131 / 318
皆同じ
しおりを挟む
山県昌景「私に人を見る目が無かった。と言う事か……。」
高坂昌信「いえ、そうではありません。裏切られる危険性は皆同じであります。」
山県昌景「慰めにもならんぞ。」
高坂昌信「いえ事実を述べただけであります。」
山県昌景「謙信とやり合っていたお前の方が危険度は高かったはず。それにも関わらず裏切り者が出なかったと言う事は……。」
高坂昌信「それについて言えば、単純に私は恵まれていただけであります。」
山県昌景「国人衆の事か?」
高坂昌信「いえ違います。私が恵まれていたのは身内と周りであります。
まず北信濃経営が亡き御館様肝煎りの事業であった事が大きかったと。海津城には多くの兵が常駐し、かつ何かあればすぐ御館様が駆け付ける態勢が整っていました。私で無くても構わなかったのが実態であります。
2つ目は亡き御館様直轄事業である事とも繋がるのでありますが、多くの方々の協力を得る事が出来た事であります。越後国内の調略や馬場様が越中に手を回していただいたおかげで、謙信の攻撃を減殺する事が出来たからであります。
そして最後3つ目に来るのが、謙信は本気で信濃を奪いに来たわけでは無かった事であります。ただ悪戯に兵を暴れさせるだけでしか無かった。民を守るために来たのでは無い。彼に従っても良い事は無い。それならば武田の方が。の消去法で選ばれていたに過ぎません。故に少しでも彼らを蔑ろにでもしようものなら、私の首などあっという間に胴から切り離される事になってしまいます。
ただその危険性は皆同じであります。恐らくでありますが我らが受け身の側に立たされたのは亡き御館様以来初めての事態であります。甲斐からの支援が不透明であり、相手は強大。しかも本気になって領国化を目指して来たのは。たまたまその場が三河であっただけの事であります。むしろこれで収まったのが奇跡だったと見ています。」
山県昌景「慰めにもならんぞ。」
高坂昌信「いえ。山県様が現地に入って梃入れを図り、殿が亡き御館様の遺言を反故にした上で美濃遠江に進出したからこれで収束したのであります。もし他の者が同じ立場に立たされていましたら、裏切りの連鎖が発生した可能性は十分にあり得た事態であります。」
山県昌景「その解釈。ありがたく受け取らせていただく事にする。」
高坂昌信「ありがとうございます。」
山県昌景「ただだからと言って、小山田様や穴山様。それに今回ここには居ない木曾様が役立たずと言うわけではないぞ。彼らが郡内や河内。それに木曾。更には駿河をきちんと治めていただいている。人と予算を回さなくても問題無い状況となっているから、我らは安心して国境に駐屯する事が出来ている。と言う事を忘れてはならぬ。それに少なくとも彼らの方が……。」
高坂よりもいくさ上手である事を忘れるな。
高坂昌信「いえ、そうではありません。裏切られる危険性は皆同じであります。」
山県昌景「慰めにもならんぞ。」
高坂昌信「いえ事実を述べただけであります。」
山県昌景「謙信とやり合っていたお前の方が危険度は高かったはず。それにも関わらず裏切り者が出なかったと言う事は……。」
高坂昌信「それについて言えば、単純に私は恵まれていただけであります。」
山県昌景「国人衆の事か?」
高坂昌信「いえ違います。私が恵まれていたのは身内と周りであります。
まず北信濃経営が亡き御館様肝煎りの事業であった事が大きかったと。海津城には多くの兵が常駐し、かつ何かあればすぐ御館様が駆け付ける態勢が整っていました。私で無くても構わなかったのが実態であります。
2つ目は亡き御館様直轄事業である事とも繋がるのでありますが、多くの方々の協力を得る事が出来た事であります。越後国内の調略や馬場様が越中に手を回していただいたおかげで、謙信の攻撃を減殺する事が出来たからであります。
そして最後3つ目に来るのが、謙信は本気で信濃を奪いに来たわけでは無かった事であります。ただ悪戯に兵を暴れさせるだけでしか無かった。民を守るために来たのでは無い。彼に従っても良い事は無い。それならば武田の方が。の消去法で選ばれていたに過ぎません。故に少しでも彼らを蔑ろにでもしようものなら、私の首などあっという間に胴から切り離される事になってしまいます。
ただその危険性は皆同じであります。恐らくでありますが我らが受け身の側に立たされたのは亡き御館様以来初めての事態であります。甲斐からの支援が不透明であり、相手は強大。しかも本気になって領国化を目指して来たのは。たまたまその場が三河であっただけの事であります。むしろこれで収まったのが奇跡だったと見ています。」
山県昌景「慰めにもならんぞ。」
高坂昌信「いえ。山県様が現地に入って梃入れを図り、殿が亡き御館様の遺言を反故にした上で美濃遠江に進出したからこれで収束したのであります。もし他の者が同じ立場に立たされていましたら、裏切りの連鎖が発生した可能性は十分にあり得た事態であります。」
山県昌景「その解釈。ありがたく受け取らせていただく事にする。」
高坂昌信「ありがとうございます。」
山県昌景「ただだからと言って、小山田様や穴山様。それに今回ここには居ない木曾様が役立たずと言うわけではないぞ。彼らが郡内や河内。それに木曾。更には駿河をきちんと治めていただいている。人と予算を回さなくても問題無い状況となっているから、我らは安心して国境に駐屯する事が出来ている。と言う事を忘れてはならぬ。それに少なくとも彼らの方が……。」
高坂よりもいくさ上手である事を忘れるな。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します
カオリグサ
ファンタジー
病で幼いころから病室から出たことがなかった少年
生きるため懸命にあがいてきたものの、進行が恐ろしく速い癌によって体が蝕まれ
手術の甲斐もむなしく死んでしまった
そんな生を全うできなかった少年に女神が手を差し伸べた
女神は少年に幸せになってほしいと願う
そして目覚めると、少年は少女になっていた
今生は精霊王女として生きることとなった少女の
チートクラスに強い仲間と共に歩む旅物語
高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?
俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ここ掘れわんわんから始まる異世界生活―陸上戦艦なにそれ?―
北京犬(英)
ファンタジー
第一章改稿版に差し替中。
暫く繋がりがおかしくなりますが、ご容赦ください。(2020.10.31)
第四章完結。第五章に入りました。
追加タグ:愛犬がチート、モフモフ、農業、奴隷、少しコメディ寄り、時々シリアス、ほのぼの
愛犬のチワワと共に異世界転生した佐々木蔵人(ささき くらんど)が、愛犬プチのユニークスキル”ここ掘れわんわん”に助けられて異世界でスローライフを満喫しようとします。
しかし転生して降り立った場所は魔物が蔓延る秘境の森。
蔵人の基本レベルは1で、持っているスキルも初期スキルのLv.1のみ。
ある日、プチの”ここ掘れわんわん”によりチート能力を得てしまいます。
しかし蔵人は自身のイメージ力の問題でチート能力を使いこなせません。
思い付きで農場をチート改造して生活に困らなくなり、奴隷を買い、なぜか全員が嫁になってハーレム生活を開始。
そして塒(ねぐら)として確保した遺跡が……。大きな陰謀に巻き込まれてしまいます。
前途多難な異世界生活を愛犬や嫁達と共に生き延びて、望みのスローライフを送れるのだろうかという物語です。
基本、生産チートでほのぼの生活が主体――のはずだったのですが、陸上戦艦の艦隊戦や戦争描写が増えています。
小説家になろう、カクヨムでも公開しています。改稿版はカクヨム最新。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる