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アリーシャ sideストーリー
会場を前に…
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…シーラの活躍は凄まじかった…。
一年に一度開催される国主体の婚活パーティー。
ダグ様参加というその情報には、驚き悲しいと感じたものの、独身者であるダグ様のお立場もあり、まだお相手がないのですから…とシーラの慰め兼とりなしもあって少し落ち着いて理解もした。
…ただ、納得できず許し難い事がひとつ。
そのパーティーにお父様主導の元、国王直々命令として毎年、強制参加させられていたという事実が判明。
シーラから知らされた時は、正直、ダグ様参加よりショックが大きかったと思う…。
まさかの身内の裏切り行為に…危なかったぁ。
本当に…気が気じゃない。
ダグラスを待っている間はもちろん。
それこそ、目的地に向けて着くまでの道中をはじめ、計画通り進むかどうか…張り詰めたまま、会場を前に一人立っている時は、不安で仕方なかった…。
紹介状を持った手が震えて仕方なかった。
会場に着いて直ぐに受付係に声をかけられ、何とか受け答えをした。
案内係にも希望を告げる事ができた。
「細マッチョよりムキムキの筋肉のある方が好きです。首が太く、上着を脱いだ時になんか上腕が盛り上がって胸板が厚くお腹は軽く割れている感じがいいです」
いつもと同じようにこれを言うとシーラが何やら、しょっぱい表情をしていたが、こちらの案内係は、驚愕の表情を浮かべていた。
何故?
アリーシャは、自分のその言葉が相手に与える影響を全くわかっていなかった。
ダグラスの事になると周りが見えなくなってしまうこと、夢中になるあまり言動がおかしくなる事に気づいていなかった。
麗しの王女と呼ばれる彼女のあまり知られていない(周囲の者が必死で隠し通している)唯一にして最大の弱点というか残念な資質だった…。
そうして、あまり待たされず、部屋に連れて来られたダグラスを前にして…その姿を目に捉えて優雅に落ち着いていられるほど、人生経験があるはずもなかった。
傍にいたいと焦がれに焦がれていた、ダグラスが手を伸ばせば直ぐにての届く場所にいることに感動していた。
押し込まれ、何かを諦めたように嘆息したダグラスが、お酒を手に近くに座った時は、胸の動悸が更にひどくなって…辺りに響いてダグラスに気づかれてしまうのではないかとそれこそ、心配して…それでもダグラスの姿を、瞬きを忘れる程、頭巾の隙間から一心にみていた。
慣れないながらも、何とか受け答えもできたと思う。
そして、一番の気がかりだった問いかけられた頭巾に対しても、シーラの言葉を思い出して答え、回避できた。
国主催の婚活パーティのことを話し聞かせてくれた上、手配をしてくれた専属侍女、シーラ。
本当に感謝しきれない。
会場入りする前までの注意事項のやり取りを思い出す。
一年に一度開催される国主体の婚活パーティー。
ダグ様参加というその情報には、驚き悲しいと感じたものの、独身者であるダグ様のお立場もあり、まだお相手がないのですから…とシーラの慰め兼とりなしもあって少し落ち着いて理解もした。
…ただ、納得できず許し難い事がひとつ。
そのパーティーにお父様主導の元、国王直々命令として毎年、強制参加させられていたという事実が判明。
シーラから知らされた時は、正直、ダグ様参加よりショックが大きかったと思う…。
まさかの身内の裏切り行為に…危なかったぁ。
本当に…気が気じゃない。
ダグラスを待っている間はもちろん。
それこそ、目的地に向けて着くまでの道中をはじめ、計画通り進むかどうか…張り詰めたまま、会場を前に一人立っている時は、不安で仕方なかった…。
紹介状を持った手が震えて仕方なかった。
会場に着いて直ぐに受付係に声をかけられ、何とか受け答えをした。
案内係にも希望を告げる事ができた。
「細マッチョよりムキムキの筋肉のある方が好きです。首が太く、上着を脱いだ時になんか上腕が盛り上がって胸板が厚くお腹は軽く割れている感じがいいです」
いつもと同じようにこれを言うとシーラが何やら、しょっぱい表情をしていたが、こちらの案内係は、驚愕の表情を浮かべていた。
何故?
アリーシャは、自分のその言葉が相手に与える影響を全くわかっていなかった。
ダグラスの事になると周りが見えなくなってしまうこと、夢中になるあまり言動がおかしくなる事に気づいていなかった。
麗しの王女と呼ばれる彼女のあまり知られていない(周囲の者が必死で隠し通している)唯一にして最大の弱点というか残念な資質だった…。
そうして、あまり待たされず、部屋に連れて来られたダグラスを前にして…その姿を目に捉えて優雅に落ち着いていられるほど、人生経験があるはずもなかった。
傍にいたいと焦がれに焦がれていた、ダグラスが手を伸ばせば直ぐにての届く場所にいることに感動していた。
押し込まれ、何かを諦めたように嘆息したダグラスが、お酒を手に近くに座った時は、胸の動悸が更にひどくなって…辺りに響いてダグラスに気づかれてしまうのではないかとそれこそ、心配して…それでもダグラスの姿を、瞬きを忘れる程、頭巾の隙間から一心にみていた。
慣れないながらも、何とか受け答えもできたと思う。
そして、一番の気がかりだった問いかけられた頭巾に対しても、シーラの言葉を思い出して答え、回避できた。
国主催の婚活パーティのことを話し聞かせてくれた上、手配をしてくれた専属侍女、シーラ。
本当に感謝しきれない。
会場入りする前までの注意事項のやり取りを思い出す。
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