大にフル稼働させていた私の頭を、金髪男が拳で小突いた。い、痛いわね! 何すんのよ六郎!!
私の隣に立つ長身の金髪男は無言で私を睨む。ち、違うわよ? 私は別に北海君の女子人気について知ろうなんて思っていないわよ?
話題はいつの間にか変わり、鶴間君が北海君の頑固さを面白おかしく話していた。鶴間君は六郎を見えていないかの様に振る舞っていた。
気づけば太陽の日差しが私達に降り注いでいた。私は気配を消しながら立ち上がる。行儀よく座るユリアに陰がかかった。
『······何してんだ? 小田坂ゆりえ』
六郎が心の中で質問して来る。え? いや。だってユリアの白い肌が日焼けしちゃうし。私とお昼ご飯食べる為に日焼けするの申し訳ないって言うか。
『······アンタは日焼けしてもいいのか?』
六郎がフェンスに背を預けたまま再び問いかける。い、いいわよ。私は。小太りなブスが日焼けした所で実害ないし。
でも流石に今日は暑いわ。ジリジリとローストされる小豚ってこんな気持ちかしら。強い日差しを全身に浴びながら、私はそんな自虐的な事を考えていた。
すると、急に私の身体に陰がかかった。あれ程威勢が良かった太陽が隠れたのかな? 私は空を見上げると、そこには傘があった。
私は視線を上から横に移す。私の隣で、六郎が傘をさしていた。そして私をその傘の中に入れていた。
『······六郎』
『小田坂ゆりえ。アンタはもっと自分を大事にしろ。アンタが犠牲になる理由なんて一つも無い』
六郎はそっぽを向きながらそんな言葉を私にかけた。今日は季節外れの蒸し暑い日の筈だった。
でも。この時の私の心は、春の陽気の様な暖かさに包まれていた。グランドから生徒達の楽しそうな声が微かに聞こえた。
柔らかい空気が一瞬張り詰め、私はこの瞬間、何故か時間が止まっている様な感覚を覚えていた。
······それからユリアは暑いと言って教室に戻った。その時ユリアは一瞬、鶴間君と北海君を睨みつけた様に私には見えた。
私は見間違いだろうとさして深く考えなかった。それから空は再び雲に覆われた。六郎も姿を消し、屋上に残った私と鶴間君、そして北海君の三人はいつの間かうたた寝をしていた。
私はその時夢を見ていた。夢の中で六郎が小学生くらいの女の子に抱きつかれていた。女の子は凄く楽しそうだった。六郎も笑いながら女の子の頭を撫でる。
······ふーん。六郎って。こんな風に笑うんだ。私には笑顔なんて見せた事ないのに。そんな夢は突然途切れ、私は現実世界に舞い戻る。
寝ぼけ眼で隣を見ると、鶴間君の背中が見えた。そうか。鶴間君もお昼寝しちゃったのね。
鶴間君はフェンスにもたれ眠る北海君の横顔に少しずつ近付く。あ、分かった。北海君の耳元で大声を出して驚かせるつもりなのね。
鶴間君って結構悪戯好きなのね。北海君の驚いた顔が目に浮び、私は微笑ましくなって笑ってしまった。
鶴間君は両手を地面に着きながら、北海君の頬に静かにキスをした。
······え?
〘BL。私は意識しつつもその世界に敢えて近づかなかった。避けていた訳では無い。むしろその底無しの魅力にハマるのが怖かったのだ。
ある小説サイトでペンネーム電柱柱さんと言う作者の「八重歯の神様はきまぐれ」と言う小説を読んだ。ある大学生同士のカップルが、神の気紛れで彼女が男に変わってしまうと言うぶっ飛んだ設定だ。
彼は男に変わった彼女をそれでも愛し続ける。ここで私は気付いた。これBLだよね? と。作者電柱柱さんは小説の前説にBL要素があると一言も。一文字も書いて無かった。
······これは作者電柱柱さんの罠だ。私はそう確信した。普通の恋愛小説と思わせ、私の様なBL小説未経験者をその魅力に引きずり込む巧妙な罠だったのだ。
電柱柱さんの策略にはまった私は、即座に小説を読むのを中断しようとした。だが時既に遅し。
三十話まで公開されている話を一気に読破した私は、更新の遅い電柱柱さんに催促のメッセージを送る痛いファンと成り果てた〙
ゆりえ 心のポエム
クラス内では、皆口々に異常気象だのダルいだの好き放題に不平を漏らしていた。そんな普通のコミュニケーションの輪に入れる筈も無い私は、自分の机だけが世界の全てと言わんばかりに椅子に座ったまま身動き一つしなかった。
「今日は蒸すね。ゆりえちゃん」
私の隣に座るクラスでナンバーワンの美少女、国岩頭ユリアが下敷で顔をあおぎながら私に話しかける。
私がユリアと幼稚園が一緒でこの娘の天然の性格を知っていなければ「ブスでクラスで孤立している私に慈悲かボランティアで話しかけてんの? この超リア充上から目線女!」と、ひねくれた考えをしただろう。
ユリアは幼稚園の時の無邪気な性格のままだ。多分この世界の大多数の人間達と違い、私の事を他の皆と同じく分け隔てなく認識していると思われた。
······でも時々、隣の席のユリアから私は視線を感じる事があった。あれ? これって幼稚園の時も同じ事があった様な。
「ねえ。ゆりえちゃんはお昼の時間、どこでお弁当食べているの? いつも見かけないけど」
ユリアが可愛らしいピンクのハンカチで額を拭いながら私に質問する。ユリア。簡単な事よ。
私はこのクラスで居場所が無いから人気のない屋上で食べているの。幾ら天然だからってそこは察してよ。ハーフの美少女よ。
「そっかあ。屋上かあ。気持ち良さそうだね」
ユリアのこの邪気の無い笑顔は「私も屋上で食べてみようかな」と言う前ふりだった。その事を、私は程なくして気づく事となった。
「本当だあ。ゆりえちゃん。外で食べるの気持ちいいね」
朝から曇っていた空から太陽が元気良く顔を出していた昼間。私は何故か屋上でユリアとランチを共にしていた。
何故かユリアは私の肩に触れる程ピッタリと接近していたが、この時の私は特に気にしていなかった。
幾ら人気が無いとは言え、私達と同じ様に屋上にいる数人の生徒達がこちらを見る。当然だろう。
美少女と小太りなブスとの組み合わせ。衆目を集めるのは当然だ。私はひっそりとお弁当を食べたいのに。
「あ。いたいた。小田坂さん!」
精神的に疲弊し、お弁当のお米の味がゴムのように感じていた私の前に、鶴間君が笑顔で現れた。
え!? そして鶴間君のすぐ後ろには北海の姿もあった。な、なな何で二人が屋上に!?
「ごめんね。小田坂さん。さっき国岩頭さんとの会話を聞いちゃって。僕達も一緒していいかな?」
鶴間君は爽やか過ぎる笑顔でユリアの隣に座った。鶴間君はお弁当を広げ。そして北海君はパンをかじる。
左から順に小太りの私。ハーフの美少女。イケメン鶴間君。無愛想な北海君が並び昼食を摂っている。
幼少の頃より孤立し、他人とのコミュニケーション能力が欠落している私にとって、この未知の状況は苦痛でしか無かった。
ユリアと鶴間君中心の会話を、私は異世界の出来事の様に聞いていた。
「北海君はもう少し愛想良くしたら? 女子達が怖がってるよ?」
ユリアがこの機会を利用して、クラスの女子達の代弁を試みる。
「別に。好かれようとは思わねーよ」
食べるのが早い北海君は、最後のパンの欠片を口に放り込みながら素っ気なく答える。か、格好いい! さすが硬派だわ。北海君は。
「そっかあ。北海君の事を気にしている女子、何人かいるのになあ」
な、なぁにぃぃ!? そうなの? そうなののユリア!? 北海君を狙っている女子がいるの!?誰? どこの誰? その何人って具体的に誰なの!?
ゴン。
聴覚を人生最大にフル稼働させていた私の頭を、金髪男が拳で小突いた。い、痛いわね! 何すんのよ六郎!!
私の隣に立つ長身の金髪男は無言で私を睨む。ち、違うわよ? 私は別に北海君の女子人気について知ろうなんて思っていないわよ?
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気づけば太陽の日差しが私達に降り注いでいた。私は気配を消しながら立ち上がる。行儀よく座るユリアに陰がかかった。
『······何してんだ? 小田坂ゆりえ』
六郎が心の中で質問して来る。え? いや。だってユリアの白い肌が日焼けしちゃうし。私とお昼ご飯食べる為に日焼けするの申し訳ないって言うか。
『······アンタは日焼けしてもいいのか?』
六郎がフェンスに背を預けたまま再び問いかける。い、いいわよ。私は。小太りなブスが日焼けした所で実害ないし。
でも流石に今日は暑いわ。ジリジリとローストされる小豚ってこんな気持ちかしら。強い日差しを全身に浴びながら、私はそんな自虐的な事を考えていた。
すると、急に私の身体に陰がかかった。あれ程威勢が良かった太陽が隠れたのかな? 私は空を見上げると、そこには傘があった。
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『······六郎』
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六郎はそっぽを向きながらそんな言葉を私にかけた。今日は季節外れの蒸し暑い日の筈だった。
でも。この時の私の心は、春の陽気の様な暖かさに包まれていた。グランドから生徒達の楽しそうな声が微かに聞こえた。
柔らかい空気が一瞬張り詰め、私はこの瞬間、何故か時間が止まっている様な感覚を覚えていた。
······それからユリアは暑いと言って教室に戻った。その時ユリアは一瞬、鶴間君と北海君を睨みつけた様に私には見えた。
私は見間違いだろうとさして深く考えなかった。それから空は再び雲に覆われた。六郎も姿を消し、屋上に残った私と鶴間君、そして北海君の三人はいつの間かうたた寝をしていた。
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鶴間君はフェンスにもたれ眠る北海君の横顔に少しずつ近付く。あ、分かった。北海君の耳元で大声を出して驚かせるつもりなのね。
鶴間君って結構悪戯好きなのね。北海君の驚いた顔が目に浮び、私は微笑ましくなって笑ってしまった。
鶴間君は両手を地面に着きながら、北海君の頬に静かにキスをした。
······え?
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彼は男に変わった彼女をそれでも愛し続ける。ここで私は気付いた。これBLだよね? と。作者電柱柱さんは小説の前説にBL要素があると一言も。一文字も書いて無かった。
······これは作者電柱柱さんの罠だ。私はそう確信した。普通の恋愛小説と思わせ、私の様なBL小説未経験者をその魅力に引きずり込む巧妙な罠だったのだ。
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