279 / 318
水の手
しおりを挟む
亥の刻。馬場信春は兵を潜ましていた鵜沼を出、舟を使い橋を拵え渡河。対岸に渡った馬場信春隊の合図を確認した真田信綱と真田昌輝の隊もこれに続く。小幡信貞隊は鵜沼側に待機。馬場信春と真田兄弟は犬山城の後門である水の手に到着。
真田信綱「この様子ですと、城方はこちらの動きを把握してはいませんね。」
真田昌輝「城の内部は把握されていますか?」
馬場信春「確実な情報を掴めているわけでは無い。特に池田恒興が入って以降についてはわからない。ただ……。」
真田昌輝「如何為されましたか?」
馬場信春「元来こちら(木曾川)から攻めるのは難しい場所であった。それ故鉄斎の頃から変わっていない。変える必要が無い場所である事を考えた場合……。」
真田昌輝「手を加えている可能性は低い?」
馬場信春「そう見て間違いない。」
真田信綱「しかし馬場様。」
馬場信春「どうした?」
真田信綱「池田が手を加えていないと言う事は、それだけ堅固であった証拠では無いかと。」
馬場信春「その通り。」
真田信綱「敵が気付いていないとは言え、簡単に攻め落とすのは……。」
馬場信春「信綱の言う通りだな。このまま攻めてもうまくいくかどうかはわからない。故に……。」
部下に指示を出す馬場信春。
馬場信春「放て!」
の号令と同時に城内部に向け矢が撃ち込まれるや否や内から門が……。
馬場信春「雪崩れ込め!!」
開門を確認した馬場信春隊は城内に乱入。遅れてはならじと真田兄弟も続く。数刻後……。
真田昌輝「犬山城留守居役中川清蔵主を討ち取りました。」
真田信綱「良くやった。」
馬場信春「戦功第1位は昌輝にある。」
真田昌輝「ありがとうございます。ただ……。」
真田信綱「どうした?」
真田昌輝「あまりにも順調に行き過ぎてしまったように感じるのは私だけでしょうか?」
真田信綱「確かに言われて見ると……。」
真田昌輝「川を渡る所から水の手に着陣。開門から清蔵主を討ち取るまで、これと言った障害と呼べるようなものは……。」
中川清蔵主と相対した時。
真田昌輝「しかありませんでした。」
真田信綱「城内に兵がほとんど居なかった事を馬場様は……。」
馬場信春「ある程度は把握していた。」
真田信綱「犬山城内部については……。」
馬場信春「鉄斎からの情報以上のものは無い。後門から本丸までの縄張りが変わっていなかったのは幸いした。ただ清蔵主が私の知らない池田恒興が拡張した場所に兵を動かしていたら勝敗はわからなかったのは否定しない。故に万全を期すため城内部に協力者を求める事にした。」
真田信綱「この様子ですと、城方はこちらの動きを把握してはいませんね。」
真田昌輝「城の内部は把握されていますか?」
馬場信春「確実な情報を掴めているわけでは無い。特に池田恒興が入って以降についてはわからない。ただ……。」
真田昌輝「如何為されましたか?」
馬場信春「元来こちら(木曾川)から攻めるのは難しい場所であった。それ故鉄斎の頃から変わっていない。変える必要が無い場所である事を考えた場合……。」
真田昌輝「手を加えている可能性は低い?」
馬場信春「そう見て間違いない。」
真田信綱「しかし馬場様。」
馬場信春「どうした?」
真田信綱「池田が手を加えていないと言う事は、それだけ堅固であった証拠では無いかと。」
馬場信春「その通り。」
真田信綱「敵が気付いていないとは言え、簡単に攻め落とすのは……。」
馬場信春「信綱の言う通りだな。このまま攻めてもうまくいくかどうかはわからない。故に……。」
部下に指示を出す馬場信春。
馬場信春「放て!」
の号令と同時に城内部に向け矢が撃ち込まれるや否や内から門が……。
馬場信春「雪崩れ込め!!」
開門を確認した馬場信春隊は城内に乱入。遅れてはならじと真田兄弟も続く。数刻後……。
真田昌輝「犬山城留守居役中川清蔵主を討ち取りました。」
真田信綱「良くやった。」
馬場信春「戦功第1位は昌輝にある。」
真田昌輝「ありがとうございます。ただ……。」
真田信綱「どうした?」
真田昌輝「あまりにも順調に行き過ぎてしまったように感じるのは私だけでしょうか?」
真田信綱「確かに言われて見ると……。」
真田昌輝「川を渡る所から水の手に着陣。開門から清蔵主を討ち取るまで、これと言った障害と呼べるようなものは……。」
中川清蔵主と相対した時。
真田昌輝「しかありませんでした。」
真田信綱「城内に兵がほとんど居なかった事を馬場様は……。」
馬場信春「ある程度は把握していた。」
真田信綱「犬山城内部については……。」
馬場信春「鉄斎からの情報以上のものは無い。後門から本丸までの縄張りが変わっていなかったのは幸いした。ただ清蔵主が私の知らない池田恒興が拡張した場所に兵を動かしていたら勝敗はわからなかったのは否定しない。故に万全を期すため城内部に協力者を求める事にした。」
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。


いや、婿を選べって言われても。むしろ俺が立候補したいんだが。
SHO
歴史・時代
時は戦国末期。小田原北条氏が豊臣秀吉に敗れ、新たに徳川家康が関八州へ国替えとなった頃のお話。
伊豆国の離れ小島に、弥五郎という一人の身寄りのない少年がおりました。その少年は名刀ばかりを打つ事で有名な刀匠に拾われ、弟子として厳しく、それは厳しく、途轍もなく厳しく育てられました。
そんな少年も齢十五になりまして、師匠より独立するよう言い渡され、島を追い出されてしまいます。
さて、この先の少年の運命やいかに?
剣術、そして恋が融合した痛快エンタメ時代劇、今開幕にございます!
*この作品に出てくる人物は、一部実在した人物やエピソードをモチーフにしていますが、モチーフにしているだけで史実とは異なります。空想時代活劇ですから!
*この作品はノベルアップ+様に掲載中の、「いや、婿を選定しろって言われても。だが断る!」を改題、改稿を経たものです。
大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる