上 下
240 / 318

包囲

しおりを挟む
高坂昌信「石山の今の状況についてわかることはありますか?」

馬場信春「加賀や越中の門徒に対し、顕如から頻繁に檄文が届けられている。内容は兵糧の供給について。加賀越中は港からの上がりの他に加賀越中の穀倉地帯も手に入れている。ここで収穫された米や麦があれば、石山は無限に籠城する事が可能。しかし現状、それは叶わぬ。理由は加賀越中と石山の間は全て織田の勢力圏であるため。」

高坂昌信「石山周辺で作物は育たない?」

武藤喜兵衛「耕作は可能と聞いています。しかし織田による作毛の刈り取りに遭い、収穫はほぼ絶望的な状況にあります。」

山県昌景「唯一開かれた門戸が海。要所要所を押さえられてはいるが、先のいくさで織田が大敗を喫した木津川河口は本願寺の勢力下にある。ただそこを使って石山に入る事が出来るのは紀伊の者のみ。基本自弁であるため、彼らが持って来る兵糧だけで城を維持する事は難しいと言わざるを得ない。」

内藤昌豊「そうなると長く守り続ける事は出来ないな。」

高坂昌信「それで殿の所に……。」

私(武田勝頼)「将軍から手紙が届いている。」



「石山を救うべく至急上洛せよ。」



武藤喜兵衛「越後にも同様の手紙が送られています。」

高坂昌信「北陸の状況は?」

馬場信春「越中については問題無い。我らと上杉は同盟関係にある。国人が単独で謙信と相対する事は出来ないのがその理由。」

高坂昌信「一向宗と上杉の関係は?」

馬場信春「長年のしこりは残っているが、将軍様の書状が大きな効力を発揮している。それに門徒も本山の危機を打破するためには謙信の力が必要不可欠。恒久的な和睦となるかは定かで無いが、少なくとも石山の問題が解決されるまでは今の関係が破綻する心配は無い。ただ問題が残されている。能登だ。能登の畠山の去就が定まっていない。織田と上杉の間で綱引きが続いている状況にある。」

山県昌景「我らは徳川か……。」

馬場信春「仮に徳川を屠る事が出来たとしても、単独で織田と相対する事は出来ぬ。」

内藤昌豊「一時的な勝利を収める事は可能かもしれませんが、物量差では織田に太刀打ちする事は出来ません。一時的な勝利で勝ち切る以外にありません。そのためには上杉の動きと歩調を合わせる。織田を分散させる必要があります。」

馬場信春「今は謙信を見守るしかない。」

高坂昌信「武藤殿。」

武藤喜兵衛「はい。」

高坂昌信「うちと上杉以外で将軍様が援軍を要請している所はありませんか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

旅行先で目を覚ましたら森長可になっていた私。京で政変と聞き急ぎ美濃を目指す中、唯一の協力者。出浦盛清から紹介された人物が……どうも怪しい。

俣彦
ファンタジー
旅先で目を覚ましたら森長可になっていた私。場面は本能寺直後の越後。急ぎ美濃に戻ろうと試みると周りは敵だらけ。唯一協力を申し出てくれた出浦盛清に助けられ、美濃を目指す途中。出浦盛清に紹介されたのが真田昌幸。

大日本帝国、アラスカを購入して無双する

雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。 大日本帝国VS全世界、ここに開幕! ※架空の日本史・世界史です。 ※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。 ※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

日本が日露戦争後大陸利権を売却していたら? ~ノートが繋ぐ歴史改変~

うみ
SF
ロシアと戦争がはじまる。 突如、現代日本の少年のノートにこのような落書きが成された。少年はいたずらと思いつつ、ノートに冗談で返信を書き込むと、また相手から書き込みが成される。 なんとノートに書き込んだ人物は日露戦争中だということだったのだ! ずっと冗談と思っている少年は、日露戦争の経緯を書き込んだ結果、相手から今後の日本について助言を求められる。こうして少年による思わぬ歴史改変がはじまったのだった。 ※地名、話し方など全て現代基準で記載しています。違和感があることと思いますが、なるべく分かりやすくをテーマとしているため、ご了承ください。 ※この小説はなろうとカクヨムへも投稿しております。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR

ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。 だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。 無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。 人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。 だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。 自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。 殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

女神に冷遇された不遇スキル、実は無限成長の鍵だった

昼から山猫
ファンタジー
女神の加護でスキルを与えられる世界。主人公ラゼルが得たのは“不遇スキル”と揶揄される地味な能力だった。女神自身も「ハズレね」と吐き捨てるほど。しかし、そのスキルを地道に磨くと、なぜかあらゆる魔法や武技を吸収し、無限成長する力に変化。期待されていなかったラゼルは、その才能を見抜いてくれた美女剣士や巫女に助けられ、どん底から成り上がりを果たす。

処理中です...