大義

俣彦

文字の大きさ
上 下
3 / 4

上洛したところで……

しおりを挟む
見事成功した暁にはその後の発展は約束されたもの。

と本来であれば喜び勇む将軍候補義昭直々の依頼なのでありましたが……。



利三「最も恩恵に与ることの出来る立場にある守護大名は、国もとの勢力の伸長に四苦八苦。」

光秀「もともと守護大名自体は京の都に居たこともあって、実際国内を見ていたのはその家臣。」

利三「そこへ来ての応仁の乱。」

光秀「将軍家の争いに乗じ、守護大名同士の争いも激化。相手方の弱体化を図るべく。相手方の国もとの守護代など諸勢力への働き掛けを行うことにより相手方の動揺を誘っていく内に。」

利三「働きかけられた諸勢力が在国での勢力を伸長させていった。と……。」

光秀「その結果。京に在国していなかった東北・関東。その関東への睨みを利かせるため国もとに居た甲斐・駿河。そして九州を除く中央政界に君臨していた守護大名は軒並み弱体化。」

利三「あれだけ室町幕府に君臨していた細川が。自らの力ではどうすることも出来なかったわけでありますからね……。」



そんな中、若狭武田氏のもとに転がり込んで来たのが足利義昭。



利三「……上洛どころではない。と……。」

光秀「越前の朝倉の力を借りて何とか国内を鎮圧するのでありましたが、他国の兵を用いる。と言うことは=」

利三「助けられた勢力の影響力を受けることになり。」

光秀「最期は朝倉に乗っ取られる形で若狭における武田の統治は終わりを告げることになる。」



そんな動乱の若狭に見切りをつけた義昭は伸長著しい越前朝倉のもとを訪ねることになります。



利三「勢力的には三好・松永に対抗するだけの力はあったとは思われますが……。」

光秀「朝倉はもともと守護代。上司である守護大名は何をやって朝倉に乗っ取られることになったのかを朝倉自身が実行に移しているわけであるし。」

利三「西国の勢力をまとめ。将軍を奉じ京に上ったが、本国不在であることを良いことに、隣国の安芸の武田と出雲の尼子に領内に狙われることになった大内の例を朝倉が学んだ結果。」



基本放置されることになった足利義昭。

そんな義昭に接近したのが……。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

私の名は杉山源吾。津軽藩で家老を務めていますが、公言出来ません。何故なら私の父が石田三成だからです。

俣彦
歴史・時代
慶長5年。関ヶ原の戦いで父石田三成が敗れ、居城佐和山も陥落。 その時、大坂城で豊臣秀頼に近侍していたのが次男の石田重成。 「このままでは助からない。」 絶望的な状況を見兼ね、手を差し伸べたのが同僚津軽信建。

私は1年後の未来を知っている―ただそれは私だけでは無かった―

俣彦
歴史・時代
 ここから1年の動きを知る事が出来た徳川家康。舞台は会津へ向かう途中。天下取り目前の1600年。あとは知らされた史実をなぞれば天下統一と思ったその時。彼の目の前に現れたのは来るはずの無い大谷吉継。  そう。ここから1年の動きを知っている人物は徳川家康独りでは無い。

梅すだれ

木花薫
歴史・時代
江戸時代の女の子、お千代の一生の物語。恋に仕事に頑張るお千代は悲しいことも多いけど充実した女の人生を生き抜きます。が、現在お千代の物語から逸れて、九州の隠れキリシタンの話になっています。島原の乱の前後、農民たちがどのように生きていたのか、仏教やキリスト教の世界観も組み込んで書いています。 登場人物の繋がりで主人公がバトンタッチして物語が次々と移っていきます隠れキリシタンの次は戦国時代の姉妹のストーリーとなっていきます。 時代背景は戦国時代から江戸時代初期の歴史とリンクさせてあります。長編時代小説。長々と続きます。

信玄を継ぐ者

東郷しのぶ
歴史・時代
 戦国時代。甲斐武田家の武将、穴山信君の物語。

軟弱絵師と堅物同心〜大江戸怪奇譚~

水葉
歴史・時代
 江戸の町外れの長屋に暮らす生真面目すぎる同心・十兵衛はひょんな事に出会った謎の自称天才絵師である青年・与平を住まわせる事になった。そんな与平は人には見えないものが見えるがそれを絵にして売るのを生業にしており、何か秘密を持っているようで……町の人と交流をしながら少し不思議な日常を送る二人。懐かれてしまった不思議な黒猫の黒太郎と共に様々な事件?に向き合っていく  三十路を過ぎた堅物な同心と謎で軟弱な絵師の青年による日常と事件と珍道中 「ほんま相変わらず真面目やなぁ」 「そういう与平、お前は怠けすぎだ」 (やれやれ、また始まったよ……)  また二人と一匹の日常が始まる

吉原の楼主

京月
歴史・時代
吉原とは遊女と男が一夜の夢をお金で買う女性 水商売に情は不要 生い立ち、悲惨な過去、そんなものは気にしない これは忘八とよばれた妓楼の主人の話

織田信長IF… 天下統一再び!!

華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。 この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。 主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。 ※この物語はフィクションです。

宮本武蔵、フリーランスとして働くことを誓う!

西陸黒船
歴史・時代
関ケ原の合戦で敗戦後、宮本武蔵は兵法者として武者修行の旅に出る。旅の中でいくつもの流派や強者と剣を交える中、仕官したいという気持ちは根強くあった。だが、関ケ原で豊臣方に与した武蔵を迎え入れる藩はなかなか現れない。徳川政権で豊臣側についていた浪人の取り締まりも厳しくなる中、武蔵は新しい仕事の在り方を見出していくのだった。

処理中です...