上 下
109 / 318

逃がしては

しおりを挟む
高坂昌信「ここからは連絡が出来なくなります。疑問点ありましたら何なりと。」

内藤昌豊「お前から渡されたこれ何だけど……。」



 異変に気付いた極楽寺。



「何の騒ぎだ!?」

「周りが囲まれています。」

「武田の奇襲か?」

「いえ。」



 極楽寺を囲む集団が差していた旗に記された家紋は丸の内に三引両。



内藤昌豊「佐久間の旗だよな。これ?」



 織田信長重臣筆頭。佐久間信盛の旗印。



高坂昌信「はい。」

内藤昌豊「何故そのような物を?持って行くべきは酒井と戦うべく進んでいる馬場山県。そして真田の旗指物を持って行くべきでは?」

高坂昌信「これには理由がありまして。」

内藤昌豊「どのような理由だ?持って行く私を納得させる事が出来なければ断るぞ。」

高坂昌信「先程私は信長を仕留めるもしくは逃走させる事が必要と申しました。」

内藤昌豊「聞いておる。」

高坂昌信「しかし信長を逃がす事は最善ではありませんし、次善でもありません。むしろ悪手であります。」

内藤昌豊「次善でも無い?」

高坂昌信「はい。これまでの信長を見ればわかります。

 1つは美濃攻略。長年苦戦を強いられていた信長が目を付けたのが近江の浅井長政。彼に妹を嫁がせる事により、浅井と境を接する西美濃の安藤に稲葉。そして氏家の有力者に圧力を掛け、織田陣営に引き入れる事により稲葉山の斎藤は孤立。美濃攻略に成功しています。

 2つ目は朝倉浅井とのいくさにおいてであります。朝倉と浅井の抵抗の対し信長は

『天下は朝倉義景様の物です。』

と言った屈辱的な文言で以て和睦した信長はその後どうしたでしょうか?美濃尾張に引き籠ったでしょうか?違います。朝倉浅井を滅亡させています。その布石として信長が行った事があります。そうです。彼らが抵抗の拠点とした比叡山の焼討であります。これにより信長は京までの安全な道の確保並びに朝倉の進出拠点を潰す事に成功しています。

 そして最後3つ目が長島であります。幾度となく苦汁を舐めさせられた信長は大船を長島に派遣。海上封鎖する事により、各島々を各個撃破。長島の一向宗は壊滅に追いやられてしまいました。

 これら全ての発案者は織田信長。その人であります。」

内藤昌豊「つまりこのいくさで信長を仕留めない事には、更なる対策を講じて我らに襲い掛かって来る事になる?」

高坂昌信「その通りであります。」

内藤昌豊「そこまではわかった。」

高坂昌信「ありがとうございます。」

内藤昌豊「ただそのために何で佐久間の旗を持って行かなければならないのだ?それを教えてくれ。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

天冥聖戦 伝説への軌跡

くらまゆうき
ファンタジー
あらすじ 狐の神族にはどんな過去があって人に封印されたのか? もはや世界の誰からも忘れられた男となった狐神はどうにかして人の体から出ようとするが、思いもよらぬ展開へと発展していく… 消えている過去の記憶を追い求めながら彼が感じた事は戦争のない世界を作りたい。 シーズンを重ねるごとに解き明かされていく狐の神族の謎は衝撃の連発! 書籍化、アニメ化したいと大絶賛の物語をお見逃しなく

不死の少女は王女様

未羊
ファンタジー
※カクヨム、エブリスタでの完結作品の自己転載です 大陸ひとつを統一していたエルミタージュ王国。その栄華は永遠に続くかと思われた。 ある時、小さな内乱をきっかけに王国は一気に傾き、ついに滅亡の時を迎えてしまう。 国王と王妃は一人娘を逃すために魔法をかけ、自らはその戦火に姿を消した。 一人残された王女は何度となく絶望をしたものの生きながらえてしまう。 絶望の果てにやがて落ち着いた王女は、両親の最後の言葉を胸に、気の遠くなるあてのない旅へと出たのだった。

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

この争いの絶えない世界で ~魔王になって平和の為に戦いますR

ばたっちゅ
ファンタジー
相和義輝(あいわよしき)は新たな魔王として現代から召喚される。 だがその世界は、世界の殆どを支配した人類が、僅かに残る魔族を滅ぼす戦いを始めていた。 無為に死に逝く人間達、荒廃する自然……こんな無駄な争いは止めなければいけない。だが人類にもまた、戦うべき理由と、戦いを止められない事情があった。 人類を会話のテーブルまで引っ張り出すには、結局戦争に勝利するしかない。 だが魔王として用意された力は、死を予感する力と全ての文字と言葉を理解する力のみ。 自分一人の力で戦う事は出来ないが、強力な魔人や個性豊かな魔族たちの力を借りて戦う事を決意する。 殺戮の果てに、互いが共存する未来があると信じて。

天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜 

八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。 第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。 大和型三隻は沈没した……、と思われた。 だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。 大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。 祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。 ※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています! 面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※ ※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

俺の召喚獣だけレベルアップする

摂政
ファンタジー
【第10章、始動!!】ダンジョンが現れた、現代社会のお話 主人公の冴島渉は、友人の誘いに乗って、冒険者登録を行った しかし、彼が神から与えられたのは、一生レベルアップしない召喚獣を用いて戦う【召喚士】という力だった それでも、渉は召喚獣を使って、見事、ダンジョンのボスを撃破する そして、彼が得たのは----召喚獣をレベルアップさせる能力だった この世界で唯一、召喚獣をレベルアップさせられる渉 神から与えられた制約で、人間とパーティーを組めない彼は、誰にも知られることがないまま、どんどん強くなっていく…… ※召喚獣や魔物などについて、『おーぷん2ちゃんねる:にゅー速VIP』にて『おーぷん民でまじめにファンタジー世界を作ろう』で作られた世界観……というか、モンスターを一部使用して書きました!! 内容を纏めたwikiもありますので、お暇な時に一読していただければ更に楽しめるかもしれません? https://www65.atwiki.jp/opfan/pages/1.html

魔道具作ってたら断罪回避できてたわw

かぜかおる
ファンタジー
転生して魔法があったからそっちを楽しんで生きてます! って、あれまあ私悪役令嬢だったんですか(笑) フワッと設定、ざまあなし、落ちなし、軽〜く読んでくださいな。

処理中です...