旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?

俣彦

文字の大きさ
上 下
41 / 318

面子

しおりを挟む
真田信綱「私がここで発言して良いかわかりませぬが……。」

高坂昌信「別に構わないが。」

真田信綱「殿。」

私(武田勝頼)「どうした?」

真田信綱「もし殿が今の上杉謙信の立場であったのならば?」であります。

私(武田勝頼)「申してみよ。」

真田信綱「はい。上杉謙信は、北条により関東を追われた山内上杉憲政の要請を受け関東に兵を出しました。この遠征を見た関東の数多の勢力が謙信の下に集まり小田原城を取り囲み、帰りの鶴岡八幡宮で関東管領に就任しました。

 その後も謙信は要請に応じ、幾度となく山を越え関東でのいくさを繰り広げて来ました。その相手のほとんどが北条であり、我らでありました。現在、関東はどうなっているでしょうか?

 最初の遠征で押し寄せた小田原城と晴れの舞台となった鶴岡八幡宮のある相模は未だに北条領であります。その隣の武蔵も羽生城を失う事により、北条による完全掌握を許す事になりました。更に北条の膨張は続き、先日。下総の関宿城も北条領となり、北関東進出への足掛かりを築かれる事になってしまいました。その間、謙信は何もする事が出来ませんでした。」

私(武田勝頼)「うむ。」

真田信綱「では越後から見て関東の入口となる上野はどうでしょうか?上野は養父である山内上杉憲政の本拠地であった場所。謙信としても譲る事の出来るものではありません。しかしこの上野も思うようにはなっていません。西部は我が武田が勢力下に収めていますし、南部の由良も掌握するには至っていません。今、謙信が自由に出入りする事が出来る場所は沼田からせいぜい厩橋までに留まっています。」

私(武田勝頼)「そうだな。」

真田信綱「最初の質問に戻ります。

『もし殿が今の上杉謙信の立場であったのならば、うちと北条の和睦要請を受け入れる事が出来るのか?』

であります。

 恐らくでありますが、謙信は和睦したいと考えていると思われます。何故なら北条よりも対立の根が深い、我らとの和睦に応じたのでありますから。」

私(武田勝頼)「確かに。」

真田信綱「その大きな要因となっているのが将軍様からの上洛要請であります。上洛するためには西に兵を進めなければなりません。その途中には織田信長と言う強大な勢力があります。将軍様と信長との関係は最悪の状態。平和裏に織田領内を通過する事は出来ません。力づくで突破するしかありません。全ての勢力を注ぎこまなければなりません。そのためには関東の安全を確保しなければなりません。」

私(武田勝頼)「しかし謙信はこれを拒絶している。」

真田信綱「はい。」

私(武田勝頼)「理由は関東管領として、今の現状で北条と和睦する。境界線を確定させる事は敗北を意味すると謙信は思っている?」

真田信綱「恐らく。これが解決しない限り、謙信を動かす事は出来ません。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

大東亜戦争を有利に

ゆみすけ
歴史・時代
 日本は大東亜戦争に負けた、完敗であった。 そこから架空戦記なるものが増殖する。 しかしおもしろくない、つまらない。 であるから自分なりに無双日本軍を架空戦記に参戦させました。 主観満載のラノベ戦記ですから、ご感弁を

いや、婿を選べって言われても。むしろ俺が立候補したいんだが。

SHO
歴史・時代
時は戦国末期。小田原北条氏が豊臣秀吉に敗れ、新たに徳川家康が関八州へ国替えとなった頃のお話。 伊豆国の離れ小島に、弥五郎という一人の身寄りのない少年がおりました。その少年は名刀ばかりを打つ事で有名な刀匠に拾われ、弟子として厳しく、それは厳しく、途轍もなく厳しく育てられました。 そんな少年も齢十五になりまして、師匠より独立するよう言い渡され、島を追い出されてしまいます。 さて、この先の少年の運命やいかに? 剣術、そして恋が融合した痛快エンタメ時代劇、今開幕にございます! *この作品に出てくる人物は、一部実在した人物やエピソードをモチーフにしていますが、モチーフにしているだけで史実とは異なります。空想時代活劇ですから! *この作品はノベルアップ+様に掲載中の、「いや、婿を選定しろって言われても。だが断る!」を改題、改稿を経たものです。

旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます

竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論 東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで… ※超注意書き※ 1.政治的な主張をする目的は一切ありません 2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります 3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です 4.そこら中に無茶苦茶が含まれています 5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません 6.カクヨムとマルチ投稿 以上をご理解の上でお読みください

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

処理中です...