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後継候補
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長坂釣閑斎「謙信には実の男子が居ません。彼が信じる真言宗や飯縄明神の戒律を順守しているためと言われています。このため謙信はこれまで不犯を貫いています。故に謙信は実の男子はおろか女子も居ません。この事は家を維持する上で由々しき問題であります。謙信にもしもの事があった時、越後が乱れるのを避ける事は出来ません。
勿論謙信もその事を理解しています。しかし彼の信仰がそれを許しません。そのため謙信は養子を2人迎え入れています。
1人が長尾顕景。越後魚沼上田庄の出。父は長尾政景で母は長尾為景の娘。謙信の姉であります。元々次男でありましたが兄が早世した事に加え、父が不慮の事故に遭ったため上杉の本拠地である春日山城に移動。そこで謙信の養子となり成長。その後、上田庄の者を率い関東や越中に出陣。越中では国人衆の取成をするなど上杉家中で重要な役割を担っています。」
高坂昌信「聞くところによりますと来年には……。」
長坂釣閑斎「はい。姓を上杉に改めると共に上杉一門衆の筆頭となると言われています。」
私(武田勝頼)「つまり後継候補に任命される運びとなった?」
長坂釣閑斎「そう捉えて差し支えないかと。」
私(武田勝頼)「しかし長尾の出が簡単に上杉を名乗るのは難しいのでは無いのか?」
長坂釣閑斎「確かにその通りであります。ただ長尾顕景の系譜を紐解いてみますと母方の祖母。謙信の母にあたる人物は上条上杉家の出であり、父方の曾祖母も上条上杉家の出身であります。上条上杉家は越後守護を輩出して来た家であります。故に長尾顕景が上杉を名乗る事に問題はありませんし、越後を継承するのに必要な系譜を手に入れている人物でもあります。」
私(武田勝頼)「越後を継承する?」
長坂釣閑斎「はい。」
私(武田勝頼)「長尾顕景の血筋から得る事が出来る正当な場所は越後だけと言う事になる事に間違いは無いか?」
長坂釣閑斎「間違いありません。」
私(武田勝頼)「それでは今、うちと謙信との間で結ばれようとしている和睦をなぞるだけになってはしまわないか?」
長坂釣閑斎「その通りであります。」
私(武田勝頼)「今議題にあがっているのは越後の事では無い。上野の事。関東の事であり、上杉と北条の関係を正常化させる事にあるのだぞ?」
長坂釣閑斎「存じ上げています。」
私(武田勝頼)「長尾顕景では解決する事は出来ないと思うのだが?」
長坂釣閑斎「殿の仰る通りであります。」
私(武田勝頼)「ん!?そう言えば……。」
長坂釣閑斎「その通りであります。謙信にはもう1人。養子が存在します。」
勿論謙信もその事を理解しています。しかし彼の信仰がそれを許しません。そのため謙信は養子を2人迎え入れています。
1人が長尾顕景。越後魚沼上田庄の出。父は長尾政景で母は長尾為景の娘。謙信の姉であります。元々次男でありましたが兄が早世した事に加え、父が不慮の事故に遭ったため上杉の本拠地である春日山城に移動。そこで謙信の養子となり成長。その後、上田庄の者を率い関東や越中に出陣。越中では国人衆の取成をするなど上杉家中で重要な役割を担っています。」
高坂昌信「聞くところによりますと来年には……。」
長坂釣閑斎「はい。姓を上杉に改めると共に上杉一門衆の筆頭となると言われています。」
私(武田勝頼)「つまり後継候補に任命される運びとなった?」
長坂釣閑斎「そう捉えて差し支えないかと。」
私(武田勝頼)「しかし長尾の出が簡単に上杉を名乗るのは難しいのでは無いのか?」
長坂釣閑斎「確かにその通りであります。ただ長尾顕景の系譜を紐解いてみますと母方の祖母。謙信の母にあたる人物は上条上杉家の出であり、父方の曾祖母も上条上杉家の出身であります。上条上杉家は越後守護を輩出して来た家であります。故に長尾顕景が上杉を名乗る事に問題はありませんし、越後を継承するのに必要な系譜を手に入れている人物でもあります。」
私(武田勝頼)「越後を継承する?」
長坂釣閑斎「はい。」
私(武田勝頼)「長尾顕景の血筋から得る事が出来る正当な場所は越後だけと言う事になる事に間違いは無いか?」
長坂釣閑斎「間違いありません。」
私(武田勝頼)「それでは今、うちと謙信との間で結ばれようとしている和睦をなぞるだけになってはしまわないか?」
長坂釣閑斎「その通りであります。」
私(武田勝頼)「今議題にあがっているのは越後の事では無い。上野の事。関東の事であり、上杉と北条の関係を正常化させる事にあるのだぞ?」
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