19 / 62
異動
しおりを挟む
春日信達「滝川様の管轄内に空いている土地は見当たりませんが……。」
真田昌幸「そこで信達にお願いしたい事がある。」
上野国岩櫃城。
保科正直「それで依田を川中島へ。」
真田昌幸「彼の地は今、春日信達が森長可様よりお預かりしている。」
小幡信真「かと言って森様が直轄されている場所を渡す権限を信達は……。」
真田昌幸「ありません。しかし川中島は、森様の直轄地以外にも土地が残っています。」
上杉景勝の誘いに乗ったが故信濃を追い出された国衆の土地。
内藤昌月「しかもその土地の大半が……。」
対上杉の前線となる場所。
真田昌幸「依田のためにある場所と言っても過言では無い。」
ここで登場する人物紹介。
保科正直は、信濃国先方衆として伊那郡を担当。武田滅亡の際、実弟内藤昌月を頼り上野に赴き降伏。現在は滝川一益の与力家臣。
小幡信真は、上野国南西部の国衆で武田滅亡の際、織田に降伏。保科と同じく滝川一益の与力家臣。
内藤昌月は、保科正直の実弟で内藤昌豊の養子で箕輪城を管轄。上記2名と同じく武田滅亡の際、織田に降伏。現在は滝川一益の与力家臣。
小幡信真「しかし森様もよく依田の帰属を認めたものだな。」
真田昌幸「信達には最初、滝川様の川中島入りを打診するよう指示しました。」
保科正直「答えは?」
真田昌幸「あまり良い返事では無かった。理由は……。」
森長可の管轄地である川中島で滝川一益が活躍されるのは面白くないから。
真田昌幸「ただそれはこちらも望んでいた答えであります。何故なら北条氏政が織田を裏切る動きを見せている。上野への侵攻を狙っているからであります。かと言って川中島の国衆だけでは上杉の侵攻を防ぐ事が出来ない事も森様は知っています。そこで……。」
駿河における対徳川防衛戦で活躍した依田信蕃の名前を出した。
真田昌幸「依田の人質は滝川様の下に送り届けられていますし、依田が仕事を途中で投げ出す人物で無い事は武田時代に証明済み。同じ事は信達にも言える事。この両者が守るのであれば、上杉が川中島を奪うのは簡単な事では無い。加えて……。」
滝川一益が川中島に入る事にも弊害がある。
真田昌幸「素直な気持ちで答えていただけるかな?」
内藤昌月「何でありましょうか?」
真田昌幸「本音は滝川様と行動を共にしたくは無いであろう?」
内藤昌月「えぇ……。まぁ……。」
小幡信真「内藤を困らせるで無い。」
真田昌幸「同じ事は川中島の国衆にも言える事。彼らが求めているのは単に多くの兵を持って来る人物ではありません。彼らが命を懸けるに値する人物であります。」
真田昌幸「そこで信達にお願いしたい事がある。」
上野国岩櫃城。
保科正直「それで依田を川中島へ。」
真田昌幸「彼の地は今、春日信達が森長可様よりお預かりしている。」
小幡信真「かと言って森様が直轄されている場所を渡す権限を信達は……。」
真田昌幸「ありません。しかし川中島は、森様の直轄地以外にも土地が残っています。」
上杉景勝の誘いに乗ったが故信濃を追い出された国衆の土地。
内藤昌月「しかもその土地の大半が……。」
対上杉の前線となる場所。
真田昌幸「依田のためにある場所と言っても過言では無い。」
ここで登場する人物紹介。
保科正直は、信濃国先方衆として伊那郡を担当。武田滅亡の際、実弟内藤昌月を頼り上野に赴き降伏。現在は滝川一益の与力家臣。
小幡信真は、上野国南西部の国衆で武田滅亡の際、織田に降伏。保科と同じく滝川一益の与力家臣。
内藤昌月は、保科正直の実弟で内藤昌豊の養子で箕輪城を管轄。上記2名と同じく武田滅亡の際、織田に降伏。現在は滝川一益の与力家臣。
小幡信真「しかし森様もよく依田の帰属を認めたものだな。」
真田昌幸「信達には最初、滝川様の川中島入りを打診するよう指示しました。」
保科正直「答えは?」
真田昌幸「あまり良い返事では無かった。理由は……。」
森長可の管轄地である川中島で滝川一益が活躍されるのは面白くないから。
真田昌幸「ただそれはこちらも望んでいた答えであります。何故なら北条氏政が織田を裏切る動きを見せている。上野への侵攻を狙っているからであります。かと言って川中島の国衆だけでは上杉の侵攻を防ぐ事が出来ない事も森様は知っています。そこで……。」
駿河における対徳川防衛戦で活躍した依田信蕃の名前を出した。
真田昌幸「依田の人質は滝川様の下に送り届けられていますし、依田が仕事を途中で投げ出す人物で無い事は武田時代に証明済み。同じ事は信達にも言える事。この両者が守るのであれば、上杉が川中島を奪うのは簡単な事では無い。加えて……。」
滝川一益が川中島に入る事にも弊害がある。
真田昌幸「素直な気持ちで答えていただけるかな?」
内藤昌月「何でありましょうか?」
真田昌幸「本音は滝川様と行動を共にしたくは無いであろう?」
内藤昌月「えぇ……。まぁ……。」
小幡信真「内藤を困らせるで無い。」
真田昌幸「同じ事は川中島の国衆にも言える事。彼らが求めているのは単に多くの兵を持って来る人物ではありません。彼らが命を懸けるに値する人物であります。」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
信長の秘書
たも吉
歴史・時代
右筆(ゆうひつ)。
それは、武家の秘書役を行う文官のことである。
文章の代筆が本来の職務であったが、時代が進むにつれて公文書や記録の作成などを行い、事務官僚としての役目を担うようになった。
この物語は、とある男が武家に右筆として仕官し、無自覚に主家を動かし、戦国乱世を生き抜く物語である。
などと格好つけてしまいましたが、実際はただのゆる~いお話です。
高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?
俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。
信濃の大空
ypaaaaaaa
歴史・時代
空母信濃、それは大和型3番艦として建造されたものの戦術の変化により空母に改装され、一度も戦わず沈んだ巨艦である。
そんな信濃がもし、マリアナ沖海戦に間に合っていたらその後はどうなっていただろう。
この小説はそんな妄想を書き綴ったものです!
前作同じく、こんなことがあったらいいなと思いながら読んでいただけると幸いです!
明日の海
山本五十六の孫
歴史・時代
4月7日、天一号作戦の下、大和は坊ノ岬沖海戦を行う。多数の爆撃や魚雷が大和を襲う。そして、一発の爆弾が弾薬庫に被弾し、大和は乗組員と共に轟沈する、はずだった。しかし大和は2015年、戦後70年の世へとタイムスリップしてしまう。大和は現代の艦艇、航空機、そして日本国に翻弄される。そしてそんな中、中国が尖閣諸島への攻撃を行い、その動乱に艦長の江熊たちと共に大和も巻き込まれていく。
世界最大の戦艦と呼ばれた戦艦と、艦長江熊をはじめとした乗組員が現代と戦う、逆ジパング的なストーリー←これを言って良かったのか
主な登場人物
艦長 江熊 副長兼砲雷長 尾崎 船務長 須田 航海長 嶋田 機関長 池田
かくされた姫
葉月葵
歴史・時代
慶長二十年、大坂夏の陣により豊臣家は滅亡。秀頼と正室である千姫の間に子はなく、側室との間に成した息子は殺され娘は秀頼の正室・千姫の嘆願によって仏門に入ることを条件に助命された――それが、現代にまで伝わる通説である。
しかし。大坂夏の陣の折。大坂城から脱出した千姫は、秀頼の子を宿していた――これは、歴史上にその血筋を隠された姫君の物語である。
旧式戦艦はつせ
古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。
我らの輝かしきとき ~拝啓、坂の上から~
城闕崇華研究所(呼称は「えねこ」でヨロ
歴史・時代
講和内容の骨子は、以下の通りである。
一、日本の朝鮮半島に於ける優越権を認める。
二、日露両国の軍隊は、鉄道警備隊を除いて満州から撤退する。
三、ロシアは樺太を永久に日本へ譲渡する。
四、ロシアは東清鉄道の内、旅順-長春間の南満洲支線と、付属地の炭鉱の租借権を日本へ譲渡する。
五、ロシアは関東州(旅順・大連を含む遼東半島南端部)の租借権を日本へ譲渡する。
六、ロシアは沿海州沿岸の漁業権を日本人に与える。
そして、1907年7月30日のことである。
GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲
俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。
今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。
「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」
その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。
当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!?
姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。
共に
第8回歴史時代小説参加しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる