上 下
502 / 625

何故小田原?

しおりを挟む
私(村上義清)「義信の件で気になる事が1つ。」

真田幸隆「何でしょうか?」

私(村上義清)「小田原を目的地に定めていたのはわかるのだが、何故鉢形や滝山を落とさなかったのか?鉢形はまだわかる。あそこは飛び地となってしまう。統治に支障を来す事がわかっているから。しかし滝山は違う。甲斐から小山田が乱入した事からもわかるように、あそこは甲斐と地続きの場所。滝山を押さえれば、小田原と鉢形の連絡を断つ事も出来る。損は無いと思うのだが?」

真田幸隆「話があった事につきましては否定しません。武田のいくさでありますので、こちらに止める手立てはありません。実際、滝山は落城寸前にまで追い込む事が出来ました。」

私(村上義清)「しかし落さなかった?」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「止めを刺すことなく相模に入り、小田原へ向かった。」

真田幸隆「はい。」

私(村上義清)「輝虎が関東の諸将を集めても落とす事が出来なかった小田原に向かった。」

真田幸隆「その通りであります。」

私(村上義清)「義信の目的が見えないのだが?」

真田幸隆「小田原を獲る事が出来れば最善でありましょう。」

私(村上義清)「本気で思っているのか?」

真田幸隆「『それは無理でしょう。水軍が無いのですから。』と言っていました。」

私(村上義清)「それがわかっていて何故小田原へ?」

真田幸隆「安全策を採るのでありましたら滝山城を落とし、部隊を駐屯させた上で甲斐へ戻っていたと思います。」

私(村上義清)「だろ?」

真田幸隆「しかしそれには副作用が発生します。滝山を奪えば小田原と鉢形の連絡を断つ事が出来ます。と言う事は、その連絡路を復活させるべく氏康は、相模と武蔵の全勢力を滝山城に向け投入する事にも繋がります。その争いに忙殺されるのを義信は避けたかったと思われます。同じ事は小田原にも言えます。尤も小田原を落とす事は出来ませんが。」

私(村上義清)「それがわかっていて何故?」

真田幸隆「氏康が城外に打って出る事が無いからです。氏照の敗報は当然小田原にも伝わっています。まともにぶつかった場合、武田に勝つ事は難しいのがわかっていますので。」

私(村上義清)「しかし城から出ないとなると……。」

真田幸隆「はい。小田原を落とす事は出来ませんし、恐らくでありますが義信が城攻めに取り掛かる事もありません。せいぜい周囲に火を付けるぐらいでありましょう。」

私(村上義清)「それで義信はどうするのだ?」

真田幸隆「頃合いを見計らって兵を退きます。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話

ルジェ*
ファンタジー
 婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが─── 「は?ふざけんなよ。」  これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。 ********  「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください! *2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!

今度生まれ変わることがあれば・・・全て忘れて幸せになりたい。・・・なんて思うか!!

れもんぴーる
ファンタジー
冤罪をかけられ、家族にも婚約者にも裏切られたリュカ。 父に送り込まれた刺客に殺されてしまうが、なんと自分を陥れた兄と裏切った婚約者の一人息子として生まれ変わってしまう。5歳になり、前世の記憶を取り戻し自暴自棄になるノエルだったが、一人一人に復讐していくことを決めた。 メイドしてはまだまだなメイドちゃんがそんな悲しみを背負ったノエルの心を支えてくれます。 復讐物を書きたかったのですが、生ぬるかったかもしれません。色々突っ込みどころはありますが、おおらかな気持ちで読んでくださると嬉しいです(*´▽`*) *なろうにも投稿しています

転生幼女は幸せを得る。

泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!? 今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

処理中です...