20 / 33
担がれた神輿
表裏者2
しおりを挟む
諏訪頼重との同盟を破棄した武田晴信は甲斐国内に軍令を発し、1542年6月。諏訪領に向け出陣。甲斐の国北西部の若神子に到着。
武田晴信「高遠はどうだ?」
板垣信方「我が方の動きを見て判断するものと思われます。」
武田晴信「我らの本気度を確かめるわけだな。」
板垣信方「左様。」
若神子は諏訪と佐久との合流点。
板垣信方「殿。佐久と諏訪。どちらを選ばれます。」
武田晴信「高遠との間では、高遠が諏訪で我らが佐久となっているのだな。」
板垣信方「御意。」
武田晴信「どちらのミッションがきついと思う。」
板垣信方「諏訪に御座います。」
武田晴信「そこに高遠が単独で入ることは?」
板垣信方「皆無でありましょう。」
武田晴信「あっても……。」
板垣信方「我らと諏訪が佐久で激突したあとになると思われます。」
武田晴信「それならば……。」
板垣信方「……。」
武田晴信「高遠が動く前に諏訪の本拠を叩いたほうが。」
板垣信方「得策にございますな。」
若神子から針路を北西にとった武田晴信。その行き先は勿論。
高遠頼継「何!!晴信が諏訪に侵入しただと。」
敵対する諏訪。共闘を結んだ高遠の機先を制し諏訪の本拠に乱入した武田晴信。これに対し諏訪頼重は居城である上原城を自らの手で焼き捨て、堅固な桑原城へ後退し抵抗するも、7月4日。諏訪頼重は武田晴信から提示された条件を呑み降伏するのでありました。その条件となったのが
武田晴信「妹は無事なんだな……。」
板垣信方「はい。」
諏訪頼重に嫁がせていた武田晴信の妹・禰々の安否。武田晴信が攻城からわずか3日目で和睦を提示したのもそのため。自身を含む身内の安全とを引き換えに頼重は武田晴信と降伏。甲斐で保護されることになったのでありましたが……。
板垣信方「禰々様は戻られたか?」
山本勘助「はい。」
板垣信方「……ならば……。」
甲斐に入った諏訪頼重の滞在先となったのが東光寺。この寺がある板垣郷は板垣信方の根拠地の1つ。そこで諏訪頼重の前に差し出されたのが……。
山本勘助「殿からのせめてもの情けに御座いまする。」
用意されたものは短刀。全てを悟った諏訪頼重は切腹。弟・頼高も甲斐に連行され自刃したため諏訪惣領家は滅亡するのでありました。助け出された武田晴信の妹・禰々でありましたが、翌年1月わずか16歳でこの世を去るのでありました。
武田晴信の思わぬ侵攻に後れをとった高遠頼継も諏訪に侵入。諏訪領の内宮川西方を確保。一方、武田晴信は東方を占領し、そこに板垣信方を容れるのでありました。
武田晴信「高遠はどうだ?」
板垣信方「我が方の動きを見て判断するものと思われます。」
武田晴信「我らの本気度を確かめるわけだな。」
板垣信方「左様。」
若神子は諏訪と佐久との合流点。
板垣信方「殿。佐久と諏訪。どちらを選ばれます。」
武田晴信「高遠との間では、高遠が諏訪で我らが佐久となっているのだな。」
板垣信方「御意。」
武田晴信「どちらのミッションがきついと思う。」
板垣信方「諏訪に御座います。」
武田晴信「そこに高遠が単独で入ることは?」
板垣信方「皆無でありましょう。」
武田晴信「あっても……。」
板垣信方「我らと諏訪が佐久で激突したあとになると思われます。」
武田晴信「それならば……。」
板垣信方「……。」
武田晴信「高遠が動く前に諏訪の本拠を叩いたほうが。」
板垣信方「得策にございますな。」
若神子から針路を北西にとった武田晴信。その行き先は勿論。
高遠頼継「何!!晴信が諏訪に侵入しただと。」
敵対する諏訪。共闘を結んだ高遠の機先を制し諏訪の本拠に乱入した武田晴信。これに対し諏訪頼重は居城である上原城を自らの手で焼き捨て、堅固な桑原城へ後退し抵抗するも、7月4日。諏訪頼重は武田晴信から提示された条件を呑み降伏するのでありました。その条件となったのが
武田晴信「妹は無事なんだな……。」
板垣信方「はい。」
諏訪頼重に嫁がせていた武田晴信の妹・禰々の安否。武田晴信が攻城からわずか3日目で和睦を提示したのもそのため。自身を含む身内の安全とを引き換えに頼重は武田晴信と降伏。甲斐で保護されることになったのでありましたが……。
板垣信方「禰々様は戻られたか?」
山本勘助「はい。」
板垣信方「……ならば……。」
甲斐に入った諏訪頼重の滞在先となったのが東光寺。この寺がある板垣郷は板垣信方の根拠地の1つ。そこで諏訪頼重の前に差し出されたのが……。
山本勘助「殿からのせめてもの情けに御座いまする。」
用意されたものは短刀。全てを悟った諏訪頼重は切腹。弟・頼高も甲斐に連行され自刃したため諏訪惣領家は滅亡するのでありました。助け出された武田晴信の妹・禰々でありましたが、翌年1月わずか16歳でこの世を去るのでありました。
武田晴信の思わぬ侵攻に後れをとった高遠頼継も諏訪に侵入。諏訪領の内宮川西方を確保。一方、武田晴信は東方を占領し、そこに板垣信方を容れるのでありました。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
命の番人
小夜時雨
歴史・時代
時は春秋戦国時代。かつて名を馳せた刀工のもとを一人の怪しい男が訪ねてくる。男は刀工に刀を作るよう依頼するが、彼は首を縦には振らない。男は意地になり、刀を作ると言わぬなら、ここを動かぬといい、腰を下ろして--。
二人の男の奇妙な物語が始まる。
16世紀のオデュッセイア
尾方佐羽
歴史・時代
【第12章を週1回程度更新します】世界の海が人と船で結ばれていく16世紀の遥かな旅の物語です。
12章では16世紀後半のヨーロッパが舞台になります。
※このお話は史実を参考にしたフィクションです。
不屈の葵
ヌマサン
歴史・時代
戦国乱世、不屈の魂が未来を掴む!
これは三河の弱小国主から天下人へ、不屈の精神で戦国を駆け抜けた男の壮大な物語。
幾多の戦乱を生き抜き、不屈の精神で三河の弱小国衆から天下統一を成し遂げた男、徳川家康。
本作は家康の幼少期から晩年までを壮大なスケールで描き、戦国時代の激動と一人の男の成長物語を鮮やかに描く。
家康の苦悩、決断、そして成功と失敗。様々な人間ドラマを通して、人生とは何かを問いかける。
今川義元、織田信長、羽柴秀吉、武田信玄――家康の波乱万丈な人生を彩る個性豊かな名将たちも続々と登場。
家康との関わりを通して、彼らの生き様も鮮やかに描かれる。
笑いあり、涙ありの壮大なスケールで描く、単なる英雄譚ではなく、一人の人間として苦悩し、成長していく家康の姿を描いた壮大な歴史小説。
戦国時代の風雲児たちの活躍、人間ドラマ、そして家康の不屈の精神が、読者を戦国時代に誘う。
愛、友情、そして裏切り…戦国時代に渦巻く人間ドラマにも要注目!
歴史ファン必読の感動と興奮が止まらない歴史小説『不屈の葵』
ぜひ、手に取って、戦国時代の熱き息吹を感じてください!
江戸の夕映え
大麦 ふみ
歴史・時代
江戸時代にはたくさんの随筆が書かれました。
「のどやかな気分が漲っていて、読んでいると、己れもその時代に生きているような気持ちになる」(森 銑三)
そういったものを選んで、小説としてお届けしたく思います。
同じ江戸時代を生きていても、その暮らしぶり、境遇、ライフコース、そして考え方には、たいへんな幅、違いがあったことでしょう。
しかし、夕焼けがみなにひとしく差し込んでくるような、そんな目線であの時代の人々を描ければと存じます。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
旧式戦艦はつせ
古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
下田物語 -幕末の風景-
夢酔藤山
歴史・時代
幕末、下田。
どこよりも真っ先に海外に接した場所。少女・きちや、のちの通辞・村山滝蔵と西川助蔵に写真家・下岡蓮杖など、若い力が芽吹いた場所。そして、幕末の世相に翻弄された彼女たちの涙と笑いの染みた場所。
いざ。下田から、ニッポンが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる