旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

気になる

私（村上義清）「少し気になるところがあるのだけど……。」

真田幸隆「何でしょうか？」

私（村上義清）「沼田までの道のりをあっさり俺に明け渡すのがさ……。」

真田幸隆「輝虎の事ですか？」

私（村上義清）「それもあるのだが、それ以上に……。」

真田幸隆「何でしょうか？」

私（村上義清）「今回の工作はお前がやった事だろ？」

真田幸隆「はい。」

私（村上義清）「事後報告とは言えな。」

真田幸隆「申し訳御座いません。」

私（村上義清）「でもお前の手柄だよな？」

真田幸隆「ありがとうございます。」

私（村上義清）「お前の本拠地の北の安全を確保するためにも必要な場所にあるよな？」

真田幸隆「はい。」

私（村上義清）「本来であればお前自らが管理したいと思う場所だよな？」

真田幸隆「否定はしません。」

私（村上義清）「それを何故何もしていない俺に渡す事にしたんだ？」

真田幸隆「一言で言えば抑止のためであります。」

私（村上義清）「それなら別にお前の管轄にしても構わないだろう。京の連中とは違い、武田や北条はお前が俺の家臣である事を知っているのだから。」

真田幸隆「勿論そうなのではありますが、殿は今。前線となる場所は御座いません。織田徳川それに斎藤は春日が。今川は四郎。飛騨は木曾。そして武田は私が受け持っております。殿も上杉と境を為してはいますが、上杉とは同盟関係にあります。現状、吾妻渓谷の東（沼田）も上杉領でありますが、今後彼の地は係争の舞台に発展する危険性を孕んでいます。その相手となるのが武田と北条。彼らの目的は関東から輝虎を完全に排除する事であります。そのためにも沼田は是が非でも手に入れたい場所でありますし、同じことは輝虎にも言える事であります。どちらも妥協出来る場所ではありません。」

私（村上義清）「でも何かあったらいつでも動く事が出来る態勢を整えているのだから、別にお前でも構わないと思うが。」

真田幸隆「それではいけません。」

私（村上義清）「何でだ？」

真田幸隆「少なくとも義信は私の事を『あいつは妥協する奴だ。』と思われているからであります。武田の上野侵攻を黙認したと言う実績がありますので。仮に私が沼田のすぐ隣にまで勢力を拡大したところで、彼らの動きを止めることは出来ません。あくまで今回の目的は沼田をいくさの場にしない事であります。」

私（村上義清）「そのためにも俺が立つ唯一の最前線の場所にしたい。と言う事か？」

真田幸隆「はい。」

私（村上義清）「……それだけか？」

真田幸隆「如何なされました？」

私（村上義清）「何か隠していないか？」

真田幸隆「他意はありません。」

私（村上義清）「行ってからわかるのは辛いから、今の内に教えてくれ。」

真田幸隆「それでしたら……。」