22 / 62
不在
しおりを挟む
川中島の懸念材料。それは……。
真田昌幸「依田春日の立場にお墨付きを与えている人物。森長可様が川中島にいない事であります。彼らは森様から川中島を託されています。彼らの言葉は森様の言葉であり、国衆は彼らの言葉に従わなければなりません。ただし……。」
その言葉に国衆が反発した場合、それを制し罰するのは春日信達と依田信蕃の務め。
真田昌幸「森様は川中島から遠く離れた美濃に居ます。彼らがどんなに森様に訴え出ても、森様が執行する事は出来ません。これは上杉景勝から攻め込まれた時も同じであります。現状、川中島の国衆と上杉景勝が使う事の兵の数に差はありません。ありませんが、上杉景勝が今動かす事の出来る将と兵は、上杉景勝が信頼している者共であります。そのため川中島に入った上杉軍が内部から瓦解する事はありません。
一方の川中島の国衆はそうではありません。森様の事を面白く思っていない者。その森様からお墨付きを得た依田春日の事を面白く思っていない者もいるかもしれません。この混乱に乗じ、権益の拡大を目論んでいる国衆が居ても不思議な事ではありません。そんな国衆と景勝が結び付いた瞬間。川中島は上杉の手に落ちる事になります。川中島を救う立場にある森様が不在でありますので。」
保科正直「森様の本拠地は確か美濃東部。川中島までそんなに日数は掛からないと思われるが?」
真田昌幸「通り道が厄介な事になっています。」
保科正直「木曽様に妨害された?」
真田昌幸「厳密に言いますと被害者は木曽様かも知れません。」
保科正直「ん!?」
真田昌幸「恐らくでありますが、木曽様は森様を狙っていたのでは無いか?と。兵を集めていたのは確かでありましたので。ただその事を森様は察知されていたため、木曽様を騙し木曽福島城を占拠。木曽様の嫡男を確保。人質にした上、道案内をさせています。少なくとも森様は木曽様の権益を通る事は出来ないと考えているのでは無いかと。」
内藤昌月「伊那路を通る事も可能でありますが?」
真田昌幸「其方らの故郷の方が危ない。あそこは既に国衆によって占拠されている。」
小幡信真「後ろ盾になっている人物は?」
真田昌幸「木曽様で無い事は確かである。」
小幡信真「その気概があったら殿(武田勝頼)を見捨てる事も無かったか……。」
保科正直「依田が佐久。曽根岡部が甲斐に入った事から考えると……。」
真田昌幸「実際、彼らと接触する事が出来ていませんのでわかりません。わかりませんが、皆様が思い浮かべている人物が裏で動いていると見て間違いありません。」
真田昌幸「依田春日の立場にお墨付きを与えている人物。森長可様が川中島にいない事であります。彼らは森様から川中島を託されています。彼らの言葉は森様の言葉であり、国衆は彼らの言葉に従わなければなりません。ただし……。」
その言葉に国衆が反発した場合、それを制し罰するのは春日信達と依田信蕃の務め。
真田昌幸「森様は川中島から遠く離れた美濃に居ます。彼らがどんなに森様に訴え出ても、森様が執行する事は出来ません。これは上杉景勝から攻め込まれた時も同じであります。現状、川中島の国衆と上杉景勝が使う事の兵の数に差はありません。ありませんが、上杉景勝が今動かす事の出来る将と兵は、上杉景勝が信頼している者共であります。そのため川中島に入った上杉軍が内部から瓦解する事はありません。
一方の川中島の国衆はそうではありません。森様の事を面白く思っていない者。その森様からお墨付きを得た依田春日の事を面白く思っていない者もいるかもしれません。この混乱に乗じ、権益の拡大を目論んでいる国衆が居ても不思議な事ではありません。そんな国衆と景勝が結び付いた瞬間。川中島は上杉の手に落ちる事になります。川中島を救う立場にある森様が不在でありますので。」
保科正直「森様の本拠地は確か美濃東部。川中島までそんなに日数は掛からないと思われるが?」
真田昌幸「通り道が厄介な事になっています。」
保科正直「木曽様に妨害された?」
真田昌幸「厳密に言いますと被害者は木曽様かも知れません。」
保科正直「ん!?」
真田昌幸「恐らくでありますが、木曽様は森様を狙っていたのでは無いか?と。兵を集めていたのは確かでありましたので。ただその事を森様は察知されていたため、木曽様を騙し木曽福島城を占拠。木曽様の嫡男を確保。人質にした上、道案内をさせています。少なくとも森様は木曽様の権益を通る事は出来ないと考えているのでは無いかと。」
内藤昌月「伊那路を通る事も可能でありますが?」
真田昌幸「其方らの故郷の方が危ない。あそこは既に国衆によって占拠されている。」
小幡信真「後ろ盾になっている人物は?」
真田昌幸「木曽様で無い事は確かである。」
小幡信真「その気概があったら殿(武田勝頼)を見捨てる事も無かったか……。」
保科正直「依田が佐久。曽根岡部が甲斐に入った事から考えると……。」
真田昌幸「実際、彼らと接触する事が出来ていませんのでわかりません。わかりませんが、皆様が思い浮かべている人物が裏で動いていると見て間違いありません。」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?
俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
零式輸送機、満州の空を飛ぶ。
ゆみすけ
歴史・時代
ダクラスDC-3輸送機を米国からライセンスを買って製造した大日本帝国。 ソ連の侵攻を防ぐ防壁として建国した満州国。 しかし、南はシナの軍閥が・・・ソ連の脅威は深まるばかりだ。 開拓村も馬賊に襲われて・・・東北出身の開拓団は風前の灯だった・・・
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
本能のままに
揚羽
歴史・時代
1582年本能寺にて織田信長は明智光秀の謀反により亡くなる…はずだった
もし信長が生きていたらどうなっていたのだろうか…というifストーリーです!もしよかったら見ていってください!
※更新は不定期になると思います。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜
雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。
そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。
これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。
主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美
※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。
※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。
※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/history.png?id=c54a38c2a36c3510c993)
戦争はただ冷酷に
航空戦艦信濃
歴史・時代
1900年代、日露戦争の英雄達によって帝国陸海軍の教育は大きな変革を遂げた。戦術だけでなく戦略的な視点で、すべては偉大なる皇国の為に、徹底的に敵を叩き潰すための教育が行われた。その為なら、武士道を捨てることだって厭わない…
1931年、満州の荒野からこの教育の成果が世界に示される。
蒼雷の艦隊
和蘭芹わこ
歴史・時代
第五回歴史時代小説大賞に応募しています。
よろしければ、お気に入り登録と投票是非宜しくお願いします。
一九四二年、三月二日。
スラバヤ沖海戦中に、英国の軍兵四二二人が、駆逐艦『雷』によって救助され、その命を助けられた。
雷艦長、その名は「工藤俊作」。
身長一八八センチの大柄な身体……ではなく、その姿は一三○センチにも満たない身体であった。
これ程までに小さな身体で、一体どういう風に指示を送ったのか。
これは、史実とは少し違う、そんな小さな艦長の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる