石田三成

俣彦

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石田三成の前半生

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その人物の名は「石田三成」。信長が天下に名を轟かせた桶狭間の戦いがあった永禄3年。近江石田村の庄屋石田正継の次男として生まれた三成は、浅井家滅亡後。信長より北近江を与えられ、急拡大した領国経営と軍事編成の整備に迫られる伴い新たな人材を欲していた羽柴秀吉のもとに出仕。近江商人を輩出した国らしく高い教養と算盤勘定に秀でたモノが多いこの地の素養を受け継いだ三成は、秀吉のもとでその才気を如何なく発揮。瞬く間に信頼を勝ち取るのでありました。秀吉が信長の命により、中国平定に乗り出したころには他家と秀吉との間を取り持つ「秀吉の目」であり「秀吉の耳」であり、時には「秀吉の口」の地位に出世するのでありました。



 こうなりますと、秀吉の名代として他家から特別扱いされるようになりますので「増長」。虎の威を借る狐であることを忘れてしまうものなのでありますが、石田三成は近江の出身。近江の商人が全国に販路を拡大することが出来たのには理由があります。それは何かと言いますと「客との信義を重んじること」であります。

 人を騙して儲けることも可能ではあります。ただしそれを同じ客に出来るのは一度きりであります。それでは末永く同じ場所で商売をすることは出来ませんし、相手先から紹介していただく=販路の拡大へと結びつけることは出来ません。売り手と買い手は勿論のこと。社会貢献にも付与する「三方よし」の精神で商売をするように。仮に成功を修めることが出来たとしても家の構えは慎ましく、主人の部屋は最も日の当たらない北の隅に造る習わしとなっているのであります。

 この素養を幼少期より叩きこまれた三成にとっての最大の顧客であり、社会であったのが羽柴家。とりわけその当主である羽柴秀吉。

出仕以来

「秀吉に対する忠義こそが正義であり、善である」

で突き進んだ10年間でありました。
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