201 / 318
休暇
しおりを挟む
真田信綱の話しを聞いた高坂昌信は、長沢から赤坂までを手入れ。徳川信康の次なる侵攻に備えを行った後、武藤喜兵衛と共に長沢城を出立。途中、萩城も確認し一宮砦に到着。
馬場信春「喜兵衛。兄の様子は如何であった?」
武藤喜兵衛「昌輝兄はいつも通りでありました。しかし信綱兄は……。」
馬場信春「ここでは言い難い状態だったか?」
武藤喜兵衛「はい。」
馬場信春「しかし信康を食い止めたことに変わりは無い。訓練を積み重ねても、それを超える事態は発生するもの。信綱は、高坂の家臣に迷惑を掛けてしまった事を気にしているのであろう?」
武藤喜兵衛「はい。」
馬場信春「心配するな。その原因を作ったのは……。」
高坂昌信「私であります。」
馬場信春「良い家臣に恵まれたな。」
高坂昌信「亡き御館様のおかげであります。」
馬場信春「彼らにも報いをせねばならないな。」
高坂昌信「ありがとうございます。」
馬場信春「ただ信康が健在となると、東三河の攻略は容易では無くなったな。」
高坂昌信「はい。此度は信綱の踏ん張りと昌輝の働きがあり。事無きを得る事が出来ましたが、徳川が全軍で以て挟み撃ちをして来た場合……。」
馬場信春「牧野の力を借りる事無く、御油から長沢を奪い返される恐れがある?」
高坂昌信「はい。」
馬場信春「それを見た牛久保に野田。更には西郷がどのような動きを見せるか?」
高坂昌信「読めなくなってしまいます。」
馬場信春「それを防ぐためにも信康の侵入口である長沢の安定化は必要不可欠。」
高坂昌信「はい。」
馬場信春「しかしその圧迫に長期間信綱を晒させるわけには?」
高坂昌信「行きません。このままでは信綱は壊れてしまいます。」
馬場信春「喜兵衛もそう思うか?」
武藤喜兵衛「兄の不利益になるような事を申すわけには……。」
馬場信春「それだけで十分だ。喜兵衛まで背負わせるわけには行かぬ。」
武藤喜兵衛「はい。」
馬場信春「高坂。」
高坂昌信「はい。」
馬場信春「お前が長沢に行っている間。山県とやり取りをしていてな。」
高坂昌信「どのような件で?」
馬場信春「わかっているだろ?譜代になった信綱と昌輝。それに小幡信貞についての事だ。此度の作戦。短期間で終える事が難しくなった。」
高坂昌信「はい。」
馬場信春「彼らは我らとは違い、地盤を持っている。」
高坂昌信「はい。」
馬場信春「譜代は単身赴任があるとは言え、このままにしておくのは良くないと考えている。」
高坂昌信「確かに。」
馬場信春「一度彼らをそれぞれの領地に戻そうと考えている。勿論、今回の活躍を報いる。新たな領地を与えた上で。である。それでどうだ?」
高坂昌信「構いません。そうなりますと……。」
馬場信春「喜兵衛。兄の様子は如何であった?」
武藤喜兵衛「昌輝兄はいつも通りでありました。しかし信綱兄は……。」
馬場信春「ここでは言い難い状態だったか?」
武藤喜兵衛「はい。」
馬場信春「しかし信康を食い止めたことに変わりは無い。訓練を積み重ねても、それを超える事態は発生するもの。信綱は、高坂の家臣に迷惑を掛けてしまった事を気にしているのであろう?」
武藤喜兵衛「はい。」
馬場信春「心配するな。その原因を作ったのは……。」
高坂昌信「私であります。」
馬場信春「良い家臣に恵まれたな。」
高坂昌信「亡き御館様のおかげであります。」
馬場信春「彼らにも報いをせねばならないな。」
高坂昌信「ありがとうございます。」
馬場信春「ただ信康が健在となると、東三河の攻略は容易では無くなったな。」
高坂昌信「はい。此度は信綱の踏ん張りと昌輝の働きがあり。事無きを得る事が出来ましたが、徳川が全軍で以て挟み撃ちをして来た場合……。」
馬場信春「牧野の力を借りる事無く、御油から長沢を奪い返される恐れがある?」
高坂昌信「はい。」
馬場信春「それを見た牛久保に野田。更には西郷がどのような動きを見せるか?」
高坂昌信「読めなくなってしまいます。」
馬場信春「それを防ぐためにも信康の侵入口である長沢の安定化は必要不可欠。」
高坂昌信「はい。」
馬場信春「しかしその圧迫に長期間信綱を晒させるわけには?」
高坂昌信「行きません。このままでは信綱は壊れてしまいます。」
馬場信春「喜兵衛もそう思うか?」
武藤喜兵衛「兄の不利益になるような事を申すわけには……。」
馬場信春「それだけで十分だ。喜兵衛まで背負わせるわけには行かぬ。」
武藤喜兵衛「はい。」
馬場信春「高坂。」
高坂昌信「はい。」
馬場信春「お前が長沢に行っている間。山県とやり取りをしていてな。」
高坂昌信「どのような件で?」
馬場信春「わかっているだろ?譜代になった信綱と昌輝。それに小幡信貞についての事だ。此度の作戦。短期間で終える事が難しくなった。」
高坂昌信「はい。」
馬場信春「彼らは我らとは違い、地盤を持っている。」
高坂昌信「はい。」
馬場信春「譜代は単身赴任があるとは言え、このままにしておくのは良くないと考えている。」
高坂昌信「確かに。」
馬場信春「一度彼らをそれぞれの領地に戻そうと考えている。勿論、今回の活躍を報いる。新たな領地を与えた上で。である。それでどうだ?」
高坂昌信「構いません。そうなりますと……。」
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します
カオリグサ
ファンタジー
病で幼いころから病室から出たことがなかった少年
生きるため懸命にあがいてきたものの、進行が恐ろしく速い癌によって体が蝕まれ
手術の甲斐もむなしく死んでしまった
そんな生を全うできなかった少年に女神が手を差し伸べた
女神は少年に幸せになってほしいと願う
そして目覚めると、少年は少女になっていた
今生は精霊王女として生きることとなった少女の
チートクラスに強い仲間と共に歩む旅物語
高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?
俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ここ掘れわんわんから始まる異世界生活―陸上戦艦なにそれ?―
北京犬(英)
ファンタジー
第一章改稿版に差し替中。
暫く繋がりがおかしくなりますが、ご容赦ください。(2020.10.31)
第四章完結。第五章に入りました。
追加タグ:愛犬がチート、モフモフ、農業、奴隷、少しコメディ寄り、時々シリアス、ほのぼの
愛犬のチワワと共に異世界転生した佐々木蔵人(ささき くらんど)が、愛犬プチのユニークスキル”ここ掘れわんわん”に助けられて異世界でスローライフを満喫しようとします。
しかし転生して降り立った場所は魔物が蔓延る秘境の森。
蔵人の基本レベルは1で、持っているスキルも初期スキルのLv.1のみ。
ある日、プチの”ここ掘れわんわん”によりチート能力を得てしまいます。
しかし蔵人は自身のイメージ力の問題でチート能力を使いこなせません。
思い付きで農場をチート改造して生活に困らなくなり、奴隷を買い、なぜか全員が嫁になってハーレム生活を開始。
そして塒(ねぐら)として確保した遺跡が……。大きな陰謀に巻き込まれてしまいます。
前途多難な異世界生活を愛犬や嫁達と共に生き延びて、望みのスローライフを送れるのだろうかという物語です。
基本、生産チートでほのぼの生活が主体――のはずだったのですが、陸上戦艦の艦隊戦や戦争描写が増えています。
小説家になろう、カクヨムでも公開しています。改稿版はカクヨム最新。
せっかく転生したのに得たスキルは「料理」と「空間厨房」。どちらも外れだそうですが、私は今も生きています。
リーゼロッタ
ファンタジー
享年、30歳。どこにでもいるしがないOLのミライは、学校の成績も平凡、社内成績も平凡。
そんな彼女は、予告なしに突っ込んできた車によって死亡。
そして予告なしに転生。
ついた先は、料理レベルが低すぎるルネイモンド大陸にある「光の森」。
そしてやって来た謎の獣人によってわけの分からん事を言われ、、、
赤い鳥を仲間にし、、、
冒険系ゲームの世界につきもののスキルは外れだった!?
スキルが何でも料理に没頭します!
超・謎の世界観とイタリア語由来の名前・品名が特徴です。
合成語多いかも
話の単位は「食」
3月18日 投稿(一食目、二食目)
3月19日 え?なんかこっちのほうが24h.ポイントが多い、、、まあ嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる