5 / 33
海野平の戦い
武田信虎
しおりを挟む
家臣「武田信虎にございます。」
村上義清「要注意人物の登場だな。」
武田信虎が家督を継いだのは数えにして14歳のこと。
村上義清「若いな……。」
家臣「殿もまだ二十歳を過ぎたばかりでありますよ。」
村上義清「……にしても14は若いぞ。」
家臣「信虎の父信縄が亡くなってしまった以上信虎が継がざるを得なかったのは仕方ありません。」
村上義清「ただ元服したばかりの年齢で家督を継ぐことになったとなると……。」
甲斐の国東部にある都留郡の国人が中心となり信虎の叔父・信恵を擁立。信虎打倒の旗を立てることになります。
村上義清「まぁそうなるわな……。」
ただ信虎はこの苦境に対し、武力で対抗。その結果、翌年には信恵以下反旗を翻した主だった武将を戦死に追い込むばかりか都留郡に侵攻し奪取。敗れた国人衆は北条を頼って相模へと亡命。
村上義清「その頃武田と北条の仲は?」
家臣「頼りにするぐらいであります故。」
村上義清「愚問だったな。」
家臣「殿は何言っても大丈夫ですよ。逆の立場(私)が同じ問い掛けをした日には……。」
村上義清「最低一刻半の説教が待っているかな?」
家臣「……ですよね。」
甲斐東部で発生した反信虎の動きは甲斐の北西部や南部にも飛び火。その炎は国内勢力のみならず。
村上義清「諏訪や今川の介入を促すことになってしまった。と……。」
家臣「国人側からすれば自分の権益を維持するのに頼みとなる勢力の後ろ盾が無いと保つことが出来ません。そんな中、甲斐の守護・武田の当主がまだ十代半ばとなれば。」
村上義清「たとえ他国の勢力であったとしても……。」
家臣「敵対勢力と境を為している国人には、接していない国人とは異なる事由がありまして……。」
勢力と勢力のはざまにいる国人は基本境を為す全ての勢力に従っています。
村上義清「二重三重の課税と軍役を課せられることになっている。」
家臣「出来ることなら自分の所領は安全地帯であってほしい。」
村上義清「であるから例え他国の勢力を引き入れることになったとしても。」
家臣「片側に払っている課税分の一部を担保に安全を保障してもらうことを目指すわけであります。」
村上義清「これに対して信虎は……。」
武でもって対抗勢力の撃破に動くも諏訪・今川の軍勢は手強く信虎劣勢で推移。しかし……。
『遠江情勢悪化に伴い今川が甲斐から撤退し武田信虎と和睦』
村上義清「今川にとっては当然今川のほうが大事。」
家臣「今川の脅威が無くなった信虎は国内統治に向け次なる一手を打ちます。」
甲府開設と有力国人の甲府集住。
村上義清「従うなら家族を人質に甲府に集まれ。さもなくば……。私もやってみたいものである。」
家臣「ただそれをやるには尋常ではないお金が掛かりますし、殿にはまだ単独で従わせることが出来るだけの武力がありませぬ。」
集住に反対する国人が甲府を退去するも信虎はこれを撃破。
家臣「今川の気が変わらないうちに……。」
村上義清「諏訪はどうしている?」
家臣「今川と連携しての動きであった模様……。」
村上義清「俺も武でもって国人共を……。」
家臣「……滅多なことを申してはなりませぬ。国人共が束になって殿を狙って来たら我らはひとたまりもありませぬ。」
村上義清「甲斐が統一され、武田と今川が和睦したとなると、チト面倒なことに……。」
村上義清「要注意人物の登場だな。」
武田信虎が家督を継いだのは数えにして14歳のこと。
村上義清「若いな……。」
家臣「殿もまだ二十歳を過ぎたばかりでありますよ。」
村上義清「……にしても14は若いぞ。」
家臣「信虎の父信縄が亡くなってしまった以上信虎が継がざるを得なかったのは仕方ありません。」
村上義清「ただ元服したばかりの年齢で家督を継ぐことになったとなると……。」
甲斐の国東部にある都留郡の国人が中心となり信虎の叔父・信恵を擁立。信虎打倒の旗を立てることになります。
村上義清「まぁそうなるわな……。」
ただ信虎はこの苦境に対し、武力で対抗。その結果、翌年には信恵以下反旗を翻した主だった武将を戦死に追い込むばかりか都留郡に侵攻し奪取。敗れた国人衆は北条を頼って相模へと亡命。
村上義清「その頃武田と北条の仲は?」
家臣「頼りにするぐらいであります故。」
村上義清「愚問だったな。」
家臣「殿は何言っても大丈夫ですよ。逆の立場(私)が同じ問い掛けをした日には……。」
村上義清「最低一刻半の説教が待っているかな?」
家臣「……ですよね。」
甲斐東部で発生した反信虎の動きは甲斐の北西部や南部にも飛び火。その炎は国内勢力のみならず。
村上義清「諏訪や今川の介入を促すことになってしまった。と……。」
家臣「国人側からすれば自分の権益を維持するのに頼みとなる勢力の後ろ盾が無いと保つことが出来ません。そんな中、甲斐の守護・武田の当主がまだ十代半ばとなれば。」
村上義清「たとえ他国の勢力であったとしても……。」
家臣「敵対勢力と境を為している国人には、接していない国人とは異なる事由がありまして……。」
勢力と勢力のはざまにいる国人は基本境を為す全ての勢力に従っています。
村上義清「二重三重の課税と軍役を課せられることになっている。」
家臣「出来ることなら自分の所領は安全地帯であってほしい。」
村上義清「であるから例え他国の勢力を引き入れることになったとしても。」
家臣「片側に払っている課税分の一部を担保に安全を保障してもらうことを目指すわけであります。」
村上義清「これに対して信虎は……。」
武でもって対抗勢力の撃破に動くも諏訪・今川の軍勢は手強く信虎劣勢で推移。しかし……。
『遠江情勢悪化に伴い今川が甲斐から撤退し武田信虎と和睦』
村上義清「今川にとっては当然今川のほうが大事。」
家臣「今川の脅威が無くなった信虎は国内統治に向け次なる一手を打ちます。」
甲府開設と有力国人の甲府集住。
村上義清「従うなら家族を人質に甲府に集まれ。さもなくば……。私もやってみたいものである。」
家臣「ただそれをやるには尋常ではないお金が掛かりますし、殿にはまだ単独で従わせることが出来るだけの武力がありませぬ。」
集住に反対する国人が甲府を退去するも信虎はこれを撃破。
家臣「今川の気が変わらないうちに……。」
村上義清「諏訪はどうしている?」
家臣「今川と連携しての動きであった模様……。」
村上義清「俺も武でもって国人共を……。」
家臣「……滅多なことを申してはなりませぬ。国人共が束になって殿を狙って来たら我らはひとたまりもありませぬ。」
村上義清「甲斐が統一され、武田と今川が和睦したとなると、チト面倒なことに……。」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
命の番人
小夜時雨
歴史・時代
時は春秋戦国時代。かつて名を馳せた刀工のもとを一人の怪しい男が訪ねてくる。男は刀工に刀を作るよう依頼するが、彼は首を縦には振らない。男は意地になり、刀を作ると言わぬなら、ここを動かぬといい、腰を下ろして--。
二人の男の奇妙な物語が始まる。
16世紀のオデュッセイア
尾方佐羽
歴史・時代
【第12章を週1回程度更新します】世界の海が人と船で結ばれていく16世紀の遥かな旅の物語です。
12章では16世紀後半のヨーロッパが舞台になります。
※このお話は史実を参考にしたフィクションです。
不屈の葵
ヌマサン
歴史・時代
戦国乱世、不屈の魂が未来を掴む!
これは三河の弱小国主から天下人へ、不屈の精神で戦国を駆け抜けた男の壮大な物語。
幾多の戦乱を生き抜き、不屈の精神で三河の弱小国衆から天下統一を成し遂げた男、徳川家康。
本作は家康の幼少期から晩年までを壮大なスケールで描き、戦国時代の激動と一人の男の成長物語を鮮やかに描く。
家康の苦悩、決断、そして成功と失敗。様々な人間ドラマを通して、人生とは何かを問いかける。
今川義元、織田信長、羽柴秀吉、武田信玄――家康の波乱万丈な人生を彩る個性豊かな名将たちも続々と登場。
家康との関わりを通して、彼らの生き様も鮮やかに描かれる。
笑いあり、涙ありの壮大なスケールで描く、単なる英雄譚ではなく、一人の人間として苦悩し、成長していく家康の姿を描いた壮大な歴史小説。
戦国時代の風雲児たちの活躍、人間ドラマ、そして家康の不屈の精神が、読者を戦国時代に誘う。
愛、友情、そして裏切り…戦国時代に渦巻く人間ドラマにも要注目!
歴史ファン必読の感動と興奮が止まらない歴史小説『不屈の葵』
ぜひ、手に取って、戦国時代の熱き息吹を感じてください!
江戸の夕映え
大麦 ふみ
歴史・時代
江戸時代にはたくさんの随筆が書かれました。
「のどやかな気分が漲っていて、読んでいると、己れもその時代に生きているような気持ちになる」(森 銑三)
そういったものを選んで、小説としてお届けしたく思います。
同じ江戸時代を生きていても、その暮らしぶり、境遇、ライフコース、そして考え方には、たいへんな幅、違いがあったことでしょう。
しかし、夕焼けがみなにひとしく差し込んでくるような、そんな目線であの時代の人々を描ければと存じます。
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
旧式戦艦はつせ
古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
下田物語 -幕末の風景-
夢酔藤山
歴史・時代
幕末、下田。
どこよりも真っ先に海外に接した場所。少女・きちや、のちの通辞・村山滝蔵と西川助蔵に写真家・下岡蓮杖など、若い力が芽吹いた場所。そして、幕末の世相に翻弄された彼女たちの涙と笑いの染みた場所。
いざ。下田から、ニッポンが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる