上 下
18 / 32
アリーシャ sideストーリー

会場を前に…

しおりを挟む
…シーラの活躍は凄まじかった…。




一年に一度開催される国主体の婚活パーティー。

ダグ様参加というその情報には、驚き悲しいと感じたものの、独身者であるダグ様のお立場もあり、まだお相手がないのですから…とシーラの慰め兼とりなしもあって少し落ち着いて理解もした。

…ただ、納得できず許し難い事がひとつ。

そのパーティーにお父様主導の元、国王直々命令として毎年、強制参加させられていたという事実が判明。

シーラから知らされた時は、正直、ダグ様参加よりショックが大きかったと思う…。


まさかの身内の裏切り行為に…危なかったぁ。




本当に…気が気じゃない。

ダグラスを待っている間はもちろん。

それこそ、目的地に向けて着くまでの道中をはじめ、計画通り進むかどうか…張り詰めたまま、会場を前に一人立っている時は、不安で仕方なかった…。

紹介状を持った手が震えて仕方なかった。


会場に着いて直ぐに受付係に声をかけられ、何とか受け答えをした。

案内係にも希望を告げる事ができた。


「細マッチョよりムキムキの筋肉のある方が好きです。首が太く、上着を脱いだ時になんか上腕が盛り上がって胸板が厚くお腹は軽く割れている感じがいいです」

いつもと同じようにこれを言うとシーラが何やら、しょっぱい表情をしていたが、こちらの案内係は、驚愕の表情を浮かべていた。

何故?

アリーシャは、自分のその言葉が相手に与える影響を全くわかっていなかった。

ダグラスの事になると周りが見えなくなってしまうこと、夢中になるあまり言動がおかしくなる事に気づいていなかった。


麗しの王女と呼ばれる彼女のあまり知られていない(周囲の者が必死で隠し通している)唯一にして最大の弱点というか残念な資質だった…。






そうして、あまり待たされず、部屋に連れて来られたダグラスを前にして…その姿を目に捉えて優雅に落ち着いていられるほど、人生経験があるはずもなかった。

傍にいたいと焦がれに焦がれていた、ダグラスが手を伸ばせば直ぐにての届く場所にいることに感動していた。

押し込まれ、何かを諦めたように嘆息したダグラスが、お酒を手に近くに座った時は、胸の動悸が更にひどくなって…辺りに響いてダグラスに気づかれてしまうのではないかとそれこそ、心配して…それでもダグラスの姿を、瞬きを忘れる程、頭巾の隙間から一心にみていた。


慣れないながらも、何とか受け答えもできたと思う。




そして、一番の気がかりだった問いかけられた頭巾に対しても、シーラの言葉を思い出して答え、回避できた。




国主催の婚活パーティのことを話し聞かせてくれた上、手配をしてくれた専属侍女、シーラ。

本当に感謝しきれない。



会場入りする前までの注意事項のやり取りを思い出す。



しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

冷たかった夫が別人のように豹変した

京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。 ざまぁ。ゆるゆる設定

この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。

鶯埜 餡
恋愛
 ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。  しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが

美しい公爵様の、凄まじい独占欲と溺れるほどの愛

らがまふぃん
恋愛
 こちらは以前投稿いたしました、 美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛 の続編となっております。前作よりマイルドな作品に仕上がっておりますが、内面のダークさが前作よりはあるのではなかろうかと。こちらのみでも楽しめるとは思いますが、わかりづらいかもしれません。よろしかったら前作をお読みいただいた方が、より楽しんでいただけるかと思いますので、お時間の都合のつく方は、是非。時々予告なく残酷な表現が入りますので、苦手な方はお控えください。 *早速のお気に入り登録、しおり、エールをありがとうございます。とても励みになります。前作もお読みくださっている方々にも、多大なる感謝を! ※R5.7/23本編完結いたしました。たくさんの方々に支えられ、ここまで続けることが出来ました。本当にありがとうございます。ばんがいへんを数話投稿いたしますので、引き続きお付き合いくださるとありがたいです。この作品の前作が、お気に入り登録をしてくださった方が、ありがたいことに200を超えておりました。感謝を込めて、前作の方に一話、近日中にお届けいたします。よろしかったらお付き合いください。 ※R5.8/6ばんがいへん終了いたしました。長い間お付き合いくださり、また、たくさんのお気に入り登録、しおり、エールを、本当にありがとうございました。 ※R5.9/3お気に入り登録200になっていました。本当にありがとうございます(泣)。嬉しかったので、一話書いてみました。 ※R5.10/30らがまふぃん活動一周年記念として、一話お届けいたします。 ※R6.1/27美しく残酷な公爵令息様の、一途で不器用な愛(前作) と、こちらの作品の間のお話し 美しく冷酷な公爵令息様の、狂おしい熱情に彩られた愛 始めました。お時間の都合のつく方は、是非ご一読くださると嬉しいです。 *らがまふぃん活動二周年記念として、R6.11/4に一話お届けいたします。少しでも楽しんでいただけますように。

取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので

モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。 貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。 ──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。 ……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!? 公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。 (『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)

果たされなかった約束

家紋武範
恋愛
 子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。  しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。  このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。  怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。 ※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。

殿下が恋をしたいと言うのでさせてみる事にしました。婚約者候補からは外れますね

さこの
恋愛
恋がしたい。 ウィルフレッド殿下が言った… それではどうぞ、美しい恋をしてください。 婚約者候補から外れるようにと同じく婚約者候補のマドレーヌ様が話をつけてくださりました! 話の視点が回毎に変わることがあります。 緩い設定です。二十話程です。 本編+番外編の別視点

結婚結婚煩いので、愛人持ちの幼馴染と偽装結婚してみた

夏菜しの
恋愛
 幼馴染のルーカスの態度は、年頃になっても相変わらず気安い。  彼のその変わらぬ態度のお陰で、周りから男女の仲だと勘違いされて、公爵令嬢エーデルトラウトの相手はなかなか決まらない。  そんな現状をヤキモキしているというのに、ルーカスの方は素知らぬ顔。  彼は思いのままに平民の娘と恋人関係を持っていた。  いっそそのまま結婚してくれれば、噂は間違いだったと知れるのに、あちらもやっぱり公爵家で、平民との結婚など許さんと反対されていた。  のらりくらりと躱すがもう限界。  いよいよ親が煩くなってきたころ、ルーカスがやってきて『偽装結婚しないか?』と提案された。  彼の愛人を黙認する代わりに、贅沢と自由が得られる。  これで煩く言われないとすると、悪くない提案じゃない?  エーデルトラウトは軽い気持ちでその提案に乗った。

処理中です...