旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

気になる事

私（村上義清）「ところで虎綱。」

春日虎綱「何でしょうか？」

私（村上義清）「確かお前。三好が上陸した場所で『気になる事がある。』と言っていたよな？」

春日虎綱「はい。」

私（村上義清）「野田、福島は海に面しているため三好が拠点を構えるのに便利な場所であり、かつ陸での行き来を余儀なくされる信長に比べ、舟戦で有利に立つ事が出来る。攻略され難い場所にある。加えて西国からの物資が流入する尼崎から京への道を塞ぐ事が出来、将軍の居る京を困らせる事も可能となった。そう申していたよな？」

春日虎綱「はい。」

私（村上義清）「しかし現状を見ていると三好方となった者共は軒並み信長に降り。尼崎からの道を封じる事は出来ては居るが、野田、福島についてはただ籠っているだけ。もう１つの道のりである池田城も今後切り崩される事が目に見えている状況にある。そうだよな？」

春日虎綱「はい。」

私（村上義清）「それならば海からの物資の流入を防ぐ事は難しいが、三好が野田、福島から出れぬよう封じ込めながら池田城同様内部の切り崩しを謀れば、相手が勝手に壊れていくものと思うのであるが。どうだろうか？」

春日虎綱「その通りであります。」

私（村上義清）「その事を知った上で気になる事とは何である？」

春日虎綱「三好が今籠っています野田と福島。一時期三好方となっていました尼崎にはある共通した方々が生活の拠点としています。」

私（村上義清）「商業が発達していて……。」

真田幸隆「野田福島については周りを水で守られた洲に立地しています。」

春日虎綱「野田、福島の川向うには……。」

私（村上義清）「……あぁ。そう言う事か……。門徒が経済活動の場として活用しているのか……。」

春日虎綱「はい。」

私（村上義清）「その一向宗と信長の関係は？」

春日虎綱「事案を申し上げて行った方がわかりやすいでしょうか……。」

私（村上義清）「頼む。」

春日虎綱「信長が将軍様を連れて上洛した際、信長は本願寺に対し５０００貫文の献金を要求しています。」



　今の価値に換算して６億円。



春日虎綱「その時、本願寺は信長の要求に応じています。」

私（村上義清）「すぐ出せる方も凄いな……。」

真田幸隆「相手の資産がわかっているのでしょう。信長がうちに要求しないのはそれもあるのですよ。ですので、間違っても儲かっていると言ってはいけませんよ。」

私（村上義清）「……わかった。」

春日虎綱「信長は前年。尼崎に対しても同様の要求をしています。その尼崎には大物道場があります。それだけ一向宗の影響力の大きな場所であります。そこで何が発生したでしょう？軍事衝突であります。幸い大事には至らず。今は信長方に転じました別所が当地を押さえています。しかし同じく門徒が多い野田、福島には未だ三好が立て籠もっています。このまま素直に三好が引き下がれば良いのでありますが……。」