8 / 318
謝罪
しおりを挟む
前夜。自らに苦言を呈して来た内藤昌豊と高坂昌信に、両者と同じく信玄時代からの重鎮馬場信春と山県昌景の4名を集めた武田勝頼。その場で……。
「申し訳無かった。」
と3年間他国とのいくさを禁じた武田信玄の遺言を破った事を謝罪すると共に、今後の協力を依頼した武田勝頼。それに対し……。
内藤昌豊「殿。謝る必要はありません。その時の山県様が置かれた状況を考えれば当然の事をしたまででありますので。」
山県昌景「東濃は信長に。野田は一度は捕らえた城主に奪還され、作手の奥平は徳川により買収された挙句、離脱。極めつけは遠江の高天神……。」
馬場信春「その状況にあっても『遺言を守る。』と殿が仰っていましたら間違いなく……。」
高坂昌信「殿を引きずり降ろしていましたね。」
馬場信春「間違いない。」
高坂昌信「山県様と同じ状況に、うちもなる危険性はあった……。」
内藤昌豊「上杉か?」
高坂昌信「左様。」
当時、織田信長と上杉謙信は同盟関係にあり、信長は謙信に信濃への出兵を要請。
山県昌景「本当は思っていなかっただろ?」
高坂昌信「そのような事は御座いません。」
山県昌景「謙信は一向宗への対応で手一杯だったんだからさ。」
内藤昌豊「その段取りを組んでいたのが馬場様。」
馬場信春「当然の事をしたまでよ。」
馬場信春は越中の一向宗と連携し、織田信長と同盟関係にある上杉謙信を釘付けにする事に成功。
高坂昌信「とまあ我ら一同。殿の決断に感謝しています。」
内藤正豊「酒の席とは申せ、出過ぎた事。お詫び申し上げます。」
私(武田勝頼)「それは何より。今後とも宜しくお願いする。」
内藤正豊「勿体ないお言葉。」
私(武田勝頼)「内藤の言葉を一晩考えていたのだが。」
武藤喜兵衛「(えっ!?お前風呂入ったまま意識飛んでたじゃん!!)」
私(武田勝頼)「私は所詮猪武者。亡き父信玄からも叱責を浴びる事しばしであった。つまり私は見えている敵しか見えてはおらぬ。一方、内藤は兵站全般を見ているし、高坂はこれまで最もいくさの激しかった北信濃で上杉謙信と相対して来た。これは想像の域を出ないのであるが、事前に打ち合わせをした上で、私の所に訴え出たと思っている。もっと言えば、ここに居る馬場と山県も同じ意見では無いかと見ている。私の想像が間違っていたら訂正してくれ。」
高坂昌信「私が一番言いやすい。管轄地が静かな状況にありますのでお答えします。殿のお考えの通りであります。」
私(武田勝頼)「気になっている事を教えてくれ。」
「申し訳無かった。」
と3年間他国とのいくさを禁じた武田信玄の遺言を破った事を謝罪すると共に、今後の協力を依頼した武田勝頼。それに対し……。
内藤昌豊「殿。謝る必要はありません。その時の山県様が置かれた状況を考えれば当然の事をしたまででありますので。」
山県昌景「東濃は信長に。野田は一度は捕らえた城主に奪還され、作手の奥平は徳川により買収された挙句、離脱。極めつけは遠江の高天神……。」
馬場信春「その状況にあっても『遺言を守る。』と殿が仰っていましたら間違いなく……。」
高坂昌信「殿を引きずり降ろしていましたね。」
馬場信春「間違いない。」
高坂昌信「山県様と同じ状況に、うちもなる危険性はあった……。」
内藤昌豊「上杉か?」
高坂昌信「左様。」
当時、織田信長と上杉謙信は同盟関係にあり、信長は謙信に信濃への出兵を要請。
山県昌景「本当は思っていなかっただろ?」
高坂昌信「そのような事は御座いません。」
山県昌景「謙信は一向宗への対応で手一杯だったんだからさ。」
内藤昌豊「その段取りを組んでいたのが馬場様。」
馬場信春「当然の事をしたまでよ。」
馬場信春は越中の一向宗と連携し、織田信長と同盟関係にある上杉謙信を釘付けにする事に成功。
高坂昌信「とまあ我ら一同。殿の決断に感謝しています。」
内藤正豊「酒の席とは申せ、出過ぎた事。お詫び申し上げます。」
私(武田勝頼)「それは何より。今後とも宜しくお願いする。」
内藤正豊「勿体ないお言葉。」
私(武田勝頼)「内藤の言葉を一晩考えていたのだが。」
武藤喜兵衛「(えっ!?お前風呂入ったまま意識飛んでたじゃん!!)」
私(武田勝頼)「私は所詮猪武者。亡き父信玄からも叱責を浴びる事しばしであった。つまり私は見えている敵しか見えてはおらぬ。一方、内藤は兵站全般を見ているし、高坂はこれまで最もいくさの激しかった北信濃で上杉謙信と相対して来た。これは想像の域を出ないのであるが、事前に打ち合わせをした上で、私の所に訴え出たと思っている。もっと言えば、ここに居る馬場と山県も同じ意見では無いかと見ている。私の想像が間違っていたら訂正してくれ。」
高坂昌信「私が一番言いやすい。管轄地が静かな状況にありますのでお答えします。殿のお考えの通りであります。」
私(武田勝頼)「気になっている事を教えてくれ。」
10
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?
俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。
気がついたら異世界に転生していた。
みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。
気がついたら異世界に転生していた。
普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・
冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。
戦闘もありますが少しだけです。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
『スキルの素』を3つ選べって言うけど、早いもの勝ちで余りモノしか残っていませんでした。※チートスキルを生み出してバカにした奴らを見返します
ヒゲ抜き地蔵
ファンタジー
【書籍化に伴う掲載終了について】詳しくは近況ボードをご参照下さい。
ある日、まったく知らない空間で目覚めた300人の集団は、「スキルの素を3つ選べ」と謎の声を聞いた。
制限時間は10分。まさかの早いもの勝ちだった。
「鑑定」、「合成」、「錬成」、「癒やし」
チートの匂いがするスキルの素は、あっという間に取られていった。
そんな中、どうしても『スキルの素』の違和感が気になるタクミは、あるアイデアに従って、時間ギリギリで余りモノの中からスキルの素を選んだ。
その後、異世界に転生したタクミは余りモノの『スキルの素』で、世界の法則を変えていく。
その大胆な発想に人々は驚嘆し、やがて彼は人間とエルフ、ドワーフと魔族の勢力図を変えていく。
この男がどんなスキルを使うのか。
ひとつだけ確かなことは、タクミが選択した『スキルの素』は世界を変えられる能力だったということだ。
※【同時掲載】カクヨム様、小説家になろう様
「残念でした~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~ん笑」と女神に言われ異世界転生させられましたが、転移先がレベルアップの実の宝庫でした
御浦祥太
ファンタジー
どこにでもいる高校生、朝比奈結人《あさひなゆいと》は修学旅行で京都を訪れた際に、突然清水寺から落下してしまう。不思議な空間にワープした結人は女神を名乗る女性に会い、自分がこれから異世界転生することを告げられる。
異世界と聞いて結人は、何かチートのような特別なスキルがもらえるのか女神に尋ねるが、返ってきたのは「残念でした~~。レベル1だしチートスキルなんてありませ~~ん(笑)」という強烈な言葉だった。
女神の言葉に落胆しつつも異世界に転生させられる結人。
――しかし、彼は知らなかった。
転移先がまさかの禁断のレベルアップの実の群生地であり、その実を食べることで自身のレベルが世界最高となることを――
孤児院で育った俺、ある日目覚めたスキル、万物を見通す目と共に最強へと成りあがる
シア07
ファンタジー
主人公、ファクトは親の顔も知らない孤児だった。
そんな彼は孤児院で育って10年が経った頃、突如として能力が目覚める。
なんでも見通せるという万物を見通す目だった。
目で見れば材料や相手の能力がわかるというものだった。
これは、この――能力は一体……なんなんだぁぁぁぁぁぁぁ!?
その能力に振り回されながらも孤児院が魔獣の到来によってなくなり、同じ孤児院育ちで幼馴染であるミクと共に旅に出ることにした。
魔法、スキルなんでもあるこの世界で今、孤児院で育った彼が個性豊かな仲間と共に最強へと成りあがる物語が今、幕を開ける。
※他サイトでも連載しています。
大体21:30分ごろに更新してます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる