上 下
214 / 318

封鎖

しおりを挟む
 再び前芝湊。

 湊周辺を埋め尽くした小浜景隆率いる水軍衆。

「このまま佐奈川を上り、伊奈城へ向かうのか?」

緊張が走る前芝湊……。



 戻って一宮。



長坂釣閑斎「高坂。如何致した?」

高坂昌信「長坂の考え。御尤もであります。小浜の水軍が三河に入ったとしましても、それが即伊奈城陥落に結び付く確証はありません。そんな不確かなもののために無駄金を使うのは愚の骨頂でしかありません。」

長坂釣閑斎「このままでは恣意行為にしかならぬぞ!」

高坂昌信「はい。」

長坂釣閑斎「それでも小浜を動かすに足る考えを示せ!そうで無ければ許さぬ。」



 前芝湊。小浜の一部部隊に動きあり。何やら川を遡ろうとする様子。湊から連絡を受けた伊奈城から兵船が繰り出される中、小浜が向かった先。それは……豊川。



 一宮。



長坂釣閑斎「ほう。」

高坂昌信「我らの考えに賛同していただけましたでしょうか?」

長坂釣閑斎「小浜に依頼するのは海と前芝の湊。それに渡津と平井を威圧し、人と物の行き来を遮断する……。これらからの上がりによって伊奈は維持されている。謂わば富の源泉と言っても良い場所。なるほど。本多にとってはこちらの方が伊奈を攻め込まれる事以上にきついかも知れぬな。」

山県昌景「ありがとうございます。」

長坂釣閑斎「……待てよ。ここが封じられると、吉田と岡崎の連絡手段も……。」

山県昌景「断つ事が可能となります。」

長坂釣閑斎「吉田城番の交代が難しくなるな。」

山県昌景「はい。」

長坂釣閑斎「吉田城を守る者の大半は吉田以外の者。

山県昌景「はい。」

長坂釣閑斎「城下に家族は?」

山県昌景「今の状況では難しいでしょう。単身赴任の者がほとんどでは無いかと。尤もその原因を作っているのは我らでありますが。」

山県昌景「いつ故郷に帰る事が出来るのかわからぬままの務めとなります。」

長坂釣閑斎「行き来を封じるのは?」

山県昌景「人だけでは勿論ありません。物の動きも止める所存であります。」

長坂釣閑斎「如何に備蓄が潤沢であったとしても、いづれ枯渇する定めにある。後は山県と高坂が陸路からの動きの注意を払い、内藤が後方から支える。その間に牛久保と野田を徳川から決別させ、吉田伊奈への心理的圧迫を強めていく。わかった。そこまでの予算は何とか工面致す。」

高坂昌信「ありがとうございます。」

山県昌景「長坂様。」

長坂釣閑斎「ん。どうした?」

山県昌景「それに殿。」

私(武田勝頼)「私も長坂同様山県と高坂の考えに賛成しているぞ。」

山県昌景「私の我儘を聞いていただく事は出来ませんでしょうか?」

私(武田勝頼)「ん!?構わぬ。申してみよ。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

気がついたら異世界に転生していた。

みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。 気がついたら異世界に転生していた。 普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・ 冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。 戦闘もありますが少しだけです。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ
ファンタジー
病で幼いころから病室から出たことがなかった少年 生きるため懸命にあがいてきたものの、進行が恐ろしく速い癌によって体が蝕まれ 手術の甲斐もむなしく死んでしまった そんな生を全うできなかった少年に女神が手を差し伸べた 女神は少年に幸せになってほしいと願う そして目覚めると、少年は少女になっていた 今生は精霊王女として生きることとなった少女の チートクラスに強い仲間と共に歩む旅物語

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

目が覚めたら異世界で草生える

みももも
ファンタジー
アカネが目を覚ますと、目の前には大草原が広がっていた。 緑色の羊や空を飛ぶドラゴンを見て「どうやら私は異世界に来てしまったらしい」と理解したアカネは生き延びるためにまずは人のいる街を目指して歩き出すことにした……。 テンプレ的な説明もなく、異世界に関する知識も持たないアカネが出会いと別れを繰り返しながら元の世界に戻る(あるいは記憶を取り戻す)ために試行錯誤するお話です。

処理中です...