旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?

俣彦

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特攻

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 真田信綱合流。



山県昌景「今からやろうとしている事は元々、別の対策が切っ掛けになっているのだが。村上義清って居ただろ?」

真田昌輝「父が忌み嫌っていた。」

山県昌景「そう。お前の父幸隆を上野に追いやったあの村上義清だ。尤もこれは武田も絡んでいる事ではあるのだが。」

真田信綱「亡き御館様のもう1代前の話であります故、お気になさらず。」

山県昌景「信虎様が駿河に追放され亡き御館様が跡を継いでから再び信濃進出を図る事になったのだが、そこに立ち塞がったのが村上義清であった。」

真田昌輝「板垣様や甘利様が……。」

山県昌景「そう。非業の死を遂げる事になったあの村上義清だよ。奴が……。今、上杉と和睦した手前。この表現は良く無いな。村上が我らと相対した際、新しい戦術を採って来た。」

真田昌輝「どのような戦術でありましたか?」

山県昌景「それは……。」



 村上義清本人も含む本隊もろとも武田信玄の本陣目掛け突撃すると言うもの。



山県昌景「ただそれだけであるのなら対応する事は可能ではあったのだが、問題は本隊が突っ込む前。村上本隊の露払いの役目を担った連中である。彼らが持っていた物が……。」



 弓矢とその当時は更に高価だった鉄砲。



山県昌景「これらを村上は集中的に運用して来た。鉄砲の存在は知っていた。破壊力抜群である事も知っていた。しかし鉄砲は高価な代物。実戦に使うにしても、出来る事と言えば狙撃に留まっていたのが実態であった。しかし村上はそれを50丁だったか?用意し、一斉射撃で以て我らに襲い掛かって来た。虚を衝かれた我らは動揺。板垣様甘利様は討ち死に。多くの者が負傷。その中には亡き御館様も含まれていた等多くの犠牲を払う事になってしまった。しかしこの時はまだ良かった。」

真田昌輝「何故でありますか?」

山県昌景「そのいくさで甚大な被害を被ったのはむしろ村上の方であったからである。」

真田昌輝「勝利したのは?」

山県昌景「村上である。」

真田昌輝「それでいて甚大な被害?」

山県昌景「そのいくさで鉄砲を扱っていた者及び弓矢を扱っていた者の大半が討ち死にしたからである。理由は彼らが持っている弾が切れた後、持っていた刀を抜き。村上義清本隊と共に我らに斬り込んで来たからである。」

真田信綱「弓を引くには剛の者で無ければなりませんし、鉄砲となれば熟練の技が必要となります故。」

山県昌景「大事にしなければならぬ人材である。しかし村上義清の目的は亡き御館様を討ち果たす事。ただ1つであった。その後の事は考えていなかった事が我らにとっては幸いした。それに村上には……。」



 この戦術を繰り返し行うのに耐え得る資金が無かった。



山県昌景「人と金を失った村上は我らの反撃に抗する事が出来なかった。しかし問題はここからである。」
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