255 / 318
陥落
しおりを挟む
しばらくして……。
武藤喜兵衛「伊賀陥落でありますか?」
私(武田勝頼)「山県からの便りが詳しかった。」
武藤喜兵衛「どのような伝手からでありますか?」
私(武田勝頼)「徳川の中に伊賀の出の者が居るんだとか。尤も最初に徳川に仕えたのは親の時らしく、本人は生まれも育ちも三河。」
武藤喜兵衛「陥落の経緯を教えていただけますでしょうか?」
伊賀攻めに失敗した織田信雄は自身の汚名をそそぐべく直ちに兵を編成。北から蒲生と脇坂。北東方向からは丹羽に滝川。北西部からは堀に多羅尾。南西からは浅野に筒井。そして南東部から織田信雄自らが。伊賀に通じる全ての口から乱入。その数実に5万。
多勢無勢。わずか1週間で伊賀のほぼ全ての地域が織田信雄の手に落ち、最後まで抵抗を試みた南西部の柏原城も1ヶ月後には陥落。伊賀国内は焦土と化し、3分の1の人が織田の手に掛かり……。
武藤喜兵衛「斯様な状況で治める事は……。」
私(武田勝頼)「越前で経験しているからな……。ただ越前と違うのは、伊賀国内に織田を支持する者はいない。逆に反対の立場の者しかいないから出来た所業と言えるかもしれない。」
武藤喜兵衛「殿でしたら?」
私(武田勝頼)「うちは出来ない。敵方に協力者が出ない事には攻略は覚束ないし、仮に出来たとしても国の全てを管轄出来るだけの人員を持って行くだけの余裕は無い。」
武藤喜兵衛「織田はそれが可能?」
私(武田勝頼)「信長の直臣衆で手持無沙汰な奴。特に将軍との折衝にあたっていた者共が居るんだろう。」
武藤喜兵衛「となりますと伊賀を管轄する事になりましたのは?」
私(武田勝頼)「『伊賀は織田信雄の直轄領となった。』
と記されている。」
武藤喜兵衛「越前に始まり、刈谷に知多。そして此度の伊賀と、統治の仕方が少々荒っぽいように感じるのでありますが。」
私(武田勝頼)「跡部に見せた時に言われたのが……。呼んでこようか?」
武藤喜兵衛「お願いします。」
跡部勝資「その件でありますか。織田の特徴として『国替』があります。土地はあくまで織田の持ち物であって、褒美として与えられたとしても各々が各々の方法で任された場所を運営する事は許されていません。先程、喜兵衛が言いました場所は織田の直轄領ではありませんでした。刈谷は水野。知多は久松。越前は朝倉の中で織田に協力した者共がそれぞれの方法で治め、伊賀については敵対していました。
『今後、織田に従うのであればこちらの考えに従っていただく。さもなくば……。』」
殲滅するのみ。
武藤喜兵衛「伊賀陥落でありますか?」
私(武田勝頼)「山県からの便りが詳しかった。」
武藤喜兵衛「どのような伝手からでありますか?」
私(武田勝頼)「徳川の中に伊賀の出の者が居るんだとか。尤も最初に徳川に仕えたのは親の時らしく、本人は生まれも育ちも三河。」
武藤喜兵衛「陥落の経緯を教えていただけますでしょうか?」
伊賀攻めに失敗した織田信雄は自身の汚名をそそぐべく直ちに兵を編成。北から蒲生と脇坂。北東方向からは丹羽に滝川。北西部からは堀に多羅尾。南西からは浅野に筒井。そして南東部から織田信雄自らが。伊賀に通じる全ての口から乱入。その数実に5万。
多勢無勢。わずか1週間で伊賀のほぼ全ての地域が織田信雄の手に落ち、最後まで抵抗を試みた南西部の柏原城も1ヶ月後には陥落。伊賀国内は焦土と化し、3分の1の人が織田の手に掛かり……。
武藤喜兵衛「斯様な状況で治める事は……。」
私(武田勝頼)「越前で経験しているからな……。ただ越前と違うのは、伊賀国内に織田を支持する者はいない。逆に反対の立場の者しかいないから出来た所業と言えるかもしれない。」
武藤喜兵衛「殿でしたら?」
私(武田勝頼)「うちは出来ない。敵方に協力者が出ない事には攻略は覚束ないし、仮に出来たとしても国の全てを管轄出来るだけの人員を持って行くだけの余裕は無い。」
武藤喜兵衛「織田はそれが可能?」
私(武田勝頼)「信長の直臣衆で手持無沙汰な奴。特に将軍との折衝にあたっていた者共が居るんだろう。」
武藤喜兵衛「となりますと伊賀を管轄する事になりましたのは?」
私(武田勝頼)「『伊賀は織田信雄の直轄領となった。』
と記されている。」
武藤喜兵衛「越前に始まり、刈谷に知多。そして此度の伊賀と、統治の仕方が少々荒っぽいように感じるのでありますが。」
私(武田勝頼)「跡部に見せた時に言われたのが……。呼んでこようか?」
武藤喜兵衛「お願いします。」
跡部勝資「その件でありますか。織田の特徴として『国替』があります。土地はあくまで織田の持ち物であって、褒美として与えられたとしても各々が各々の方法で任された場所を運営する事は許されていません。先程、喜兵衛が言いました場所は織田の直轄領ではありませんでした。刈谷は水野。知多は久松。越前は朝倉の中で織田に協力した者共がそれぞれの方法で治め、伊賀については敵対していました。
『今後、織田に従うのであればこちらの考えに従っていただく。さもなくば……。』」
殲滅するのみ。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

いや、婿を選べって言われても。むしろ俺が立候補したいんだが。
SHO
歴史・時代
時は戦国末期。小田原北条氏が豊臣秀吉に敗れ、新たに徳川家康が関八州へ国替えとなった頃のお話。
伊豆国の離れ小島に、弥五郎という一人の身寄りのない少年がおりました。その少年は名刀ばかりを打つ事で有名な刀匠に拾われ、弟子として厳しく、それは厳しく、途轍もなく厳しく育てられました。
そんな少年も齢十五になりまして、師匠より独立するよう言い渡され、島を追い出されてしまいます。
さて、この先の少年の運命やいかに?
剣術、そして恋が融合した痛快エンタメ時代劇、今開幕にございます!
*この作品に出てくる人物は、一部実在した人物やエピソードをモチーフにしていますが、モチーフにしているだけで史実とは異なります。空想時代活劇ですから!
*この作品はノベルアップ+様に掲載中の、「いや、婿を選定しろって言われても。だが断る!」を改題、改稿を経たものです。


友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる