57 / 318
誰も
しおりを挟む
跡部勝資。内藤昌豊と真田信綱の西上野を管轄する両名を伴い躑躅ヶ崎に到着。
跡部勝資「殿。戻りました。」
私(武田勝頼)「越後での交渉。感謝致す。」
跡部勝資「有難うございます。」
私(武田勝頼)「して謙信はどのように言っていた?」
跡部勝資「あまり気にしていなかったように見受けられました。そんな謙信の様子を受け、こちらから以下の要望を伝えました。
1、関東に通じている人物。
1、佐竹との秘密を守り通すことの出来る人物。
1、上杉景虎を見限らない人物。
以上の3点であります。」
私(武田勝頼)「それに対し謙信は何と?」
跡部勝資「『打ってつけの人物が1人居ます。』と。」
私(武田勝頼)「ほう。」
跡部勝資「この人物の名前を聞いた時、私が出した要望に不備がある事に気付きました。」
私(武田勝頼)「それは誰である?」
跡部勝資「はい。その人物の名は……。」
山内上杉憲政。
内藤昌豊「跡部殿。申し訳ない。彼が来たら関東以前にうちが持たない。」
内藤正豊が管轄する西上野の家臣の多くは元々山内上杉憲政の重臣長野業正率いる箕輪衆。一見、元主君が来るのであれば問題無いように思うのでありますが……。
内藤昌豊「(箕輪衆は)憲政を見限って、独自路線を貫いて来た国人衆。そんな彼らのすぐ側に彼が戻って来るのは勘弁願いたい。」
跡部勝資「内藤殿の訴え。尤もであります。故に謙信に対し、新たな要望を提示。再考を願い出た次第であります。」
内藤昌豊「その条件とは如何に?」
跡部勝資「『北条とも話が出来る人物をお願いします。』と要望しました。」
真田信綱「景虎なら出来ますね……。ただ景虎が直接氏政と話し合いの場を持つのは危険であります。」
跡部勝資「はい。北条の色が濃くなるのは避けたい事態であります。」
内藤昌豊「その後、謙信は誰を出して来た?」
跡部勝資「そこ何ですよ。問題なのは……。」
私(武田勝頼)「問題とは?」
跡部勝資「謙信は
『上杉の家臣の中で、景虎と共に上野に入りたいと志願する者が居ない。』
と。それはそうでありましょう。謙信は北陸に勢力を拡大しようとしています。そこで活躍すればする程、収入を増やす機会を得る事になります。
一方の上野は現状維持であります。拡大する事はありません。加えて上野でいくさをする。上杉に刃を向ける可能性があるのは武田と北条であります。上杉はその両者と和睦をしました。つまり防衛のためのいくさも発生しない事になります。当然でありますが、収入が増える見込みはありません。維持出来て当たり前の評価しか得る事が出来ない場所に、誰が行くでしょうか?」
跡部勝資「殿。戻りました。」
私(武田勝頼)「越後での交渉。感謝致す。」
跡部勝資「有難うございます。」
私(武田勝頼)「して謙信はどのように言っていた?」
跡部勝資「あまり気にしていなかったように見受けられました。そんな謙信の様子を受け、こちらから以下の要望を伝えました。
1、関東に通じている人物。
1、佐竹との秘密を守り通すことの出来る人物。
1、上杉景虎を見限らない人物。
以上の3点であります。」
私(武田勝頼)「それに対し謙信は何と?」
跡部勝資「『打ってつけの人物が1人居ます。』と。」
私(武田勝頼)「ほう。」
跡部勝資「この人物の名前を聞いた時、私が出した要望に不備がある事に気付きました。」
私(武田勝頼)「それは誰である?」
跡部勝資「はい。その人物の名は……。」
山内上杉憲政。
内藤昌豊「跡部殿。申し訳ない。彼が来たら関東以前にうちが持たない。」
内藤正豊が管轄する西上野の家臣の多くは元々山内上杉憲政の重臣長野業正率いる箕輪衆。一見、元主君が来るのであれば問題無いように思うのでありますが……。
内藤昌豊「(箕輪衆は)憲政を見限って、独自路線を貫いて来た国人衆。そんな彼らのすぐ側に彼が戻って来るのは勘弁願いたい。」
跡部勝資「内藤殿の訴え。尤もであります。故に謙信に対し、新たな要望を提示。再考を願い出た次第であります。」
内藤昌豊「その条件とは如何に?」
跡部勝資「『北条とも話が出来る人物をお願いします。』と要望しました。」
真田信綱「景虎なら出来ますね……。ただ景虎が直接氏政と話し合いの場を持つのは危険であります。」
跡部勝資「はい。北条の色が濃くなるのは避けたい事態であります。」
内藤昌豊「その後、謙信は誰を出して来た?」
跡部勝資「そこ何ですよ。問題なのは……。」
私(武田勝頼)「問題とは?」
跡部勝資「謙信は
『上杉の家臣の中で、景虎と共に上野に入りたいと志願する者が居ない。』
と。それはそうでありましょう。謙信は北陸に勢力を拡大しようとしています。そこで活躍すればする程、収入を増やす機会を得る事になります。
一方の上野は現状維持であります。拡大する事はありません。加えて上野でいくさをする。上杉に刃を向ける可能性があるのは武田と北条であります。上杉はその両者と和睦をしました。つまり防衛のためのいくさも発生しない事になります。当然でありますが、収入が増える見込みはありません。維持出来て当たり前の評価しか得る事が出来ない場所に、誰が行くでしょうか?」
10
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します
カオリグサ
ファンタジー
病で幼いころから病室から出たことがなかった少年
生きるため懸命にあがいてきたものの、進行が恐ろしく速い癌によって体が蝕まれ
手術の甲斐もむなしく死んでしまった
そんな生を全うできなかった少年に女神が手を差し伸べた
女神は少年に幸せになってほしいと願う
そして目覚めると、少年は少女になっていた
今生は精霊王女として生きることとなった少女の
チートクラスに強い仲間と共に歩む旅物語
あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活
mio
ファンタジー
なんやかんや、無理矢理あいつに異世界へと連れていかれました。
こうなったら仕方ない。とにかく、平和に楽しく暮らしていこう。
なぜ、少女は異世界へと連れてこられたのか。
自分の中に眠る力とは何なのか。
その答えを知った時少女は、ある決断をする。
長い間更新をさぼってしまってすいませんでした!
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?
俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる