623 / 625
参戦
しおりを挟む
春日虎綱「その事についてでありますが。真田様は恐らく武田義信の対信長作戦の間に片を付けようと考えているものと思われます。」
私(村上義清)「義信の西上を助けるために氏政は上野に兵を向けるのだろう?普段よりも強く事にあたると見るのが自然であろう?」
春日虎綱「確かに。うちは北条と同時に武田にも注視しなければなりませんので、これまでのような主立った部隊の全てを一点に集中する事は出来ません。加えて輝虎も越中に掛かりっきり。上野に兵を出す余裕が無いとなれば、氏政にとって絶好の機会が訪れたと判断し上野に向け兵を進める事になるのは必定であります。」
私(村上義清)「その状況下にあっても幸隆は長野倉賀野の攻略に自信を示している理由は何だ?」
春日虎綱「武田との同盟が復活した事が関係しています。」
私(村上義清)「西を心配する事が無くなった氏政が、思う存分関東に兵を進める事になっただけだろ?」
春日虎綱「いえ。そうはなりません。」
私(村上義清)「何故そう思う?」
春日虎綱「1つは武田から戻された滝山についてであります。滝山は先の武田。そして我らとの戦いにより全て灰となってしまいました。その後うちは放棄しましたが、義信の侵攻により滝山は荒れ果てたままであります。滝山は氏照の本拠地であった場所。真っ先に復興させなければなりません。加えて仮にうちと義信が再び手を結んだ場合、最初に狙われるのが滝山であります。加えて滝山は実際に奪われた町であります。より堅固にしなければなりません。多くの人と予算が滝山に向けられるのは確実。北関東に兵を進めるには少々時間を要する事になるのが1つ目の理由。
そしてもう1つの理由は、北条氏政も此度の上洛戦に参加するからであります。武田義信が上洛戦を成功させるために必須となるのが総力戦。甲斐駿河にある全ての資源を投入しなければ織田信長はおろか徳川家康も倒す事は出来ません。それは義信もわかっています。しかしここで問題が1つあります。うちとの関係であります。うちは織田に徳川。そして上杉と同盟を結んでいます。うちの同盟者である3者と武田は対立関係にあります。うちと武田が今、平穏を保っては居ますが同盟を結んでいるわけではありません。ありませんので義信の持っているもの全てを上洛戦に投入する事は出来ません。しかしやらなければ上洛は失敗に終わってしまいます。その事に天皇様も留意され、実現したのが北条氏政の参戦であります。」
私(村上義清)「義信の西上を助けるために氏政は上野に兵を向けるのだろう?普段よりも強く事にあたると見るのが自然であろう?」
春日虎綱「確かに。うちは北条と同時に武田にも注視しなければなりませんので、これまでのような主立った部隊の全てを一点に集中する事は出来ません。加えて輝虎も越中に掛かりっきり。上野に兵を出す余裕が無いとなれば、氏政にとって絶好の機会が訪れたと判断し上野に向け兵を進める事になるのは必定であります。」
私(村上義清)「その状況下にあっても幸隆は長野倉賀野の攻略に自信を示している理由は何だ?」
春日虎綱「武田との同盟が復活した事が関係しています。」
私(村上義清)「西を心配する事が無くなった氏政が、思う存分関東に兵を進める事になっただけだろ?」
春日虎綱「いえ。そうはなりません。」
私(村上義清)「何故そう思う?」
春日虎綱「1つは武田から戻された滝山についてであります。滝山は先の武田。そして我らとの戦いにより全て灰となってしまいました。その後うちは放棄しましたが、義信の侵攻により滝山は荒れ果てたままであります。滝山は氏照の本拠地であった場所。真っ先に復興させなければなりません。加えて仮にうちと義信が再び手を結んだ場合、最初に狙われるのが滝山であります。加えて滝山は実際に奪われた町であります。より堅固にしなければなりません。多くの人と予算が滝山に向けられるのは確実。北関東に兵を進めるには少々時間を要する事になるのが1つ目の理由。
そしてもう1つの理由は、北条氏政も此度の上洛戦に参加するからであります。武田義信が上洛戦を成功させるために必須となるのが総力戦。甲斐駿河にある全ての資源を投入しなければ織田信長はおろか徳川家康も倒す事は出来ません。それは義信もわかっています。しかしここで問題が1つあります。うちとの関係であります。うちは織田に徳川。そして上杉と同盟を結んでいます。うちの同盟者である3者と武田は対立関係にあります。うちと武田が今、平穏を保っては居ますが同盟を結んでいるわけではありません。ありませんので義信の持っているもの全てを上洛戦に投入する事は出来ません。しかしやらなければ上洛は失敗に終わってしまいます。その事に天皇様も留意され、実現したのが北条氏政の参戦であります。」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?
俣彦
ファンタジー
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になった私。
武田家の当主として歴史を覆すべく、父信玄時代の同僚と共に生き残りを図る物語。
陣代『諏訪勝頼』――御旗盾無、御照覧あれ!――
黒鯛の刺身♪
歴史・時代
戦国の巨獣と恐れられた『武田信玄』の実質的後継者である『諏訪勝頼』。
一般には武田勝頼と記されることが多い。
……が、しかし、彼は正統な後継者ではなかった。
信玄の遺言に寄れば、正式な後継者は信玄の孫とあった。
つまり勝頼の子である信勝が後継者であり、勝頼は陣代。
一介の後見人の立場でしかない。
織田信長や徳川家康ら稀代の英雄たちと戦うのに、正式な当主と成れず、一介の後見人として戦わねばならなかった諏訪勝頼。
……これは、そんな悲運の名将のお話である。
【画像引用】……諏訪勝頼・高野山持明院蔵
【注意】……武田贔屓のお話です。
所説あります。
あくまでも一つのお話としてお楽しみください。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
暁のミッドウェー
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。
真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。
一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。
そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。
ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。
日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。
その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。
(※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)
幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜
海月 結城
ファンタジー
ストーカーが幼馴染みをナイフで殺そうとした所を庇って死んだ俺は、気が付くと異世界に転生していた。だが、目の前に見えるのは生い茂った木々、そして、赤ん坊の鳴き声が3つ。
そんな俺たちが捨てられていたのが孤児院だった。子供は俺たち3人だけ。そんな俺たちが5歳になった時、2人の片目の中に変な紋章が浮かび上がった。1人は悪の化身魔王。もう1人はそれを打ち倒す勇者だった。だけど、2人はそんなことに興味ない。
しかし、世界は2人のことを放って置かない。勇者と魔王が復活した。まだ生まれたばかりと言う事でそれぞれの組織の思惑で2人を手駒にしようと2人に襲いかかる。
けれども俺は知っている。2人の力は強力だ。一度2人が喧嘩した事があったのだが、約半径3kmのクレーターが幾つも出来た事を。俺は、2人が戦わない様に2人を守護するのだ。
軍艦少女は死に至る夢を見る~戦時下の大日本帝国から始まる艦船擬人化物語~
takahiro
キャラ文芸
『船魄』(せんぱく)とは、軍艦を自らの意のままに操る少女達である。船魄によって操られる艦艇、艦載機の能力は人間のそれを圧倒し、彼女達の前に人間は殲滅されるだけの存在なのだ。1944年10月に覚醒した最初の船魄、翔鶴型空母二番艦『瑞鶴』は、日本本土進攻を企てるアメリカ海軍と激闘を繰り広げ、ついに勝利を掴んだ。
しかし戦後、瑞鶴は帝国海軍を脱走し行方をくらませた。1955年、アメリカのキューバ侵攻に端を発する日米の軍事衝突の最中、瑞鶴は再び姿を現わし、帝国海軍と交戦状態に入った。瑞鶴の目的はともかくとして、船魄達を解放する戦いが始まったのである。瑞鶴が解放した重巡『妙高』『高雄』、いつの間にかいる空母『グラーフ・ツェッペリン』は『月虹』を名乗って、国家に属さない軍事力として活動を始める。だが、瑞鶴は大義やら何やらには興味がないので、利用できるものは何でも利用する。カリブ海の覇権を狙う日本・ドイツ・ソ連・アメリカの間をのらりくらりと行き交いながら、月虹は生存の道を探っていく。
登場する艦艇はなんと58隻!(2024/12/30時点)(人間のキャラは他に多数)(まだまだ増える)。人類に反旗を翻した軍艦達による、異色の艦船擬人化物語が、ここに始まる。
――――――――――
●本作のメインテーマは、あくまで(途中まで)史実の地球を舞台とし、そこに船魄(せんぱく)という異物を投入したらどうなるのか、です。いわゆる艦船擬人化ものですが、特に軍艦や歴史の知識がなくとも楽しめるようにしてあります。もちろん知識があった方が楽しめることは違いないですが。
●なお軍人がたくさん出て来ますが、船魄同士の関係に踏み込むことはありません。つまり船魄達の人間関係としては百合しかありませんので、ご安心もしくはご承知おきを。もちろんがっつり性描写はないですが、GL要素大いにありです。
●全ての船魄に挿絵ありですが、AI加筆なので雰囲気程度にお楽しみください。
●少女たちの愛憎と謀略が絡まり合う、新感覚、リアル志向の艦船擬人化小説を是非お楽しみください。
●お気に入りや感想などよろしくお願いします。毎日一話投稿します。
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
転生弁護士のクエスト同行記 ~冒険者用の契約書を作ることにしたらクエストの成功率が爆上がりしました~
昼から山猫
ファンタジー
異世界に降り立った元日本の弁護士が、冒険者ギルドの依頼で「クエスト契約書」を作成することに。出発前に役割分担を明文化し、報酬の配分や責任範囲を細かく決めると、パーティ同士の内輪揉めは激減し、クエスト成功率が劇的に上がる。そんな噂が広がり、冒険者は誰もが法律事務所に相談してから旅立つように。魔王討伐の最強パーティにも声をかけられ、彼の“契約書”は世界の運命を左右する重要要素となっていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる