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交渉後

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 正式な和睦について徳川と詰めの協議を行った穴山信君が深志に到着。この報を受け……。



馬場信春「度々の御足労。感謝します。」

私(武田勝頼)「大まかな内容は聞いています。躑躅ヶ崎で行うよりもここの方が(交渉役の)穴山の負担も軽くなります。」

穴山信君「ありがとうございます。」

高坂昌信「早速でありますが、交渉の結果を教えて下さい。」

穴山信君「まず国境についてであります。こちらについては現状を国境とする事で合意しました。

 次に徳川領近海の我が水軍の航行並びに港への寄港についても了承を得る事が出来ました。ただし徳川方の港を軍港として使う事は不可となっています。可能なのは水や食糧そして燃料となる薪の購入であります。この事について小浜様は?」

山県昌景「『問題ありません。』

との回答でありました。」

穴山信君「ありがとうございます。同じく港に関する事で掛塚湊の利用でありますが、徳川の船を使う事を条件にこちらも了承を得る事が出来ました。この件について内藤様は?」

内藤昌豊「我らの船が尾張や伊勢に入る事は出来ません。徳川の船を使えるのは有難い限りであります。」

穴山信君「ありがとうございます。ここからは持ち帰った事案であります。武田徳川双方共飛び地を抱える事になりました。人と物を行き来させる際、どうしても相手領内に足を踏み入れなければなりません。解決していないのが、その道についてであります。

 当初我らは吉田から遠江に抜ける道を用意すれば良いと考えていました。しかしこの提案に対し徳川は

『不便だ。』

と拒絶され、

『そちらがその考えでありましたら、高天神から気賀までの間は船を使うように。』

と返されてしまいました。流石にこれを受ける事は出来ません。その後も話し合いを重ねまして、次の案を双方持ち帰る事になりました。」

 

 武田徳川双方が持ち帰った案。それは……。



山県昌景「長沢から気賀。二俣から諏訪原の間でありますか……。」

内藤昌豊「人と物の行き来を考えた場合。この道を通るのが自然でありますし、費用も少なくて済みます。」

高坂昌信「しかし武田徳川共重要拠点を通る事になります。」

馬場信春「関所を設ける事は?」

穴山信君「流石に何も無いのは良くありませんので。ただし関銭を取る事は認められていません。あくまで不審な人と物の出入りの確認と治安維持を目的とした関所であります。」

山県昌景「そうなるとうちは境となる長沢と気賀。二俣に諏訪原。本来であれば通したくはないのではあるが、向こうは向こうで掛川を開放する事を考えたら仕方が無いか……。」

馬場信春「この事については山県の考えが我らの考えであります。その案でお願いします。」
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