55 / 62
代案
しおりを挟む
真田昌幸「『織田は動かぬ。滝川。お前自らの手で何とかせよ。』
と言う事になるのか……。」
春日信達「そう捉えて間違い無いかと。」
真田昌幸「関東は滝川様の裁量に委ねられたと言えば聞こえが良いのかもしれないが、滝川様の兵力だけでは北条を倒す事は出来ない。武蔵との境を守りつつ、先のいくさで獲得した秩父を維持。時間を掛けて北条に従っている国衆の調略並びに他の東国衆を味方に引き入れ、北条の殲滅を目指す……。そのために必要なのが織田家の安泰。今、その織田家が揉めようとしている。それが無ければ、とうの昔に北条討伐軍が編成されている。……尤も織田家が安泰ならば、北条が敵対する事も無かったか……。」
春日信達「その織田家なのでありますが。」
真田昌幸「何か代案を提示されているのでありますか?」
春日信達「これはうちらにとって良い事なのかどうか定かではありませんが……。」
真田昌幸「うちらがどうこう言って変わる事ではありません。教えて下さい。」
春日信達「北条討伐に名乗り出た人物が居ます。」
真田昌幸「織田の家中から?」
春日信達「厳密に言うと違います。ただ実質その扱いになりつつあった人物であります。」
真田昌幸「誰ですか?勿体ぶらずに教えて下さい。」
春日信達「其方にこの名前を出して良いものか迷っているのだが……。」
北条討伐に名乗りを上げた人物。それは……徳川家康。
真田昌幸「本気か?彼の権益で駿河から最も近い北条の拠点は小田原城だぞ。家康は本気で小田原城を攻めると言っているのか?」
依田信蕃「小田原の手前には伊豆と箱根もあります。この辺りは春日が専門であろう?」
春日信達「その前に徳川の力で北条に勝つ事が出来るのか?を考えた方が良いかもしれぬ。」
依田信蕃「それでありましたら……そうですね。長年、徳川と戦って来た当事者であった者から見た徳川の印象は……。」
城取を得意とはしていない。
依田信蕃「徳川は城側が頑強に抵抗された場合、機能不全に陥る事がありました。今川時代の掛川城がその良い事例であります。北条は基本、城を最大限に活かして敵の撃退を狙って来ます。城には兵糧と弾薬が豊富に備蓄され、数年単位の籠城も可能であります。ならば高天神のように周りを完全に封鎖すれば良いのかもしれませんが、それを可能としたのが織田からの支援でありました。織田は今、揉めています。恐らくでありますが、徳川が北条討伐に名乗り出た理由は小田原奪取では無い事が予想されます。」
と言う事になるのか……。」
春日信達「そう捉えて間違い無いかと。」
真田昌幸「関東は滝川様の裁量に委ねられたと言えば聞こえが良いのかもしれないが、滝川様の兵力だけでは北条を倒す事は出来ない。武蔵との境を守りつつ、先のいくさで獲得した秩父を維持。時間を掛けて北条に従っている国衆の調略並びに他の東国衆を味方に引き入れ、北条の殲滅を目指す……。そのために必要なのが織田家の安泰。今、その織田家が揉めようとしている。それが無ければ、とうの昔に北条討伐軍が編成されている。……尤も織田家が安泰ならば、北条が敵対する事も無かったか……。」
春日信達「その織田家なのでありますが。」
真田昌幸「何か代案を提示されているのでありますか?」
春日信達「これはうちらにとって良い事なのかどうか定かではありませんが……。」
真田昌幸「うちらがどうこう言って変わる事ではありません。教えて下さい。」
春日信達「北条討伐に名乗り出た人物が居ます。」
真田昌幸「織田の家中から?」
春日信達「厳密に言うと違います。ただ実質その扱いになりつつあった人物であります。」
真田昌幸「誰ですか?勿体ぶらずに教えて下さい。」
春日信達「其方にこの名前を出して良いものか迷っているのだが……。」
北条討伐に名乗りを上げた人物。それは……徳川家康。
真田昌幸「本気か?彼の権益で駿河から最も近い北条の拠点は小田原城だぞ。家康は本気で小田原城を攻めると言っているのか?」
依田信蕃「小田原の手前には伊豆と箱根もあります。この辺りは春日が専門であろう?」
春日信達「その前に徳川の力で北条に勝つ事が出来るのか?を考えた方が良いかもしれぬ。」
依田信蕃「それでありましたら……そうですね。長年、徳川と戦って来た当事者であった者から見た徳川の印象は……。」
城取を得意とはしていない。
依田信蕃「徳川は城側が頑強に抵抗された場合、機能不全に陥る事がありました。今川時代の掛川城がその良い事例であります。北条は基本、城を最大限に活かして敵の撃退を狙って来ます。城には兵糧と弾薬が豊富に備蓄され、数年単位の籠城も可能であります。ならば高天神のように周りを完全に封鎖すれば良いのかもしれませんが、それを可能としたのが織田からの支援でありました。織田は今、揉めています。恐らくでありますが、徳川が北条討伐に名乗り出た理由は小田原奪取では無い事が予想されます。」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?
俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
浅井長政は織田信長に忠誠を誓う
ピコサイクス
歴史・時代
1570年5月24日、織田信長は朝倉義景を攻めるため越後に侵攻した。その時浅井長政は婚姻関係の織田家か古くから関係ある朝倉家どちらの味方をするか迷っていた。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる