旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?

俣彦

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投石衆

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 岩殿山城。



小山田信茂「これはこれは高坂様。如何為されましたか?」

高坂昌信「小山田様からお借りしたいものがあり、参上した次第であります。」

小山田信茂「私から借りたいものでありますか?」

高坂昌信「はい。此度のいくさに勝つために、必要不可欠なものであります。」

小山田信茂「してどのような?」



 志摩。



小浜景隆「皆の者!覚悟は出来ているか!」

「(鬨の声)!!」

小浜景隆「けっして油断するで無いぞ!!!」

「(鬨の声)!!!」

小浜景隆「打て!!!!」



 戻って岩殿山城。



小山田信茂「『(舟いくさに)投石衆を用いたい。』

でありますか?」

高坂昌信「はい。これまで九鬼とのいくさに勝つために必要な事は何か?について本多正信と話し合いを続けて来ました。その中で、毛利が採用している焙烙玉が切り札になる事はわかりました。」

小山田信茂「それと投石衆が関連する?」

高坂昌信「はい。先程述べました焙烙玉を敵の舟目掛け飛ばす方法は人力しかありません。加えて九鬼の舟には、高い防御壁が備えられています。敵の乗船と鉄砲による攻撃を防ぐ事を目的としています。」

小山田信茂「焙烙玉の力で破壊する事は?」

高坂昌信「残念ながらそこまでの能力はありません。舟の中まで焙烙玉を投げ入れなければなりません。その担い手になる得る人材は居ないものか?と思案に暮れていました所思い出しましたのが……。」



 三方ヶ原における投石衆の活躍。



高坂昌信「小山田様の投石衆が徳川の陣を乱した光景。今でも忘れる事は出来ません。投石衆のお歴々でありましたら、九鬼の防御壁を越える事が出来るのでは無いか?と。」

小山田信茂「それでわざわざここまで?」

高坂昌信「はい。」

小山田信茂「貸すのは構わぬ。私の管轄地は全て安全地帯となっているので。それに領内に鉄砲と弾薬が手に入るようになったため……。」



 投石衆の出番が無くなってしまった。



小山田信茂「彼らの受け皿に。それも彼らがこれまで培って来た技能をそのまま活かす事が出来るのでありますので喜んで派兵いたします。」

高坂昌信「ありがとうございます。」

小山田信茂「しかし彼らは火薬の扱いに慣れていません。ですので焙烙玉の管理並びに火の扱いに長けた者の同船をお願いしたい。」

高坂昌信「はい。」

小山田信茂「そして此度のいくさは舟の上。海に慣れさせてからの出陣。お願いします。」



 志摩。



「根性見せるぞ!!」

の号令と共に放たれた数多の焙烙玉は、見事敵船内部に着弾。少し時間を置いて爆音が轟く九鬼の船内。



小浜景隆「(上陸出来るだけの兵が居ないのが口惜しい……。しかし今は、)二度と海に出る事が出来ぬよう(全ての舟を)焼き尽くせ!!!」
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