309 / 318
餌
しおりを挟む
戻って。
山県昌景「喜兵衛。」
武藤喜兵衛「はい。」
山県昌景「其方の策。高坂の策でもあるな。を聞いていて気になる点を言っても良いか?」
武藤喜兵衛「お願いします。」
山県昌景「『岩倉に居る織田勢が包囲を脱し、これを止めようと試みる馬場の部隊と戦いながら小牧山へ向かわせる。』
と言ったよな?」
武藤喜兵衛「はい。」
山県昌景「小牧山は尾張におけるうちの拠点。多くの兵が居る事を敵は知っているはず。小牧山の要害が破却されていない事も当然知っている。そう簡単に落とす事は出来ない。それも少ない兵糧のみでは。と考えるのが普通では無いか?と思うのであるが、如何であろうか?」
武藤喜兵衛「はい。これだけでありますと、敵は馬場様の部隊を追い詰め。抵抗する事が出来ない事を見定めた後、浮野に向かう事になってしまいます。」
山県昌景「そうなると?」
武藤喜兵衛「ならないよう手立てを講じています。」
山県昌景「どのような?」
武藤喜兵衛「それは……。」
小牧山には武田勝頼しか残っていない事。
武藤喜兵衛「を岩倉の敵勢に喧伝する事であります。
『武田勝頼は、今岩倉に居る敵勢による攻撃に敗れ岩倉を失陥していました。この危機に馬場信春が兵を動かし岩倉を囲み。大高から急遽山県昌景を呼び寄せ、清州からの救援部隊の侵入口にあたります浮野を押さえています。真田信綱、真田昌輝は美濃。今、小牧山には武田勝頼しか残されていない。』
と。」
山県昌景「要害としての機能は残されているとは言え、小牧山は織田が一時本拠地に定めた場所。加えて小牧山は美濃へ進出するために拵えた城。敵から攻撃される心配は無い。故に防御力よりも機能性が重視されている。つまり……。」
籠城には不向きな可能性がある。
高坂昌信「織田といくさになりました場合、外でのいくさを考えなければならないのが実情であります。この事は当然織田方も熟知しているはずであります。」
山県昌景「その小牧山に岩倉に居る連中に敗れた殿が居る。自らの失態の尻拭いを馬場や俺に押し付けて。」
私(武田勝頼)「(高坂に旗を持ってかれただけなんだけど……。)」
高坂昌信「織田信長が今川義元を破ったいくさからもわかりますように大将を取り除く事が出来れば、他の部隊が健在であっても勝ちであります。その好機が岩倉に居る敵勢に訪れています。逃す理由はありません。」
進めて。
岩倉を脱出した織田の勢いに押され、馬場信春の別動隊は小牧山を目指し後退。これを見た織田勢は更なる攻勢を仕掛けながら東進を続けるのでありました。
山県昌景「喜兵衛。」
武藤喜兵衛「はい。」
山県昌景「其方の策。高坂の策でもあるな。を聞いていて気になる点を言っても良いか?」
武藤喜兵衛「お願いします。」
山県昌景「『岩倉に居る織田勢が包囲を脱し、これを止めようと試みる馬場の部隊と戦いながら小牧山へ向かわせる。』
と言ったよな?」
武藤喜兵衛「はい。」
山県昌景「小牧山は尾張におけるうちの拠点。多くの兵が居る事を敵は知っているはず。小牧山の要害が破却されていない事も当然知っている。そう簡単に落とす事は出来ない。それも少ない兵糧のみでは。と考えるのが普通では無いか?と思うのであるが、如何であろうか?」
武藤喜兵衛「はい。これだけでありますと、敵は馬場様の部隊を追い詰め。抵抗する事が出来ない事を見定めた後、浮野に向かう事になってしまいます。」
山県昌景「そうなると?」
武藤喜兵衛「ならないよう手立てを講じています。」
山県昌景「どのような?」
武藤喜兵衛「それは……。」
小牧山には武田勝頼しか残っていない事。
武藤喜兵衛「を岩倉の敵勢に喧伝する事であります。
『武田勝頼は、今岩倉に居る敵勢による攻撃に敗れ岩倉を失陥していました。この危機に馬場信春が兵を動かし岩倉を囲み。大高から急遽山県昌景を呼び寄せ、清州からの救援部隊の侵入口にあたります浮野を押さえています。真田信綱、真田昌輝は美濃。今、小牧山には武田勝頼しか残されていない。』
と。」
山県昌景「要害としての機能は残されているとは言え、小牧山は織田が一時本拠地に定めた場所。加えて小牧山は美濃へ進出するために拵えた城。敵から攻撃される心配は無い。故に防御力よりも機能性が重視されている。つまり……。」
籠城には不向きな可能性がある。
高坂昌信「織田といくさになりました場合、外でのいくさを考えなければならないのが実情であります。この事は当然織田方も熟知しているはずであります。」
山県昌景「その小牧山に岩倉に居る連中に敗れた殿が居る。自らの失態の尻拭いを馬場や俺に押し付けて。」
私(武田勝頼)「(高坂に旗を持ってかれただけなんだけど……。)」
高坂昌信「織田信長が今川義元を破ったいくさからもわかりますように大将を取り除く事が出来れば、他の部隊が健在であっても勝ちであります。その好機が岩倉に居る敵勢に訪れています。逃す理由はありません。」
進めて。
岩倉を脱出した織田の勢いに押され、馬場信春の別動隊は小牧山を目指し後退。これを見た織田勢は更なる攻勢を仕掛けながら東進を続けるのでありました。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私の名は杉山源吾。津軽藩で家老を務めていますが、公言出来ません。何故なら私の父が石田三成だからです。
俣彦
歴史・時代
慶長5年。関ヶ原の戦いで父石田三成が敗れ、居城佐和山も陥落。
その時、大坂城で豊臣秀頼に近侍していたのが次男の石田重成。
「このままでは助からない。」
絶望的な状況を見兼ね、手を差し伸べたのが同僚津軽信建。

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

いや、婿を選べって言われても。むしろ俺が立候補したいんだが。
SHO
歴史・時代
時は戦国末期。小田原北条氏が豊臣秀吉に敗れ、新たに徳川家康が関八州へ国替えとなった頃のお話。
伊豆国の離れ小島に、弥五郎という一人の身寄りのない少年がおりました。その少年は名刀ばかりを打つ事で有名な刀匠に拾われ、弟子として厳しく、それは厳しく、途轍もなく厳しく育てられました。
そんな少年も齢十五になりまして、師匠より独立するよう言い渡され、島を追い出されてしまいます。
さて、この先の少年の運命やいかに?
剣術、そして恋が融合した痛快エンタメ時代劇、今開幕にございます!
*この作品に出てくる人物は、一部実在した人物やエピソードをモチーフにしていますが、モチーフにしているだけで史実とは異なります。空想時代活劇ですから!
*この作品はノベルアップ+様に掲載中の、「いや、婿を選定しろって言われても。だが断る!」を改題、改稿を経たものです。


家の庭にレアドロップダンジョンが生えた~神話級のアイテムを使って普通のダンジョンで無双します~
芦屋貴緒
ファンタジー
売れないイラストレーターである里見司(さとみつかさ)の家にダンジョンが生えた。
駆除業者も呼ぶことができない金欠ぶりに「ダンジョンで手に入れたものを売ればいいのでは?」と考え潜り始める。
だがそのダンジョンで手に入るアイテムは全て他人に譲渡できないものだったのだ。
彼が財宝を鑑定すると驚愕の事実が判明する。
経験値も金にもならないこのダンジョン。
しかし手に入るものは全て高ランクのダンジョンでも入手困難なレアアイテムばかり。
――じゃあ、アイテムの力で強くなって普通のダンジョンで稼げばよくない?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる