上 下
265 / 318

交渉後

しおりを挟む
 正式な和睦について徳川と詰めの協議を行った穴山信君が深志に到着。この報を受け……。



馬場信春「度々の御足労。感謝します。」

私(武田勝頼)「大まかな内容は聞いています。躑躅ヶ崎で行うよりもここの方が(交渉役の)穴山の負担も軽くなります。」

穴山信君「ありがとうございます。」

高坂昌信「早速でありますが、交渉の結果を教えて下さい。」

穴山信君「まず国境についてであります。こちらについては現状を国境とする事で合意しました。

 次に徳川領近海の我が水軍の航行並びに港への寄港についても了承を得る事が出来ました。ただし徳川方の港を軍港として使う事は不可となっています。可能なのは水や食糧そして燃料となる薪の購入であります。この事について小浜様は?」

山県昌景「『問題ありません。』

との回答でありました。」

穴山信君「ありがとうございます。同じく港に関する事で掛塚湊の利用でありますが、徳川の船を使う事を条件にこちらも了承を得る事が出来ました。この件について内藤様は?」

内藤昌豊「我らの船が尾張や伊勢に入る事は出来ません。徳川の船を使えるのは有難い限りであります。」

穴山信君「ありがとうございます。ここからは持ち帰った事案であります。武田徳川双方共飛び地を抱える事になりました。人と物を行き来させる際、どうしても相手領内に足を踏み入れなければなりません。解決していないのが、その道についてであります。

 当初我らは吉田から遠江に抜ける道を用意すれば良いと考えていました。しかしこの提案に対し徳川は

『不便だ。』

と拒絶され、

『そちらがその考えでありましたら、高天神から気賀までの間は船を使うように。』

と返されてしまいました。流石にこれを受ける事は出来ません。その後も話し合いを重ねまして、次の案を双方持ち帰る事になりました。」

 

 武田徳川双方が持ち帰った案。それは……。



山県昌景「長沢から気賀。二俣から諏訪原の間でありますか……。」

内藤昌豊「人と物の行き来を考えた場合。この道を通るのが自然でありますし、費用も少なくて済みます。」

高坂昌信「しかし武田徳川共重要拠点を通る事になります。」

馬場信春「関所を設ける事は?」

穴山信君「流石に何も無いのは良くありませんので。ただし関銭を取る事は認められていません。あくまで不審な人と物の出入りの確認と治安維持を目的とした関所であります。」

山県昌景「そうなるとうちは境となる長沢と気賀。二俣に諏訪原。本来であれば通したくはないのではあるが、向こうは向こうで掛川を開放する事を考えたら仕方が無いか……。」

馬場信春「この事については山県の考えが我らの考えであります。その案でお願いします。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天冥聖戦 伝説への軌跡

くらまゆうき
ファンタジー
あらすじ 狐の神族にはどんな過去があって人に封印されたのか? もはや世界の誰からも忘れられた男となった狐神はどうにかして人の体から出ようとするが、思いもよらぬ展開へと発展していく… 消えている過去の記憶を追い求めながら彼が感じた事は戦争のない世界を作りたい。 シーズンを重ねるごとに解き明かされていく狐の神族の謎は衝撃の連発! 書籍化、アニメ化したいと大絶賛の物語をお見逃しなく

不死の少女は王女様

未羊
ファンタジー
※カクヨム、エブリスタでの完結作品の自己転載です 大陸ひとつを統一していたエルミタージュ王国。その栄華は永遠に続くかと思われた。 ある時、小さな内乱をきっかけに王国は一気に傾き、ついに滅亡の時を迎えてしまう。 国王と王妃は一人娘を逃すために魔法をかけ、自らはその戦火に姿を消した。 一人残された王女は何度となく絶望をしたものの生きながらえてしまう。 絶望の果てにやがて落ち着いた王女は、両親の最後の言葉を胸に、気の遠くなるあてのない旅へと出たのだった。

幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない… そんな中、夢の中の本を読むと、、、

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR

ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。 だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。 無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。 人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。 だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。 自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。 殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

世界一の怪力男 彼は最強を名乗る種族に果たし状を出しました

EAD
ファンタジー
世界一の怪力モンスターと言われた格闘家ラングストン、彼は無敗のまま格闘人生を終え老衰で亡くなった。 気がつき目を覚ますとそこは異世界、ラングストンは1人の成人したばかりの少年となり転生した。 ラングストンの前の世界での怪力スキルは何故か最初から使えるので、ラングストンはとある学園に希望して入学する。 そこは色々な種族がいて、戦いに自信のある戦士達がいる学園であり、ラングストンは自らの力がこの世界にも通用するのかを確かめたくなり、果たし状を出したのであった。 ラングストンが果たし状を出したのは、生徒会長、副会長、書記などといった実力のある美女達である、果たしてラングストンの運命はいかに…

処理中です...