185 / 318
退去
しおりを挟む
しばらくして今川義元は渥美郡を制圧。
高坂昌信「当時今川義元はうちと北条との間で同盟が結ばれていたため、所領を拡大するためには西に向かうしかありませんでした。豊川の向こう岸は今川と友好関係にある牧野氏。更に西の岡崎の松平も同様。義元の目はその更に西に向けられる事になるのは自然な流れでありました。となりますと東三河における新たな拠点となりました吉田城は東に寄り過ぎています。最前線の岡崎に入る事が出来るのが理想ではありますが、そこには松平広忠が居ます。加えて岡崎近くにまで織田信秀が進出しているため、緩衝地帯が欲しい所でもあります。
そこで白羽の矢が立てられたのが岡崎にも近く、それでいて織田信秀から適度な距離を保つ事が出来。更には大量の兵を収容する事が可能な長沢城でありました。長沢城を本拠地に構えていたのは先のいくさで牧野から追われた長沢松平。
『ここを拠点にしても問題は無い。』
と選定されたのでありましたが……。」
私(武田勝頼)「長沢が敵対の意志を示した場合、長沢松平の全ての所領を受け取る権利を持っている人物が居る。」
高坂昌信「はい。」
私(武田勝頼)「しかもその人物は、今川の助けを借りずに実現させる事に成功した。」
高坂昌信「はい。」
私(武田勝頼)「長沢松平を追い払った後、長沢城を守って来た自負もある。」
高坂昌信「はい。今川の決定を面白く思っていない人物が居ます。」
牧野保成。
高坂昌信「太原雪斎からは
『織田とのいくさが終わるまでの一時的な措置であり、織田とのいくさに勝利を収める。つまり軍事拠点として長沢を使う必要が無くなった暁には、牧野に返還する。』
との約束の下、接収されたとの事でありましたが……。」
いくさはいつ終わるんだい?
山県昌景「仮に今川義元があのいくさで信長に勝ったとしても、信長とのいくさが終わるわけでは無かったよな。」
高坂昌信「そうですね。あれは刈谷から知多半島までの権益を争ったいくさでありましたので。」
山県昌景「直接戦う城となる危険性は小さくなる。しかし人と物の流れを陸路に依存している以上長沢の重要性に変化は無い。」
高坂昌信「引き続き長沢城は今川が押さえる事になったでありましょう。」
私(武田勝頼)「長沢の所領はどうなった?」
高坂昌信「『軍勢の維持並びに地域の行政活動には多くの費用を必要としますので。』」
私(武田勝頼)「割の良い場所であればある程、今川に取られてしまった?」
高坂昌信「『何のために一門総出で戦ったんだ。』
と家中は今川への不信感が充満したとの事でありました。」
高坂昌信「当時今川義元はうちと北条との間で同盟が結ばれていたため、所領を拡大するためには西に向かうしかありませんでした。豊川の向こう岸は今川と友好関係にある牧野氏。更に西の岡崎の松平も同様。義元の目はその更に西に向けられる事になるのは自然な流れでありました。となりますと東三河における新たな拠点となりました吉田城は東に寄り過ぎています。最前線の岡崎に入る事が出来るのが理想ではありますが、そこには松平広忠が居ます。加えて岡崎近くにまで織田信秀が進出しているため、緩衝地帯が欲しい所でもあります。
そこで白羽の矢が立てられたのが岡崎にも近く、それでいて織田信秀から適度な距離を保つ事が出来。更には大量の兵を収容する事が可能な長沢城でありました。長沢城を本拠地に構えていたのは先のいくさで牧野から追われた長沢松平。
『ここを拠点にしても問題は無い。』
と選定されたのでありましたが……。」
私(武田勝頼)「長沢が敵対の意志を示した場合、長沢松平の全ての所領を受け取る権利を持っている人物が居る。」
高坂昌信「はい。」
私(武田勝頼)「しかもその人物は、今川の助けを借りずに実現させる事に成功した。」
高坂昌信「はい。」
私(武田勝頼)「長沢松平を追い払った後、長沢城を守って来た自負もある。」
高坂昌信「はい。今川の決定を面白く思っていない人物が居ます。」
牧野保成。
高坂昌信「太原雪斎からは
『織田とのいくさが終わるまでの一時的な措置であり、織田とのいくさに勝利を収める。つまり軍事拠点として長沢を使う必要が無くなった暁には、牧野に返還する。』
との約束の下、接収されたとの事でありましたが……。」
いくさはいつ終わるんだい?
山県昌景「仮に今川義元があのいくさで信長に勝ったとしても、信長とのいくさが終わるわけでは無かったよな。」
高坂昌信「そうですね。あれは刈谷から知多半島までの権益を争ったいくさでありましたので。」
山県昌景「直接戦う城となる危険性は小さくなる。しかし人と物の流れを陸路に依存している以上長沢の重要性に変化は無い。」
高坂昌信「引き続き長沢城は今川が押さえる事になったでありましょう。」
私(武田勝頼)「長沢の所領はどうなった?」
高坂昌信「『軍勢の維持並びに地域の行政活動には多くの費用を必要としますので。』」
私(武田勝頼)「割の良い場所であればある程、今川に取られてしまった?」
高坂昌信「『何のために一門総出で戦ったんだ。』
と家中は今川への不信感が充満したとの事でありました。」
0
お気に入りに追加
43
あなたにおすすめの小説
天冥聖戦 伝説への軌跡
くらまゆうき
ファンタジー
あらすじ
狐の神族にはどんな過去があって人に封印されたのか?
もはや世界の誰からも忘れられた男となった狐神はどうにかして人の体から出ようとするが、思いもよらぬ展開へと発展していく…
消えている過去の記憶を追い求めながら彼が感じた事は戦争のない世界を作りたい。
シーズンを重ねるごとに解き明かされていく狐の神族の謎は衝撃の連発!
書籍化、アニメ化したいと大絶賛の物語をお見逃しなく
不死の少女は王女様
未羊
ファンタジー
※カクヨム、エブリスタでの完結作品の自己転載です
大陸ひとつを統一していたエルミタージュ王国。その栄華は永遠に続くかと思われた。
ある時、小さな内乱をきっかけに王国は一気に傾き、ついに滅亡の時を迎えてしまう。
国王と王妃は一人娘を逃すために魔法をかけ、自らはその戦火に姿を消した。
一人残された王女は何度となく絶望をしたものの生きながらえてしまう。
絶望の果てにやがて落ち着いた王女は、両親の最後の言葉を胸に、気の遠くなるあてのない旅へと出たのだった。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR
ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。
だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。
無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。
人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。
だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。
自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。
殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
月白色の叙情詩~銀礫の魔女が綴るもの~
羽月明香
ファンタジー
魔女は災いを呼ぶ。
魔女は澱みから生まれし魔物を操り、更なる混沌を招く。そうして、魔物等の王が生まれる。
魔物の王が現れし時、勇者は選ばれ、勇者は魔物の王を打ち倒す事で世界から混沌を浄化し、救世へと導く。
それがこの世界で繰り返されてきた摂理だった。
そして、またも魔物の王は生まれ、勇者は魔物の王へと挑む。
勇者を選びし聖女と聖女の侍従、剣の達人である剣聖、そして、一人の魔女を仲間に迎えて。
これは、勇者が魔物の王を倒すまでの苦難と波乱に満ちた物語・・・ではなく、魔物の王を倒した後、勇者にパーティから外された魔女の物語です。
※衝動発射の為、着地点未定。一応完結させるつもりはありますが、不定期気紛れ更新なうえ、展開に悩めば強制終了もありえます。ご了承下さい。
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる