203 / 625
大雪
しおりを挟む
関東情勢に話を戻します。
私(村上義清)「越中の処理を終えたのは良いのだけど……。」
真田幸隆「何か気になることでも?」
私(村上義清)「今年、雪早いからな……。それにもう12月だろう?」
上越国境は今も昔も豪雪地帯。
真田幸隆「そうですね。この時期に輝虎が兵を動かしたことはありませんね。」
輝虎の関東出兵は、1552年は6月。1560年は9月。
私(村上義清)「去年は関白からの急な要請があっての出陣であったが、それでも11月だったからな……。」
真田幸隆「それを見越して、氏康は松山城を包囲したものと思われます。」
私(村上義清)「義信もそれを狙って神保を動かした?」
真田幸隆「それもありますが、それ以上に関白様が京へ戻られたことが影響していると思われます。」
私(村上義清)「そうだな。7月に(輝虎と神保が)和睦した直後の9月だったからな……。」
真田幸隆「流石の一向宗も支援が間に合わなかったでしょうし、長職も戦略を練る間も無かったと思われます。」
私(村上義清)「とりあえず動いてみたってこと?」
真田幸隆「どちらかと言いますと、輝虎が関東に入ることが出来ないよう、輝虎が越後に居る間。それも関東に兵を出す準備が整っていない状況のこの時期(9月)に義信が長職を動かしたと思われます。もし私が長職の立場でしたら……。」
私(村上義清)「輝虎が関東に入り、かつ上越国境が雪で閉ざされてから兵を動かすことになるよな。」
真田幸隆「左様に御座います。」
私(村上義清)「しかしどうするかね?」
真田幸隆「何がですか?」
私(村上義清)「いや輝虎は関東に入るのだろうか?と……。」
真田幸隆「彼の性格が性格でありますから、無理してでも峠を越えるでしょう。」
当時は鉄道も無ければ自動車も無い時代。移動手段は馬に跨るか徒歩。
私(村上義清)「あれだけ雪が降る地域だから、冬のこの時期に越後を攻められる心配が無いとは言えさ。道中で遭難する危険もあるわけであるし、『越後が雪に閉ざされる』と言うことは越後から関東に補給することが出来なくなるわけだからな。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「上野は一応上杉の勢力圏であるとは言え、武田と北条に狙われている場所。」
真田幸隆「その武田北条に接する(かつて山内上杉憲政が頼みにしていた)長野家も盤石ではありません。豊かな上野ではありますが、輝虎の大兵を留まらせるには心許ないところはございます。」
私(村上義清)「下手すると兵糧攻めに遭う危険性も伴っているのか……。」
私(村上義清)「越中の処理を終えたのは良いのだけど……。」
真田幸隆「何か気になることでも?」
私(村上義清)「今年、雪早いからな……。それにもう12月だろう?」
上越国境は今も昔も豪雪地帯。
真田幸隆「そうですね。この時期に輝虎が兵を動かしたことはありませんね。」
輝虎の関東出兵は、1552年は6月。1560年は9月。
私(村上義清)「去年は関白からの急な要請があっての出陣であったが、それでも11月だったからな……。」
真田幸隆「それを見越して、氏康は松山城を包囲したものと思われます。」
私(村上義清)「義信もそれを狙って神保を動かした?」
真田幸隆「それもありますが、それ以上に関白様が京へ戻られたことが影響していると思われます。」
私(村上義清)「そうだな。7月に(輝虎と神保が)和睦した直後の9月だったからな……。」
真田幸隆「流石の一向宗も支援が間に合わなかったでしょうし、長職も戦略を練る間も無かったと思われます。」
私(村上義清)「とりあえず動いてみたってこと?」
真田幸隆「どちらかと言いますと、輝虎が関東に入ることが出来ないよう、輝虎が越後に居る間。それも関東に兵を出す準備が整っていない状況のこの時期(9月)に義信が長職を動かしたと思われます。もし私が長職の立場でしたら……。」
私(村上義清)「輝虎が関東に入り、かつ上越国境が雪で閉ざされてから兵を動かすことになるよな。」
真田幸隆「左様に御座います。」
私(村上義清)「しかしどうするかね?」
真田幸隆「何がですか?」
私(村上義清)「いや輝虎は関東に入るのだろうか?と……。」
真田幸隆「彼の性格が性格でありますから、無理してでも峠を越えるでしょう。」
当時は鉄道も無ければ自動車も無い時代。移動手段は馬に跨るか徒歩。
私(村上義清)「あれだけ雪が降る地域だから、冬のこの時期に越後を攻められる心配が無いとは言えさ。道中で遭難する危険もあるわけであるし、『越後が雪に閉ざされる』と言うことは越後から関東に補給することが出来なくなるわけだからな。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「上野は一応上杉の勢力圏であるとは言え、武田と北条に狙われている場所。」
真田幸隆「その武田北条に接する(かつて山内上杉憲政が頼みにしていた)長野家も盤石ではありません。豊かな上野ではありますが、輝虎の大兵を留まらせるには心許ないところはございます。」
私(村上義清)「下手すると兵糧攻めに遭う危険性も伴っているのか……。」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
殿下から婚約破棄されたけど痛くも痒くもなかった令嬢の話
ルジェ*
ファンタジー
婚約者である第二王子レオナルドの卒業記念パーティーで突然婚約破棄を突きつけられたレティシア・デ・シルエラ。同様に婚約破棄を告げられるレオナルドの側近達の婚約者達。皆唖然とする中、レオナルドは彼の隣に立つ平民ながらも稀有な魔法属性を持つセシリア・ビオレータにその場でプロポーズしてしまうが───
「は?ふざけんなよ。」
これは不運な彼女達が、レオナルド達に逆転勝利するお話。
********
「冒険がしたいので殿下とは結婚しません!」の元になった物です。メモの中で眠っていたのを見つけたのでこれも投稿します。R15は保険です。プロトタイプなので深掘りとか全くなくゆるゆる設定で雑に進んで行きます。ほぼ書きたいところだけ書いたような状態です。細かいことは気にしない方は宜しければ覗いてみてやってください!
*2023/11/22 ファンタジー1位…⁉︎皆様ありがとうございます!!
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
【完結】彼女以外、みんな思い出す。
❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。
幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。
晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]
ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。
「さようなら、私が産まれた国。
私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」
リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる──
◇婚約破棄の“後”の話です。
◇転生チート。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇なろうにも上げてます。
◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^
◇なので感想欄閉じます(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる