61 / 62
侵攻
しおりを挟む
深志城が上杉方になった事により、北以外からの敵も想定しなければならなくなった真田昌幸は砥石に帰城。西からの攻撃に備えたのでありました。その頃、川中島でも動きが……。長沼城。
伝令「申し上げます!上杉景勝!南に向け出陣!!」
依田信蕃「おぉ!ついにやって来たか!!」
春日信達「えっ!?敵が攻めて来たのでありますよ!」
依田信蕃「いやぁ。待ちくたびれておった。」
春日信達「相手は上杉でありますぞ。」
依田信蕃「これまで我らが相手をして来たのは誰であったか忘れたか?織田信長様であり、徳川家康様であった。其方も北条相手に後れを取った事は無かったであろう。」
春日信達「確かに。」
依田信蕃「それにここ川中島の方々は長年。其方の御父上と共に上杉といくさを繰り広げて来た。上杉と言っても景勝では無い。謙信だ。その当時に比べれば上杉は小勢。加えて武田の頃とは違い……。」
兵糧、弾薬に不自由しない。
依田信蕃「後は馬場信春様が手入れをされたこの長沼城に恥をかかせぬよう戦うまでの事。」
春日信達「……うむ。」
依田信蕃「春日殿!」
春日信達「如何為されましたか?」
依田信蕃「城を守る上で必要不可欠な事は何であるか御存知ですか?」
春日信達「人を養うのに必要な兵糧に鉄砲を使う以上、無くてはならない弾薬。」
依田信蕃「他にもあるでしょう。これが無くて武田時代。我らは苦しめられたのでありますから。」
後詰め。
依田信蕃「ここに春日様が居る事は私にとって心強い限りであります。しかしいくさは1日2日で終わるものではありません。半年になるかもしれませんし、年を跨ぐ恐れもあります。その間、兵糧と弾薬は確実に減っていく事になります。補給無くして城を維持する事は出来ませんし、後詰め無くして上杉に勝利を収める事は出来ません。」
春日信達「うむ。」
依田信蕃「城を守るだけでありましたら私共の手勢で対処する事は出来ます。ただ私は川中島の衆から見れば余所者。加えて川中島の国衆は一度上杉に切り崩されかけています。彼らを信用する事が出来ないと言っているわけではありません。ありませんが、正直な話。私は彼らの事を知りません。川中島で唯一知っている。気を置かなくても良い人物は春日殿。其方だけであります。私は其方を買っています。絶対に私を見捨てる事は無いと。」
春日信達「……ありがとうございます。」
依田信蕃「急ぎ海津にお戻り下さい。そして川中島の国衆の持つ経験を最大限に活用し、この危機を乗り切りましょう。」
春日信達「わかりました。依田殿も無理を為さらぬよう。何かあったらすぐ兵を出します。」
依田信蕃「お願いします。」
伝令「申し上げます!上杉景勝!南に向け出陣!!」
依田信蕃「おぉ!ついにやって来たか!!」
春日信達「えっ!?敵が攻めて来たのでありますよ!」
依田信蕃「いやぁ。待ちくたびれておった。」
春日信達「相手は上杉でありますぞ。」
依田信蕃「これまで我らが相手をして来たのは誰であったか忘れたか?織田信長様であり、徳川家康様であった。其方も北条相手に後れを取った事は無かったであろう。」
春日信達「確かに。」
依田信蕃「それにここ川中島の方々は長年。其方の御父上と共に上杉といくさを繰り広げて来た。上杉と言っても景勝では無い。謙信だ。その当時に比べれば上杉は小勢。加えて武田の頃とは違い……。」
兵糧、弾薬に不自由しない。
依田信蕃「後は馬場信春様が手入れをされたこの長沼城に恥をかかせぬよう戦うまでの事。」
春日信達「……うむ。」
依田信蕃「春日殿!」
春日信達「如何為されましたか?」
依田信蕃「城を守る上で必要不可欠な事は何であるか御存知ですか?」
春日信達「人を養うのに必要な兵糧に鉄砲を使う以上、無くてはならない弾薬。」
依田信蕃「他にもあるでしょう。これが無くて武田時代。我らは苦しめられたのでありますから。」
後詰め。
依田信蕃「ここに春日様が居る事は私にとって心強い限りであります。しかしいくさは1日2日で終わるものではありません。半年になるかもしれませんし、年を跨ぐ恐れもあります。その間、兵糧と弾薬は確実に減っていく事になります。補給無くして城を維持する事は出来ませんし、後詰め無くして上杉に勝利を収める事は出来ません。」
春日信達「うむ。」
依田信蕃「城を守るだけでありましたら私共の手勢で対処する事は出来ます。ただ私は川中島の衆から見れば余所者。加えて川中島の国衆は一度上杉に切り崩されかけています。彼らを信用する事が出来ないと言っているわけではありません。ありませんが、正直な話。私は彼らの事を知りません。川中島で唯一知っている。気を置かなくても良い人物は春日殿。其方だけであります。私は其方を買っています。絶対に私を見捨てる事は無いと。」
春日信達「……ありがとうございます。」
依田信蕃「急ぎ海津にお戻り下さい。そして川中島の国衆の持つ経験を最大限に活用し、この危機を乗り切りましょう。」
春日信達「わかりました。依田殿も無理を為さらぬよう。何かあったらすぐ兵を出します。」
依田信蕃「お願いします。」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
零式輸送機、満州の空を飛ぶ。
ゆみすけ
歴史・時代
ダクラスDC-3輸送機を米国からライセンスを買って製造した大日本帝国。 ソ連の侵攻を防ぐ防壁として建国した満州国。 しかし、南はシナの軍閥が・・・ソ連の脅威は深まるばかりだ。 開拓村も馬賊に襲われて・・・東北出身の開拓団は風前の灯だった・・・
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
本能のままに
揚羽
歴史・時代
1582年本能寺にて織田信長は明智光秀の謀反により亡くなる…はずだった
もし信長が生きていたらどうなっていたのだろうか…というifストーリーです!もしよかったら見ていってください!
※更新は不定期になると思います。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?
俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。
蒼雷の艦隊
和蘭芹わこ
歴史・時代
第五回歴史時代小説大賞に応募しています。
よろしければ、お気に入り登録と投票是非宜しくお願いします。
一九四二年、三月二日。
スラバヤ沖海戦中に、英国の軍兵四二二人が、駆逐艦『雷』によって救助され、その命を助けられた。
雷艦長、その名は「工藤俊作」。
身長一八八センチの大柄な身体……ではなく、その姿は一三○センチにも満たない身体であった。
これ程までに小さな身体で、一体どういう風に指示を送ったのか。
これは、史実とは少し違う、そんな小さな艦長の物語。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
奇妙丸
0002
歴史・時代
信忠が本能寺の変から甲州征伐の前に戻り歴史を変えていく。登場人物の名前は通称、時には新しい名前、また年月日は現代のものに。if満載、本能寺の変は黒幕説、作者のご都合主義のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる