306 / 625
占拠
しおりを挟む
牛久保を巡る争いが膠着状態に陥った松平家康に、家臣からの外征を求める要望への対処を模索する飯富虎昌。三河における松平家康への対応に奔走する今川家臣で掛川城主の朝比奈泰朝に、天竜川水系及び天竜川以西の制御に四苦八苦する今川氏真。その遠江が隙だらけなのはわかっているけれども手を出すには場所が悪過ぎる村上義清と、いつ弾けてもおかしくない均衡が保たれている東海道情勢。そんな中、関東と美濃で動きが……。
真田幸隆「北条氏康が岩付城を手に入れました。」
私(村上義清)「城攻めをしていた形跡は無いと聞いていたが如何した?」
真田幸隆「はい。どうやら(岩付城城主の)太田資正が城から追い出された模様であります。」
太田資正は房総半島に勢力を誇る里見義堯と手を結び下総の国府台で北条氏康と戦うも敗れ岩付城に帰還。その後、再び北条と戦うべく里見義堯のもとを訪れていたところに事件が発生。実の子である太田氏資が岩付城を占拠すると共に上杉方のものを幽閉ないし追放。北条方へ転身したのでありました。因みに太田氏資の妻は北条氏康の娘。
私(村上義清)「となると武蔵はほぼ全てが北条方になったと言うことか?」
真田幸隆「御意。」
私(村上義清)「ところで太田資正の消息はわかるか?」
真田幸隆「はい。娘婿の成田氏長のもとに身を寄せ、上野の横瀬成繁を通じ厩橋の北条高広並びに越後の輝虎に支援を要請している模様であります。」
私(村上義清)「輝虎はどうしている?」
真田幸隆「越後に居ます。」
私(村上義清)「上野に入る様子は見られるか?」
真田幸隆「そのことなのでありますが……。」
私(村上義清)「何だ?申してみよ。」
真田幸隆「会津の蘆名盛氏が越後に乱入していまして、その対応に追われております。」
私(村上義清)「情勢は?」
真田幸隆「上杉方優位に進んでいます。しかし本国越後がこのような状況でありますので、輝虎自らが兵を率い上野に入ることは難しいと思われます。」
私(村上義清)「既に相手方となった。それも川向こうの武蔵にある城をとなると、北条高広の力だけでは……。」
真田幸隆「ゴリゴリの上杉方でありました資正の。実の息子が北条方に転進したとなりますと、北条の手が相当のところまで回っている恐れがあります。もしかしますと今資正が居る成田氏長のところにも……。」
私(村上義清)「国を越えて横瀬のところにも及んでいるかもしれない。」
真田幸隆「迂闊に動くことは出来ません。」
私(村上義清)「しかし何故蘆名が越後に兵を出したのだ?交易で問題でも生じたのか?」
真田幸隆「そのことでありますが……。」
真田幸隆「北条氏康が岩付城を手に入れました。」
私(村上義清)「城攻めをしていた形跡は無いと聞いていたが如何した?」
真田幸隆「はい。どうやら(岩付城城主の)太田資正が城から追い出された模様であります。」
太田資正は房総半島に勢力を誇る里見義堯と手を結び下総の国府台で北条氏康と戦うも敗れ岩付城に帰還。その後、再び北条と戦うべく里見義堯のもとを訪れていたところに事件が発生。実の子である太田氏資が岩付城を占拠すると共に上杉方のものを幽閉ないし追放。北条方へ転身したのでありました。因みに太田氏資の妻は北条氏康の娘。
私(村上義清)「となると武蔵はほぼ全てが北条方になったと言うことか?」
真田幸隆「御意。」
私(村上義清)「ところで太田資正の消息はわかるか?」
真田幸隆「はい。娘婿の成田氏長のもとに身を寄せ、上野の横瀬成繁を通じ厩橋の北条高広並びに越後の輝虎に支援を要請している模様であります。」
私(村上義清)「輝虎はどうしている?」
真田幸隆「越後に居ます。」
私(村上義清)「上野に入る様子は見られるか?」
真田幸隆「そのことなのでありますが……。」
私(村上義清)「何だ?申してみよ。」
真田幸隆「会津の蘆名盛氏が越後に乱入していまして、その対応に追われております。」
私(村上義清)「情勢は?」
真田幸隆「上杉方優位に進んでいます。しかし本国越後がこのような状況でありますので、輝虎自らが兵を率い上野に入ることは難しいと思われます。」
私(村上義清)「既に相手方となった。それも川向こうの武蔵にある城をとなると、北条高広の力だけでは……。」
真田幸隆「ゴリゴリの上杉方でありました資正の。実の息子が北条方に転進したとなりますと、北条の手が相当のところまで回っている恐れがあります。もしかしますと今資正が居る成田氏長のところにも……。」
私(村上義清)「国を越えて横瀬のところにも及んでいるかもしれない。」
真田幸隆「迂闊に動くことは出来ません。」
私(村上義清)「しかし何故蘆名が越後に兵を出したのだ?交易で問題でも生じたのか?」
真田幸隆「そのことでありますが……。」
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
超文明日本
点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。
そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。
異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?
俣彦
ファンタジー
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になった私。
武田家の当主として歴史を覆すべく、父信玄時代の同僚と共に生き残りを図る物語。
大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください
スーパー忍者・タカシの大冒険
Selfish
ファンタジー
時は現代。ある日、タカシはいつものように学校から帰る途中、目に見えない奇妙な光に包まれた。そして、彼の手の中に一通の封筒が現れる。それは、赤い文字で「スーパー忍者・タカシ様へ」と書かれたものだった。タカシはその手紙を開けると、そこに書かれた内容はこうだった。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる