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第1章 ~転生しました。~
異世界の狼は喋るらしい
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血を出し過ぎたのかな。
狼が喋ってるように聞こえる。
そりゃ日本じゃないみたいですからね?
異世界っぽいみたいですからね?
だからって狼が喋りますか。
ほっぺをつねってみる。
痛い。
いや現実逃避をしてるのはわかってるよ?
でも目を逸らしたくなるときもあるじゃん。
だって人間だもの。
人間だよね?
もう自分すらも信じられなくなってきた。
見た感じ人間っぽいけど鏡で確認したわけじゃないしね。
顔を触った感じは異常なく人間と思われる形をしていた。
「何をしているかはわからぬが取り急ぎ傷を治した方が良いのではないか?」
また狼が話しかけてきた。
どうやら今のとここの狼におれを食べようという感じは見受けられない。
周りに頼りになるものもわからないから今はこの狼を頼ってみようか。
「治せるんですか?」
「ふむ。」
そういうと狼はこちらに近付いてきた。
最低限の警戒はしつつ狼の行動を見つめていた。
狼が目の前に来るとその大きさに圧倒されそうになる。
たぶん大人だった自分よりも2倍以上大きいかも。
でもそれ以上にその姿に圧倒されてしまった。
銀色の毛並みはとても艶々していて思わずモフモフしたくなる欲求にかられてしまう。
また近くで見る瞳は、吸い込まれそうなほど澄んだ青色をしていた。
気付いたら狼の顔がすぐ目の前に迫っていた。
体を強張らせているとふいに狼の鼻先が体に触れた。
すると徐々に体が温かくなってきた。
さっきまでの冷や汗の出るような熱さとは違う。
心から安心できるようなそんな温かさに全身が包まれたのだ。
「ふむ。これで大丈夫だろう。背中の傷は時間が経ちすぎておるゆえ傷痕が残ってしまうかもしれぬがな。」
ふいの温もりに心奪われていると狼が喋りかけてきた。
「あの、ありがとうございました。このままじゃやばかったと思うので助かりました。」
「人間の子にしては妙に礼儀を弁えておるな。して人の子よ。名はなんと言うのだ。いつまでも人の子と呼ぶのは面倒であるしお前も名で呼ばれた方が良いであろう。」
狼に名乗っていいのかな?
それよりもおれの名前って何だろう。
この体の記憶なんてないし。
とりあえず今おれが認識できている名前を名乗ればいいかな。
「僕は大神次郎と言います。」
「ふむ。オオガミジローと呼べば良いのだな?」
「あっいえ、大神が姓で次郎が名前です。」
「姓が付くとは貴族の子か。ではジローと呼べばよいな。」
ん?
普通は名字付かないのかな。
勝手に貴族に昇進してしまった。
普通の平社員ですが。
「姓が付くと貴族になるんですか?」
「そういう訳ではないが姓が付くのは貴族の場合が多いはずだ。そのようなことを聞くとは賢いのか賢くないのかわからぬな。」
今馬鹿にされたのかな?
だけど賢いとか賢くないとか以前にこの体になってからまだ10分ぐらいだからね。
そりゃ分からないことの方が多いでしょ。
それよりも狼の名前も聞いていいのかな?
いつまでも狼さんと呼ぶのも微妙だもんね。
いいよね?
聞かれたもんね?
「あの、狼さんはなんて呼べばいいですか?」
「呼ぶとは私の名を聞いているのか?」
この世界でも狼に名前は尋ねないかな?
「はい。いつまでも狼さんって呼ぶのも失礼かと思うので。」
「ふむ。名か。考えたこともなかったな。」
「名前ないんですか?」
「我はただの長く生きておる大狼だからな。人から恐れられることはあれども名を呼ばれることもなかった。勝手に神獣と呼ばれることもあれば魔狼と呼ばれることもあったが名を呼ばれるということはなかった。」
ん?
聞き間違いかしら?
今魔狼っておっしゃいましたかこの狼さん。
やばくない?
狼が喋ってるように聞こえる。
そりゃ日本じゃないみたいですからね?
異世界っぽいみたいですからね?
だからって狼が喋りますか。
ほっぺをつねってみる。
痛い。
いや現実逃避をしてるのはわかってるよ?
でも目を逸らしたくなるときもあるじゃん。
だって人間だもの。
人間だよね?
もう自分すらも信じられなくなってきた。
見た感じ人間っぽいけど鏡で確認したわけじゃないしね。
顔を触った感じは異常なく人間と思われる形をしていた。
「何をしているかはわからぬが取り急ぎ傷を治した方が良いのではないか?」
また狼が話しかけてきた。
どうやら今のとここの狼におれを食べようという感じは見受けられない。
周りに頼りになるものもわからないから今はこの狼を頼ってみようか。
「治せるんですか?」
「ふむ。」
そういうと狼はこちらに近付いてきた。
最低限の警戒はしつつ狼の行動を見つめていた。
狼が目の前に来るとその大きさに圧倒されそうになる。
たぶん大人だった自分よりも2倍以上大きいかも。
でもそれ以上にその姿に圧倒されてしまった。
銀色の毛並みはとても艶々していて思わずモフモフしたくなる欲求にかられてしまう。
また近くで見る瞳は、吸い込まれそうなほど澄んだ青色をしていた。
気付いたら狼の顔がすぐ目の前に迫っていた。
体を強張らせているとふいに狼の鼻先が体に触れた。
すると徐々に体が温かくなってきた。
さっきまでの冷や汗の出るような熱さとは違う。
心から安心できるようなそんな温かさに全身が包まれたのだ。
「ふむ。これで大丈夫だろう。背中の傷は時間が経ちすぎておるゆえ傷痕が残ってしまうかもしれぬがな。」
ふいの温もりに心奪われていると狼が喋りかけてきた。
「あの、ありがとうございました。このままじゃやばかったと思うので助かりました。」
「人間の子にしては妙に礼儀を弁えておるな。して人の子よ。名はなんと言うのだ。いつまでも人の子と呼ぶのは面倒であるしお前も名で呼ばれた方が良いであろう。」
狼に名乗っていいのかな?
それよりもおれの名前って何だろう。
この体の記憶なんてないし。
とりあえず今おれが認識できている名前を名乗ればいいかな。
「僕は大神次郎と言います。」
「ふむ。オオガミジローと呼べば良いのだな?」
「あっいえ、大神が姓で次郎が名前です。」
「姓が付くとは貴族の子か。ではジローと呼べばよいな。」
ん?
普通は名字付かないのかな。
勝手に貴族に昇進してしまった。
普通の平社員ですが。
「姓が付くと貴族になるんですか?」
「そういう訳ではないが姓が付くのは貴族の場合が多いはずだ。そのようなことを聞くとは賢いのか賢くないのかわからぬな。」
今馬鹿にされたのかな?
だけど賢いとか賢くないとか以前にこの体になってからまだ10分ぐらいだからね。
そりゃ分からないことの方が多いでしょ。
それよりも狼の名前も聞いていいのかな?
いつまでも狼さんと呼ぶのも微妙だもんね。
いいよね?
聞かれたもんね?
「あの、狼さんはなんて呼べばいいですか?」
「呼ぶとは私の名を聞いているのか?」
この世界でも狼に名前は尋ねないかな?
「はい。いつまでも狼さんって呼ぶのも失礼かと思うので。」
「ふむ。名か。考えたこともなかったな。」
「名前ないんですか?」
「我はただの長く生きておる大狼だからな。人から恐れられることはあれども名を呼ばれることもなかった。勝手に神獣と呼ばれることもあれば魔狼と呼ばれることもあったが名を呼ばれるということはなかった。」
ん?
聞き間違いかしら?
今魔狼っておっしゃいましたかこの狼さん。
やばくない?
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