旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

受諾

武田義信並びに北条氏康。徳川家康の要請を受諾。北から武田。東から北条がそれぞれ駿河へ侵入。この動きを見た徳川家康は酒井忠次を派遣。『大井川以西は徳川領』とする事を確認し、武田北条双方との同盟を締結。家康自ら兵を率い遠江に侵入。この動きに村上義清も……。



私（村上義清）「と言ってもな……。」



　村上義清に与えられた役割は、長篠から山を越えた先にある井伊谷の今川氏真方勢力を追い出すだけ。大義は村上領内で保護育成している井伊直親の遺児を戻すための地均しであり、自らの領土拡大のためでは無い。先の氏真による徳政令強要に伴い失墜した井伊直虎の地位を回復させる事を目的とした出兵でありました。



私（村上義清）「しかもさ……。」



　井伊谷において所領を安堵した直虎派の面々に課せられた条件。それは……。



私（村上義清）「家康の道案内なんだよね……。」



　彼らに導かれた徳川家康は、忽ちの内に浜名湖を席巻。一週間足らずで曳馬城に入城を果たしたのでありました。



春日虎綱「そこまで家康の手が回っている中、井伊谷に恩を売る事が出来ただけでも善しとしましょう。」

私（村上義清）「うちの役目はここまでだよな？」

春日虎綱「一応、北遠を任されてはおりますが、此度の家康との連携はこれまでであります。」

私（村上義清）「天竜川から東の事は関わらなくても良いんだよな？」

春日虎綱「はい。」

私（村上義清）「じっくり北遠に狙いを定めておけば問題無いんだよな？」

春日虎綱「勿論であります。」



　徳川家康は天竜川越えを狙うため、本拠地に三河には戻らず遠江で年越し。そんなある日……。



私（村上義清）「家康から抗議の手紙が届いたのだが……。」

春日虎綱「どのような内容でありますか？」

私（村上義清）「『天竜川の東。見付付近で勧誘をしている者が居る。』と……。」

春日虎綱「『お前（村上義清）では無いのか？』とでも言っているのでありますか？」

私（村上義清）「そうだ。」

春日虎綱「北遠ですら取ることが出来ていないのでありますし、井伊谷からも兵を退いております。その井伊谷も家康の道案内した者共に任せています。うちが見付に辿り着く事は出来ません。」

私（村上義清）「家康も『そうですよね。』の返事が届いている。」

春日虎綱「なによりであります。」



　新たな根拠地と目論んでいる見付での不穏な動きを見た徳川家康は、急ぎ天竜川沿いの要衝の１つで、城主松井宗恒が徹底抗戦の構えを見せる二俣城の攻略を目指し出兵。城の対岸に辿り着いた徳川軍の目に飛び込んで来たものは……。