226 / 318
返還
しおりを挟む
高坂昌信「教えていただく事は出来ませんか?」
武藤喜兵衛「そんな改まる必要はありません。それに私の考えが良いものかどうかわかりませんので。」
高坂昌信「いや。其方は亡き御館様。それも私には無い。織田徳川と相対している時、身近にいた。」
武藤喜兵衛「小間使いをしていただけでありますよ。」
高坂昌信「やらされていたわけでは無いだろう?」
武藤喜兵衛「はい。いづれ真田を継ぐ事にはならないまでも、一家の主として武田を支える存在になるべく学んでいた事は否定しません。」
高坂昌信「今回も感じたことがあるのであろう。教えていただきたい。」
武藤喜兵衛「ありがとうございます。野田の菅沼氏と牛久保の牧野氏は共に徳川と同盟関係にあります。しかしその関係は対等ではありません。主人は徳川であり、野田牛久保はそれに従う。所領も徳川から認められる立場にあります。となりますと発生するものが1つあります。そうです。人質であります。
尤も野田は家康が今川から離れた直後から徳川方を貫き、牛久保は家康が妥協を余儀なくされた家であります。そのため人質は人質であっても純然たる人質ではありません。将来の幹部候補生として集められた側面があります。」
高坂昌信「それでも人質である事実に変わりないな?」
武藤喜兵衛「はい。武藤に入る前の私がそうでありましたように、もし実家が徳川を離れた瞬間。命を奪われる存在である事に変わりはありません。」
高坂昌信「謙信ぐらいか?敵対関係に陥った人質を跡取り候補に残したのは。」
武藤喜兵衛「そうですね。加えて人質を送るのは一方通行であります。徳川が野田牛久保に人質を出す事はあり得ません。広い意味で考えますと婚姻関係も人質を意味する事になります。実際、野田牛久保は徳川ないし徳川と縁の深い家と縁を結んでいます。しかし積極的に動いたのは家の維持を図る立場にある。徳川から斬り捨てられないように奔走しなければならない野田牛久保であります。奥平は例外中の例外であります。」
二連木城。
山県昌景「『信康の所に居る人質を全て帰せ。』
か……。」
内藤昌豊「徳川との同盟は?」
高坂昌信「『解消する必要は無い。』
と言っている。ただ対等な関係にせよ。つまり
『野田牛久保の独立を認めよ。』
と。」
山県昌景「今でこそ武田の一族であり亡き御館様の薫陶を受けて来たが、元々は真田の人質として甲斐にやって来た。実家の動向次第で、いつ命を奪われる事になるかわからない立場を経験している。実家は実家で最も危険な仕事を背負わされ、それでいて先方と言う下の立場に置かれていた。なるほど。」
武藤喜兵衛「そんな改まる必要はありません。それに私の考えが良いものかどうかわかりませんので。」
高坂昌信「いや。其方は亡き御館様。それも私には無い。織田徳川と相対している時、身近にいた。」
武藤喜兵衛「小間使いをしていただけでありますよ。」
高坂昌信「やらされていたわけでは無いだろう?」
武藤喜兵衛「はい。いづれ真田を継ぐ事にはならないまでも、一家の主として武田を支える存在になるべく学んでいた事は否定しません。」
高坂昌信「今回も感じたことがあるのであろう。教えていただきたい。」
武藤喜兵衛「ありがとうございます。野田の菅沼氏と牛久保の牧野氏は共に徳川と同盟関係にあります。しかしその関係は対等ではありません。主人は徳川であり、野田牛久保はそれに従う。所領も徳川から認められる立場にあります。となりますと発生するものが1つあります。そうです。人質であります。
尤も野田は家康が今川から離れた直後から徳川方を貫き、牛久保は家康が妥協を余儀なくされた家であります。そのため人質は人質であっても純然たる人質ではありません。将来の幹部候補生として集められた側面があります。」
高坂昌信「それでも人質である事実に変わりないな?」
武藤喜兵衛「はい。武藤に入る前の私がそうでありましたように、もし実家が徳川を離れた瞬間。命を奪われる存在である事に変わりはありません。」
高坂昌信「謙信ぐらいか?敵対関係に陥った人質を跡取り候補に残したのは。」
武藤喜兵衛「そうですね。加えて人質を送るのは一方通行であります。徳川が野田牛久保に人質を出す事はあり得ません。広い意味で考えますと婚姻関係も人質を意味する事になります。実際、野田牛久保は徳川ないし徳川と縁の深い家と縁を結んでいます。しかし積極的に動いたのは家の維持を図る立場にある。徳川から斬り捨てられないように奔走しなければならない野田牛久保であります。奥平は例外中の例外であります。」
二連木城。
山県昌景「『信康の所に居る人質を全て帰せ。』
か……。」
内藤昌豊「徳川との同盟は?」
高坂昌信「『解消する必要は無い。』
と言っている。ただ対等な関係にせよ。つまり
『野田牛久保の独立を認めよ。』
と。」
山県昌景「今でこそ武田の一族であり亡き御館様の薫陶を受けて来たが、元々は真田の人質として甲斐にやって来た。実家の動向次第で、いつ命を奪われる事になるかわからない立場を経験している。実家は実家で最も危険な仕事を背負わされ、それでいて先方と言う下の立場に置かれていた。なるほど。」
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
天冥聖戦 伝説への軌跡
くらまゆうき
ファンタジー
あらすじ
狐の神族にはどんな過去があって人に封印されたのか?
もはや世界の誰からも忘れられた男となった狐神はどうにかして人の体から出ようとするが、思いもよらぬ展開へと発展していく…
消えている過去の記憶を追い求めながら彼が感じた事は戦争のない世界を作りたい。
シーズンを重ねるごとに解き明かされていく狐の神族の謎は衝撃の連発!
書籍化、アニメ化したいと大絶賛の物語をお見逃しなく
不死の少女は王女様
未羊
ファンタジー
※カクヨム、エブリスタでの完結作品の自己転載です
大陸ひとつを統一していたエルミタージュ王国。その栄華は永遠に続くかと思われた。
ある時、小さな内乱をきっかけに王国は一気に傾き、ついに滅亡の時を迎えてしまう。
国王と王妃は一人娘を逃すために魔法をかけ、自らはその戦火に姿を消した。
一人残された王女は何度となく絶望をしたものの生きながらえてしまう。
絶望の果てにやがて落ち着いた王女は、両親の最後の言葉を胸に、気の遠くなるあてのない旅へと出たのだった。
この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR
ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。
だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。
無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。
人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。
だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。
自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。
殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。
俺の召喚獣だけレベルアップする
摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話
主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った
しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった
それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する
そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった
この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉
神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく……
※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!!
内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません?
https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる