478 / 625
大義名分
しおりを挟む
私(村上義清)「家康はどうする?」
春日虎綱「家康は今川氏真救出の大義名分を得ています。対象者である氏真は将軍様と公式に和を結んでいますので、武田義信を攻める事について問題はありません。義信と将軍様の関係はあくまで非公式なものでしかありませんので。ただこれまでの情勢では手を出す事は出来ません。」
真田幸隆「兵を出す事は出来るだろう?」
春日虎綱「はい。しかし家康は動きません。無謀ないくさになる事がわかっていますので。」
真田幸隆「氏真を見殺しに?」
春日虎綱「次なるいくさ。武田義信とのいくさに備えるのに専念したものと思われます。」
私(村上義清)「しかし状況は一変した?」
真田幸隆「はい。相模の北条氏康が家康と同じ理由で駿河に兵を動かしました。今川氏真の。正確には氏真に嫁がせた娘のためであります。」
私(村上義清)「仮に義信を破った暁には氏真に駿河を……。」
真田幸隆「既に駿河の国人の心は離れてしまっています。加えて氏真がこれまで三河遠江の国人に対し行った事を見ていますので、再び彼らが氏真に頭を下げる事は考えられません。」
私(村上義清)「粛清されるに違いない?」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「北条の誰かが今川を継ぎ、駿河を支配する可能性は?」
真田幸隆「考える事が出来ます。もしその時、義信がこの世に居なかった場合。同様の措置が甲斐でも採られる事になります。」
私(村上義清)「義信生きて甲斐に戻り、氏康と和を結ぶとすればどうなる?」
真田幸隆「遠江の武田領は没収されるでしょう。甲斐はそのまま。しかし二度と駿河に侵攻する事が出来ぬよう国境の全てを氏康が押さえる事になるでしょう。」
私(村上義清)「そうなる事を家康は?」
春日虎綱「義信を相手にする事以上に避けなければなりません。最悪の事態であります。」
私(村上義清)「それを避けるためにも……。」
春日虎綱「家康は間違いなく天竜川を渡ります。目的は3つ。1つは義信支援及び掛川城攻囲により手薄となっている武田方天竜川以東沿岸部の攻略。次に北条から掛川への補給拠点であります高天神周辺の安全並びに掛川への補給路の確保。最後、3つ目に来るのが掛川城の救援であります。」
私(村上義清)「この向こうにあるのが?」
春日虎綱「はい。来る北条とのいくさに備えるべく遠江全体を家康の権益にする事であります。」
私(村上義清)「そのために必要なのは?」
春日虎綱「武田を東海道筋から排除される事。並びに北条もお引き取り願う事であります。」
私(村上義清)「実現する事が出来るのか?」
春日虎綱「『駿河を本来あるべき姿に戻す。』と言えば済む話であります。ただそうするためには……。」
春日虎綱「家康は今川氏真救出の大義名分を得ています。対象者である氏真は将軍様と公式に和を結んでいますので、武田義信を攻める事について問題はありません。義信と将軍様の関係はあくまで非公式なものでしかありませんので。ただこれまでの情勢では手を出す事は出来ません。」
真田幸隆「兵を出す事は出来るだろう?」
春日虎綱「はい。しかし家康は動きません。無謀ないくさになる事がわかっていますので。」
真田幸隆「氏真を見殺しに?」
春日虎綱「次なるいくさ。武田義信とのいくさに備えるのに専念したものと思われます。」
私(村上義清)「しかし状況は一変した?」
真田幸隆「はい。相模の北条氏康が家康と同じ理由で駿河に兵を動かしました。今川氏真の。正確には氏真に嫁がせた娘のためであります。」
私(村上義清)「仮に義信を破った暁には氏真に駿河を……。」
真田幸隆「既に駿河の国人の心は離れてしまっています。加えて氏真がこれまで三河遠江の国人に対し行った事を見ていますので、再び彼らが氏真に頭を下げる事は考えられません。」
私(村上義清)「粛清されるに違いない?」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「北条の誰かが今川を継ぎ、駿河を支配する可能性は?」
真田幸隆「考える事が出来ます。もしその時、義信がこの世に居なかった場合。同様の措置が甲斐でも採られる事になります。」
私(村上義清)「義信生きて甲斐に戻り、氏康と和を結ぶとすればどうなる?」
真田幸隆「遠江の武田領は没収されるでしょう。甲斐はそのまま。しかし二度と駿河に侵攻する事が出来ぬよう国境の全てを氏康が押さえる事になるでしょう。」
私(村上義清)「そうなる事を家康は?」
春日虎綱「義信を相手にする事以上に避けなければなりません。最悪の事態であります。」
私(村上義清)「それを避けるためにも……。」
春日虎綱「家康は間違いなく天竜川を渡ります。目的は3つ。1つは義信支援及び掛川城攻囲により手薄となっている武田方天竜川以東沿岸部の攻略。次に北条から掛川への補給拠点であります高天神周辺の安全並びに掛川への補給路の確保。最後、3つ目に来るのが掛川城の救援であります。」
私(村上義清)「この向こうにあるのが?」
春日虎綱「はい。来る北条とのいくさに備えるべく遠江全体を家康の権益にする事であります。」
私(村上義清)「そのために必要なのは?」
春日虎綱「武田を東海道筋から排除される事。並びに北条もお引き取り願う事であります。」
私(村上義清)「実現する事が出来るのか?」
春日虎綱「『駿河を本来あるべき姿に戻す。』と言えば済む話であります。ただそうするためには……。」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話
ルジェ*
ファンタジー
婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが───
「は?ふざけんなよ。」
これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。
********
「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください!
*2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!
今度生まれ変わることがあれば・・・全て忘れて幸せになりたい。・・・なんて思うか!!
れもんぴーる
ファンタジー
冤罪をかけられ、家族にも婚約者にも裏切られたリュカ。
父に送り込まれた刺客に殺されてしまうが、なんと自分を陥れた兄と裏切った婚約者の一人息子として生まれ変わってしまう。5歳になり、前世の記憶を取り戻し自暴自棄になるノエルだったが、一人一人に復讐していくことを決めた。
メイドしてはまだまだなメイドちゃんがそんな悲しみを背負ったノエルの心を支えてくれます。
復讐物を書きたかったのですが、生ぬるかったかもしれません。色々突っ込みどころはありますが、おおらかな気持ちで読んでくださると嬉しいです(*´▽`*)
*なろうにも投稿しています
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる