304 / 318
伊木山城
しおりを挟む
真田信綱「逃げる奴らは放っておけ。急ぐぞ!」
真田昌輝「わかっています。」
敗走する織田兵には目もくれず、真田兄弟が向かった先は伊木山城。味方が真田勢に翻弄される様子を呆然と見守るしか無かった城方は、反転する恐れのある真田兄弟。対岸の犬山からの新手を恐れ脱出を決断。
これに対し真田兄弟は、城からの脱出兵並びに岐阜からの後詰めとの遭遇戦にならぬ道のりを辿りながら伊木山城に到着。敵兵が残っていない事を確認した後入城。そこには……。
真田昌輝「織田の力。侮る事は出来ません。」
真田信綱「そうだな。」
真田昌輝「前線とは言え借りの住まいに過ぎない城に、これ程の兵糧と弾薬を備える事が出来るのでありますからね……。」
真田信綱「歴戦の猛者共が、これだけの物を携えてうちに向かって来たら……。」
真田昌輝「ひとたまりもありません。」
真田信綱「高坂様が恐れている事。確かだな?」
真田昌輝「はい。本人は
『私は臆病者だから。』
と言っていましたが。」
真田信綱「これだけの物を棄てて行っても問題無いから、(織田勢は)ああやって逃げる事も出来る。」
真田昌輝「一度や二度の負けではびくともしない事がわかりました。」
真田信綱「眺めている時間は無い。」
真田昌輝「はい。」
因みに伊木山城は、標高173mの伊木山山頂に6段曲輪を持つ城。濃尾平野と岐阜市と各務原市を一望する事が可能。
その城に真田兄弟は大量の六文銭の旗印を掲げ、自らの城である事を誇示。岐阜からの攻撃に備えたのでありました。
この挑発的な振る舞いに織田方は憤激。一度岐阜城で態勢を整え、再び出陣。狙うは勿論伊木山城。雲霞の如く押し寄せた織田勢は伊木山城を包囲。先の岩倉の事もあり、周囲に武田方が居ない事。武田方が侵入する恐れのある対岸犬山からの動きも見られない事を確認した織田勢は一斉攻撃。山頂に向け一気に駆け上がった織田勢は、さしたる抵抗も無い中、6個ある曲輪を奪取。しかし……。
戻って小牧山。
山県昌景「高坂も喋れよ。」
高坂昌信「私では無く、喜兵衛が調べた事でありますので。」
山県昌景「事前に話し合いしているのだろ?」
武藤喜兵衛「はい。」
高坂昌信「美濃攻略を考えた場合、伊木山は是が非でも手に入れたい城であります。しかし今の状況では維持する事は不可能であります。それならば伊木山は岐阜の織田勢を引き付けるだけ引き付けるための捨て石にしようと。勿論、織田が迫る前に信綱と昌輝には脱出するよう。恐らく城の中には大量の兵糧と弾薬が残されている事が想定されますが、それも無視してすぐに戻って来るよう厳命しています。」
真田昌輝「わかっています。」
敗走する織田兵には目もくれず、真田兄弟が向かった先は伊木山城。味方が真田勢に翻弄される様子を呆然と見守るしか無かった城方は、反転する恐れのある真田兄弟。対岸の犬山からの新手を恐れ脱出を決断。
これに対し真田兄弟は、城からの脱出兵並びに岐阜からの後詰めとの遭遇戦にならぬ道のりを辿りながら伊木山城に到着。敵兵が残っていない事を確認した後入城。そこには……。
真田昌輝「織田の力。侮る事は出来ません。」
真田信綱「そうだな。」
真田昌輝「前線とは言え借りの住まいに過ぎない城に、これ程の兵糧と弾薬を備える事が出来るのでありますからね……。」
真田信綱「歴戦の猛者共が、これだけの物を携えてうちに向かって来たら……。」
真田昌輝「ひとたまりもありません。」
真田信綱「高坂様が恐れている事。確かだな?」
真田昌輝「はい。本人は
『私は臆病者だから。』
と言っていましたが。」
真田信綱「これだけの物を棄てて行っても問題無いから、(織田勢は)ああやって逃げる事も出来る。」
真田昌輝「一度や二度の負けではびくともしない事がわかりました。」
真田信綱「眺めている時間は無い。」
真田昌輝「はい。」
因みに伊木山城は、標高173mの伊木山山頂に6段曲輪を持つ城。濃尾平野と岐阜市と各務原市を一望する事が可能。
その城に真田兄弟は大量の六文銭の旗印を掲げ、自らの城である事を誇示。岐阜からの攻撃に備えたのでありました。
この挑発的な振る舞いに織田方は憤激。一度岐阜城で態勢を整え、再び出陣。狙うは勿論伊木山城。雲霞の如く押し寄せた織田勢は伊木山城を包囲。先の岩倉の事もあり、周囲に武田方が居ない事。武田方が侵入する恐れのある対岸犬山からの動きも見られない事を確認した織田勢は一斉攻撃。山頂に向け一気に駆け上がった織田勢は、さしたる抵抗も無い中、6個ある曲輪を奪取。しかし……。
戻って小牧山。
山県昌景「高坂も喋れよ。」
高坂昌信「私では無く、喜兵衛が調べた事でありますので。」
山県昌景「事前に話し合いしているのだろ?」
武藤喜兵衛「はい。」
高坂昌信「美濃攻略を考えた場合、伊木山は是が非でも手に入れたい城であります。しかし今の状況では維持する事は不可能であります。それならば伊木山は岐阜の織田勢を引き付けるだけ引き付けるための捨て石にしようと。勿論、織田が迫る前に信綱と昌輝には脱出するよう。恐らく城の中には大量の兵糧と弾薬が残されている事が想定されますが、それも無視してすぐに戻って来るよう厳命しています。」
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私の名は杉山源吾。津軽藩で家老を務めていますが、公言出来ません。何故なら私の父が石田三成だからです。
俣彦
歴史・時代
慶長5年。関ヶ原の戦いで父石田三成が敗れ、居城佐和山も陥落。
その時、大坂城で豊臣秀頼に近侍していたのが次男の石田重成。
「このままでは助からない。」
絶望的な状況を見兼ね、手を差し伸べたのが同僚津軽信建。

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

いや、婿を選べって言われても。むしろ俺が立候補したいんだが。
SHO
歴史・時代
時は戦国末期。小田原北条氏が豊臣秀吉に敗れ、新たに徳川家康が関八州へ国替えとなった頃のお話。
伊豆国の離れ小島に、弥五郎という一人の身寄りのない少年がおりました。その少年は名刀ばかりを打つ事で有名な刀匠に拾われ、弟子として厳しく、それは厳しく、途轍もなく厳しく育てられました。
そんな少年も齢十五になりまして、師匠より独立するよう言い渡され、島を追い出されてしまいます。
さて、この先の少年の運命やいかに?
剣術、そして恋が融合した痛快エンタメ時代劇、今開幕にございます!
*この作品に出てくる人物は、一部実在した人物やエピソードをモチーフにしていますが、モチーフにしているだけで史実とは異なります。空想時代活劇ですから!
*この作品はノベルアップ+様に掲載中の、「いや、婿を選定しろって言われても。だが断る!」を改題、改稿を経たものです。
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を


最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる