上 下
592 / 625

懸念

しおりを挟む
 鷹留城からの援兵の撃退に成功した高遠四郎は、村上義清本隊と合流。兵を東へ向け移動。箕輪城を出陣した敵兵との遭遇に注意を払いながら新たな陣を構えたのでありました。



私(村上義清)「鷹留とのいくさを見て、業盛はどう出るか?」

真田幸隆「退いた場合は如何なされますか?」

私(村上義清)「『見捨てられた。』と里見、雉郷に思わせる事が出来れば善し。」

真田幸隆「その場合ここは如何なされますか?」

私(村上義清)「長野の主力。とりわけ箕輪城の兵が健在である事。里見と雉郷がまだ長野側にあるのでここは引き払う事とする。」

真田幸隆「わかりました。」



伝令「申し上げます!長野業盛!こちらへ向け進軍中にあります!!」



私(村上義清)「あくまで戦う腹積もりだな。」

真田幸隆「そうなりますと注意しなければなりません。」

私(村上義清)「何か気になる事があるのか?」

真田幸隆「はい。業盛はうちの強さを知っています。輝虎の不在時。我が物顔で関東を蹂躙する北条を破った事実を目の当たりにしているのでありますので。故に此度のいくさで彼は、箕輪から出て来ないと想定していました。しかし業盛は出て来ました。出て来る。と言う事はこちらに対し、某か対策が施していると考えるのが自然であります。」

私(村上義清)「確かに。」

真田幸隆「鷹留の時も危惧していました。危惧をしていましたが、四郎が先手を取る事が出来た事もあり杞憂に終わりました。その報告を業盛は受けているハズであります。しかし彼はこちらに兵を進めています。

 最も恐れなければいけないのは『特攻』であります。殿が昔、武田晴信に対し行おうとしたあれであります。兵の損耗が著しいため、一度限りしか使えません。使えませんが効果は絶大であります。ただその攻撃が終われば箕輪衆の抵抗は終わりを告げる事も意味していますし、その攻撃に改良を加えたのが今のうちであります。厳しい戦いになりますが、対応は不可能ではありません。

 注意しなければならない2つ目が種子島であります。箕輪城は他の上野国衆同様上杉輝虎の支援の下、大量の軍事物資が供与されています。その1つが種子島であります。ただ幸いにしまして輝虎が入って以降、上野が大きないくさの場になった事はありません。故に業盛がどのような形で種子島を活用するのか?特に外いくさについてがわかりません。」

私(村上義清)「いつもの感覚で突っ込むのは……。」

真田幸隆「用心するに越した事はありません。」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

超文明日本

点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。 そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。 異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?

俣彦
ファンタジー
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になった私。 武田家の当主として歴史を覆すべく、父信玄時代の同僚と共に生き残りを図る物語。

大日本帝国、アラスカを購入して無双する

雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。 大日本帝国VS全世界、ここに開幕! ※架空の日本史・世界史です。 ※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。 ※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。

【完結】天候を操れる程度の能力を持った俺は、国を富ませる事が最優先!~何もかもゼロスタートでも挫けずめげず富ませます!!~

うどん五段
ファンタジー
幼い頃から心臓の悪かった中村キョウスケは、親から「無駄金使い」とののしられながら病院生活を送っていた。 それでも勉強は好きで本を読んだりニュースを見たりするのも好きな勤勉家でもあった。 唯一の弟とはそれなりに仲が良く、色々な遊びを教えてくれた。 だが、二十歳までしか生きられないだろうと言われていたキョウスケだったが、医療の進歩で三十歳まで生きることができ、家での自宅治療に切り替わったその日――階段から降りようとして両親に突き飛ばされ命を落とす。 ――死んだ日は、土砂降りの様な雨だった。 しかし、次に目が覚めた時は褐色の肌に銀の髪をした5歳くらいの少年で。 自分が転生したことを悟り、砂漠の国シュノベザール王国の第一王子だと言う事を知る。 飢えに苦しむ国民、天候に恵まれないシュノベザール王国は常に飢えていた。だが幸いな事に第一王子として生まれたシュライは【天候を操る程度の能力】を持っていた。 その力は凄まじく、シュライは自国を豊かにするために、時に鬼となる事も持さない覚悟で成人と認められる15歳になると、頼れる弟と宰相と共に内政を始める事となる――。 ※小説家になろう・カクヨムにも掲載中です。 無断朗読・無断使用・無断転載禁止。

旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます

竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論 東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで… ※超注意書き※ 1.政治的な主張をする目的は一切ありません 2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります 3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です 4.そこら中に無茶苦茶が含まれています 5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません 6.カクヨムとマルチ投稿 以上をご理解の上でお読みください

スーパー忍者・タカシの大冒険

Selfish
ファンタジー
時は現代。ある日、タカシはいつものように学校から帰る途中、目に見えない奇妙な光に包まれた。そして、彼の手の中に一通の封筒が現れる。それは、赤い文字で「スーパー忍者・タカシ様へ」と書かれたものだった。タカシはその手紙を開けると、そこに書かれた内容はこうだった。

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

処理中です...