272 / 625
境目
しおりを挟む
私(村上義清)「(木曾義康との話の中で気になったことがあった。それは……『領地を脅かされることの無い現状に何も不満はございません。』の言葉。義康にとって我らは侵略者。本来であれば俺なんぞに頭を下げたくは無いと思っているハズである。実際そうであると思う。ただそれでも彼が私に頭を垂れている理由はただ1つ。『うちの傘下に収まることにより自分の身を自分のお金と労力使って守る必要が無くなった上、利益を増やすことが出来るから。』それのみである。これは仁科にも言えること。ただ仁科と木曾との間で異なることが1つある。仁科は自らの権益に隣接する全て勢力(村上、上杉)と良好な関係を築くことが出来ているのに対し、木曾はそうでは無いと言うこと。それも物資の輸送に欠かすことの出来ない京への道筋が不安定になってしまっている。この問題を解決しなければならないのは義康の主君である私。村上義清。もし解決することが出来なかった場合、義康は確実に私の元を離れることになる。人質など関係ない。故に私は人質を徴収してはいない。勿論深志に呼び寄せることはしている。相手から見れば人質以外の何ものでもないのかもしれないが、そうではない。深志で育てられた方が得となるよう取り組んでいる。尤もその教育の大半は旧小笠原の家臣に委ねているのではあるのだが。)」
私(村上義清)「(仮に木曾義康が離反したとしよう。木曾が離れると言うことは美濃ないし尾張から攻め込まれたことを意味する。その次に標的されることになるのは南信濃。今は虎綱に保科。そして四郎が管轄しているため『即離反』とはならないと思う。自信は無いが……。もし彼らが居なかった場合、各国人が新たな境目の衆として美濃や尾張の勢力と相対さなければならなくなった場合。果たして彼らは村上のために戦ってくれるのだろうか……。それは無理な注文であろう。境目であった木曾。常に敵と対峙していた木曾。南信濃の各国人衆よりもいくさへの。それも外敵から守るための備えを怠っていなかった木曾が寝返らなければならなくなってしまった。そのような強大な相手を南信濃の国人が自力で防ぐことなど出来ハズは無い。なぜならそのような備えを彼らがする必要は無かったのであるから。自分たちの権益の外で処理されるに決まっているのだから。故に専守防衛の観念は通用しない。何故なら領内でのいくさは彼らを不安にさせるだけなのであるから。我らの勢力圏の外で処理しなければならない。今、信長は美濃の岩村を狙っている。)」
私(村上義清)「(仮に木曾義康が離反したとしよう。木曾が離れると言うことは美濃ないし尾張から攻め込まれたことを意味する。その次に標的されることになるのは南信濃。今は虎綱に保科。そして四郎が管轄しているため『即離反』とはならないと思う。自信は無いが……。もし彼らが居なかった場合、各国人が新たな境目の衆として美濃や尾張の勢力と相対さなければならなくなった場合。果たして彼らは村上のために戦ってくれるのだろうか……。それは無理な注文であろう。境目であった木曾。常に敵と対峙していた木曾。南信濃の各国人衆よりもいくさへの。それも外敵から守るための備えを怠っていなかった木曾が寝返らなければならなくなってしまった。そのような強大な相手を南信濃の国人が自力で防ぐことなど出来ハズは無い。なぜならそのような備えを彼らがする必要は無かったのであるから。自分たちの権益の外で処理されるに決まっているのだから。故に専守防衛の観念は通用しない。何故なら領内でのいくさは彼らを不安にさせるだけなのであるから。我らの勢力圏の外で処理しなければならない。今、信長は美濃の岩村を狙っている。)」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
婚約破棄?貴方程度がわたくしと結婚出来ると本気で思ったの?
三条桜子
恋愛
王都に久しぶりにやって来た。楽しみにしていた舞踏会で突如、婚約破棄を突きつけられた。腕に女性を抱いてる。ん?その子、誰?わたくしがいじめたですって?わたくしなら、そんな平民殺しちゃうわ。ふふふ。ねえ?本気で貴方程度がわたくしと結婚出来ると思っていたの?可笑しい! ◎短いお話。文字数も少なく読みやすいかと思います。全6話。
イラスト/ノーコピーライトガール
強制力がなくなった世界に残されたものは
りりん
ファンタジー
一人の令嬢が処刑によってこの世を去った
令嬢を虐げていた者達、処刑に狂喜乱舞した者達、そして最愛の娘であったはずの令嬢を冷たく切り捨てた家族達
世界の強制力が解けたその瞬間、その世界はどうなるのか
その世界を狂わせたものは
平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
転生騎士団長の歩き方
Akila
ファンタジー
【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】
たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。
【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。
【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?
※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる