460 / 625
要請
しおりを挟む
織田信長が畿内情勢を落ち着かせるのに躍起になっていた丁度その頃。越後から便りが……。
私(村上義清)「輝虎から話が来ている。」
真田幸隆「利根川を境に関東を分けようと言う話でありますか?」
私(村上義清)「それは武田と北条の取り決めだろう。」
北条氏康と武田義信は秘密裏で協議を重ね、上野を東西で分割する事に合意。尤もその境目については……。
真田幸隆「互いに切り取り次第でありますので。」
武田から上野への入口が限られているため、北条が優位な情勢。加えてかつての家臣。喜多条高広の裏切りもあり、難しい状況に置かれているのが上野における上杉輝虎でありましたが。
私(村上義清)「今回はその事では無い。」
真田幸隆「残念ですね。」
私(村上義清)「上野では無いが輝虎からの話は武田の事である。」
真田幸隆「上野の件では無い武田の事となりますと、義信が輝虎と手を結ぼうとしていますか?」
私(村上義清)「いや。そうでは無い。輝虎からは『武田領を脅かして欲しい。』と言われておる。」
真田幸隆「『(輝虎が)上野に兵を出すから、義信が関東に入る事が出来ぬよう佐久に兵出せ。』でありますか?」
私(村上義清)「いや。それでも無い。」
真田幸隆「ん!?となりますと……。」
私(村上義清)「甲斐に兵を出して欲しいと言っている。」
真田幸隆「輝虎がですか?」
私(村上義清)「そうだ。」
真田幸隆「……となりますと輝虎本人の要請ではありませんね。」
私(村上義清)「その通り。」
真田幸隆「うちに武田を攻めさせたいと考えている相手は現状1つしかありませんね。」
今川氏真。
真田幸隆「武田と今川の同盟関係は崩壊いていますか?」
私(村上義清)「正式なものは無い。ただ破綻しているのは紛れもない事実である。」
真田幸隆「津留をしたぐらいですからね。」
私(村上義清)「逆効果だったけどな。」
真田幸隆「義信に京に直接繋がる自前の道の必要性を認識させてしまいましたからね。最も手っ取り早い場所が駿河。」
私(村上義清)「こちらとしては有難かった。」
真田幸隆「そうですね。御館様(武田晴信)の頃は、とにかく確実に所領を増やす事が出来る相手として信濃が狙われていたのでありますから。」
私(村上義清)「駿河や関東に比べれば国力は劣るからな……。」
真田幸隆「しかし仮に信濃を手に入れたとしましても、領土の広さの割に耕地は少なく各平と谷は険しい山に阻まれていますので大規模化には不向きな地名であります。」
私(村上義清)「労力の割には利益は少ないし、信濃の周りは越後や上野。美濃など大国ばかり。」
真田幸隆「と思っている所に豊かな駿河が弱体化している事を義信に気付かせてしまったのは、氏真の失敗でありますね。」
私(村上義清)「輝虎から話が来ている。」
真田幸隆「利根川を境に関東を分けようと言う話でありますか?」
私(村上義清)「それは武田と北条の取り決めだろう。」
北条氏康と武田義信は秘密裏で協議を重ね、上野を東西で分割する事に合意。尤もその境目については……。
真田幸隆「互いに切り取り次第でありますので。」
武田から上野への入口が限られているため、北条が優位な情勢。加えてかつての家臣。喜多条高広の裏切りもあり、難しい状況に置かれているのが上野における上杉輝虎でありましたが。
私(村上義清)「今回はその事では無い。」
真田幸隆「残念ですね。」
私(村上義清)「上野では無いが輝虎からの話は武田の事である。」
真田幸隆「上野の件では無い武田の事となりますと、義信が輝虎と手を結ぼうとしていますか?」
私(村上義清)「いや。そうでは無い。輝虎からは『武田領を脅かして欲しい。』と言われておる。」
真田幸隆「『(輝虎が)上野に兵を出すから、義信が関東に入る事が出来ぬよう佐久に兵出せ。』でありますか?」
私(村上義清)「いや。それでも無い。」
真田幸隆「ん!?となりますと……。」
私(村上義清)「甲斐に兵を出して欲しいと言っている。」
真田幸隆「輝虎がですか?」
私(村上義清)「そうだ。」
真田幸隆「……となりますと輝虎本人の要請ではありませんね。」
私(村上義清)「その通り。」
真田幸隆「うちに武田を攻めさせたいと考えている相手は現状1つしかありませんね。」
今川氏真。
真田幸隆「武田と今川の同盟関係は崩壊いていますか?」
私(村上義清)「正式なものは無い。ただ破綻しているのは紛れもない事実である。」
真田幸隆「津留をしたぐらいですからね。」
私(村上義清)「逆効果だったけどな。」
真田幸隆「義信に京に直接繋がる自前の道の必要性を認識させてしまいましたからね。最も手っ取り早い場所が駿河。」
私(村上義清)「こちらとしては有難かった。」
真田幸隆「そうですね。御館様(武田晴信)の頃は、とにかく確実に所領を増やす事が出来る相手として信濃が狙われていたのでありますから。」
私(村上義清)「駿河や関東に比べれば国力は劣るからな……。」
真田幸隆「しかし仮に信濃を手に入れたとしましても、領土の広さの割に耕地は少なく各平と谷は険しい山に阻まれていますので大規模化には不向きな地名であります。」
私(村上義清)「労力の割には利益は少ないし、信濃の周りは越後や上野。美濃など大国ばかり。」
真田幸隆「と思っている所に豊かな駿河が弱体化している事を義信に気付かせてしまったのは、氏真の失敗でありますね。」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
愛していました。待っていました。でもさようなら。
彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。
やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
お姉さまは酷いずるいと言い続け、王子様に引き取られた自称・妹なんて知らない
あとさん♪
ファンタジー
わたくしが卒業する年に妹(自称)が学園に編入して来ました。
久しぶりの再会、と思いきや、行き成りわたくしに暴言をぶつけ、泣きながら走り去るという暴挙。
いつの間にかわたくしの名誉は地に落ちていたわ。
ずるいずるい、謝罪を要求する、姉妹格差がどーたらこーたら。
わたくし一人が我慢すればいいかと、思っていたら、今度は自称・婚約者が現れて婚約破棄宣言?
もううんざり! 早く本当の立ち位置を理解させないと、あの子に騙される被害者は増える一方!
そんな時、王子殿下が彼女を引き取りたいと言いだして────
※この話は小説家になろうにも同時掲載しています。
※設定は相変わらずゆるんゆるん。
※シャティエル王国シリーズ4作目!
※過去の拙作
『相互理解は難しい(略)』の29年後、
『王宮勤めにも色々ありまして』の27年後、
『王女殿下のモラトリアム』の17年後の話になります。
上記と主人公が違います。未読でも話は分かるとは思いますが、知っているとなお面白いかと。
※『俺の心を掴んだ姫は笑わない~見ていいのは俺だけだから!~』シリーズ5作目、オリヴァーくんが主役です! こちらもよろしくお願いします<(_ _)>
※ちょくちょく修正します。誤字撲滅!
※全9話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる