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勘違い

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真田幸隆「動いたのはどちらだ?」

春日虎綱「朝倉と浅井であります。」

真田幸隆「どのような動きだ?」

春日虎綱「大依山の陣を引き払い下山しました。」

真田幸隆「信長に向かって突進して来たのか?」

春日虎綱「いえ。改めて山の麓に兵を集めたそうであります。」

真田幸隆「その動きを信長は把握していたのか?」

春日虎綱「お互い見える位置に陣を構えていましたので。」

真田幸隆「急いでいる様子は?」

春日虎綱「見られなかった模様であります。」

真田幸隆「この動きに対し信長はどのように差配した?」

春日虎綱「家康曰く、『信長は朝倉と浅井が撤退に向けた準備を始めた。』と判断したとの事であります。」

私(村上義清)「と言う事は、横山城を囲っている他の部隊に対し何も指示を出さなかった?」

春日虎綱「はい。今の任務を続けるよう下知したとの事であります。」

真田幸隆「それが家康の『酷い目に遭った。』日の事になるのか?」

春日虎綱「いえ。その日はこれ以外動きはありませんでした。織田側に関しましては……。」

私(村上義清)「と言う事は?」

春日虎綱「夜になりまして朝倉と浅井両軍勢に動きがありました。ただ信長がこの動きを掴んだのは翌日未明の事でありました。」

私(村上義清)「目を離していたのか?」

春日虎綱「いえ。信長の下には朝倉、浅井の情報はもたらされていました。ただそれらの報告を聞いても信長は『撤退するもの。』と判断していた模様であります。」

私(村上義清)「しかし実際は異なる動きをしていた?」

春日虎綱「はい。朝倉と浅井の軍勢は山麓に集めた軍勢を南に展開し、姉川のすぐ北に布陣しました。川を渡ったすぐ先にあるのが信長の本陣であります。この位置にまで朝倉と浅井が兵を動かしたとなれば彼らの目的は1つしかありません。そうです。信長との決戦であります。朝倉、浅井の軍勢2万に対し信長の本陣に居るのは家康の兵を入れても1万しかありません。信長の背後には横山城があります。囲まれては居ますが、こと信長本陣だけを見た場合不利な情勢にあるのは信長の側であります。この状況になって初めて信長は、自身の判断が間違っていた事に気付きました。」

真田幸隆「その場所には当然。」

春日虎綱「はい。徳川家康が居ました。敦賀と同じ境遇に置かれる事になりました。ただ前回と異なる点があります。」

私(村上義清)「前回と違う点?」

春日虎綱「はい。これがあったから家康は酷い目に遭いながらも勝利を収める事が出来たのであります。」



 それはいったい?
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