上 下
387 / 625

仲違い

しおりを挟む
 織田信長緊急帰国の発端になったであろう京と、今信長が居る美濃の様子を探った春日虎綱。そこで得た情報は……。



春日虎綱「申し上げます。織田信長はどうやら将軍様と喧嘩した模様であります。」

私(村上義清)「仲良かったよな。あいつら……。」



 これより半年前。三好らに攻められても守る事が出来るよう突貫工事で建設した二条御所に将軍足利義昭が移動したのを確認した織田信長が美濃に戻る際、涙を流しながら感謝したばかりでなく。信長の姿が見えなくなるまで見送った足利義昭。それだけ両者の関係は良好かつ強固な物であると見られていたのでありましたが……。



真田幸隆「(織田信長は)天皇様の所に行く前に、一度将軍様と会っていたんだろう?」

春日虎綱「はい。信長が上洛して最初に尋ねたのは将軍様の所でありました。」

私(村上義清)「その時は問題無かったのか?」

春日虎綱「もし問題がありましたら、信長の性格でありますので……。」

私(村上義清)「その場で帰っていた?」

春日虎綱「そうなっていたと思われます。」

真田幸隆「上機嫌で将軍様に会って有頂天になって天皇様に会った後、『さて京の様子はどうであろうか?』と在京の家臣の報告を聞いている内に我慢ならない事案を見つけてしまった。そんなところであろうか?」

春日虎綱「仰る通りでありました。」

真田幸隆「信長を通さずに。もしくは信長の名前を利用してやりたい事をしていたのがバレたのであろう。」

春日虎綱「はい。信長からすれば、将軍様の身の安全を確保するべく突貫工事で御所を要塞化したり、天皇様の威厳を保つべく禁裏の修理のため瓦4万枚を葺き変えたり、生活に困らないようするための支援制度を設けるなど全て自腹で賄って来た。それだけ大事に考えているにもかかわらず、将軍様は信長の気持ちを踏みにじる行為を働いてしまったそうであります。」

真田幸隆「具体的には?」

春日虎綱「将軍様が信長の了承無しに単独で決済を行っていた事であります。」

私(村上義清)「しかし信長は京に居なかったのだろう?」

春日虎綱「はい。」

私(村上義清)「しかも将軍の了承の下、行われた伊勢攻略の準備に追われていたのであろう?」

春日虎綱「確かに。」

私(村上義清)「緊急の案件があったら義昭自らで決めなければならない事も出て来るであろう?」

春日虎綱「仕方の無い事情もあるかと思われます。」

私(村上義清)「そこで下された裁定について信長が気に入らなかった?」

春日虎綱「問題はそこではありません。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。

彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。 父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。 わー、凄いテンプレ展開ですね! ふふふ、私はこの時を待っていた! いざ行かん、正義の旅へ! え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。 でも……美味しいは正義、ですよね? 2021/02/19 第一部完結 2021/02/21 第二部連載開始 2021/05/05 第二部完結

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

強制力がなくなった世界に残されたものは

りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った 令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達 世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか その世界を狂わせたものは

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

【完結】陛下、花園のために私と離縁なさるのですね?

ファンタジー
ルスダン王国の王、ギルバートは今日も執務を妻である王妃に押し付け後宮へと足繁く通う。ご自慢の後宮には3人の側室がいてギルバートは美しくて愛らしい彼女たちにのめり込んでいった。 世継ぎとなる子供たちも生まれ、あとは彼女たちと後宮でのんびり過ごそう。だがある日うるさい妻は後宮を取り壊すと言い出した。ならばいっそ、お前がいなくなれば……。 ざまぁ必須、微ファンタジーです。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

処理中です...