89 / 318
様子が
しおりを挟む
満を持して武田勝頼の前に現れた織田信長。いよいよ両者が激突。……とはいかないようでありまして……。
武藤喜兵衛「山県様より報告が入りました。」
私(武田勝頼)「押し出して来たか?」
武藤喜兵衛「いえ。そうではありません。信長の様子がおかしいと……。」
私(武田勝頼)「どう言う事だ?」
武藤喜兵衛「『とにかく説明に伺いたい。』と。」
私(武田勝頼)「いや。私が行った方が良い。こちらの備え頼むぞ。」
武藤喜兵衛「わかりました。」
山県昌景陣。
山県昌景「殿。御足労申し訳御座いません。」
私(武田勝頼)「いや。今、其方がここを離れては不測の事態に後れを取ってしまう。それに私も様子を伺おうと思って。」
山県昌景「殿。あちらを。」
連吾川対岸を指差す山県昌景。それを見やる武田勝頼。
私(武田勝頼)「確か鳥居は、信長はほぼ全軍を引き連れて向かうと言っていたよな?」
山県昌景「その数。3万を超えるものと。」
私(武田勝頼)「しかしここから見る限りではあるが……。」
山県昌景「とてもその数が居るとは思えませぬ。それに援軍が来た事を城内に知らせるため。こちらに対しては、このまま囲っていたら挟み撃ちに遭いますよ。速やかに撤退して下さい。を知らしめるために援軍は目立つ場所に。それも大兵を率いているように見せるものであります。とりわけ織田の兵数が多い事は皆が知っている事であります。」
私(武田勝頼)「もし今の様子を長篠城内の者共が見たとしたら……。」
山県昌景「落胆する者も出て来るのでは無いかと。」
私(武田勝頼)「大岡から何か情報は入っているか?」
山県昌景「織田の兵の数は3万を超えています。岡崎を出発しています。三河に敵は我らだけでありますので、全ての者があそこに居る事は確かであります。」
私(武田勝頼)「ほかに変わった事は?」
山県昌景「大量の鉄砲と弾薬を持っています。信長はその鉄砲を活用して来る事に間違いありません。」
私(武田勝頼)「家康が用意した物はあるか?」
山県昌景「武器弾薬並びに兵糧については織田から供出されています。ただ……。」
私(武田勝頼)「どうした?」
山県昌景「信長から大量の木の伐り出しと指定された長さへの加工。並びに紐の用意を依頼され、信長の到着前に全ての作業を終えています。」
私(武田勝頼)「それらを活用している様子は?」
山県昌景「何やら作業をしているのは見えます。物見を出しましょうか?」
私(武田勝頼)「いや。敵が何処に潜んでいるかわからぬ中、無闇に動くのは良くない。一度、皆を集める。」
山県昌景「わかりました。しかしここは良くありません。一度本陣に戻りましょう。」
武藤喜兵衛「山県様より報告が入りました。」
私(武田勝頼)「押し出して来たか?」
武藤喜兵衛「いえ。そうではありません。信長の様子がおかしいと……。」
私(武田勝頼)「どう言う事だ?」
武藤喜兵衛「『とにかく説明に伺いたい。』と。」
私(武田勝頼)「いや。私が行った方が良い。こちらの備え頼むぞ。」
武藤喜兵衛「わかりました。」
山県昌景陣。
山県昌景「殿。御足労申し訳御座いません。」
私(武田勝頼)「いや。今、其方がここを離れては不測の事態に後れを取ってしまう。それに私も様子を伺おうと思って。」
山県昌景「殿。あちらを。」
連吾川対岸を指差す山県昌景。それを見やる武田勝頼。
私(武田勝頼)「確か鳥居は、信長はほぼ全軍を引き連れて向かうと言っていたよな?」
山県昌景「その数。3万を超えるものと。」
私(武田勝頼)「しかしここから見る限りではあるが……。」
山県昌景「とてもその数が居るとは思えませぬ。それに援軍が来た事を城内に知らせるため。こちらに対しては、このまま囲っていたら挟み撃ちに遭いますよ。速やかに撤退して下さい。を知らしめるために援軍は目立つ場所に。それも大兵を率いているように見せるものであります。とりわけ織田の兵数が多い事は皆が知っている事であります。」
私(武田勝頼)「もし今の様子を長篠城内の者共が見たとしたら……。」
山県昌景「落胆する者も出て来るのでは無いかと。」
私(武田勝頼)「大岡から何か情報は入っているか?」
山県昌景「織田の兵の数は3万を超えています。岡崎を出発しています。三河に敵は我らだけでありますので、全ての者があそこに居る事は確かであります。」
私(武田勝頼)「ほかに変わった事は?」
山県昌景「大量の鉄砲と弾薬を持っています。信長はその鉄砲を活用して来る事に間違いありません。」
私(武田勝頼)「家康が用意した物はあるか?」
山県昌景「武器弾薬並びに兵糧については織田から供出されています。ただ……。」
私(武田勝頼)「どうした?」
山県昌景「信長から大量の木の伐り出しと指定された長さへの加工。並びに紐の用意を依頼され、信長の到着前に全ての作業を終えています。」
私(武田勝頼)「それらを活用している様子は?」
山県昌景「何やら作業をしているのは見えます。物見を出しましょうか?」
私(武田勝頼)「いや。敵が何処に潜んでいるかわからぬ中、無闇に動くのは良くない。一度、皆を集める。」
山県昌景「わかりました。しかしここは良くありません。一度本陣に戻りましょう。」
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

いや、婿を選べって言われても。むしろ俺が立候補したいんだが。
SHO
歴史・時代
時は戦国末期。小田原北条氏が豊臣秀吉に敗れ、新たに徳川家康が関八州へ国替えとなった頃のお話。
伊豆国の離れ小島に、弥五郎という一人の身寄りのない少年がおりました。その少年は名刀ばかりを打つ事で有名な刀匠に拾われ、弟子として厳しく、それは厳しく、途轍もなく厳しく育てられました。
そんな少年も齢十五になりまして、師匠より独立するよう言い渡され、島を追い出されてしまいます。
さて、この先の少年の運命やいかに?
剣術、そして恋が融合した痛快エンタメ時代劇、今開幕にございます!
*この作品に出てくる人物は、一部実在した人物やエピソードをモチーフにしていますが、モチーフにしているだけで史実とは異なります。空想時代活劇ですから!
*この作品はノベルアップ+様に掲載中の、「いや、婿を選定しろって言われても。だが断る!」を改題、改稿を経たものです。
英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜
駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。
しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった───
そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。
前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける!
完結まで毎日投稿!

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

大東亜戦争を有利に
ゆみすけ
歴史・時代
日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる