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伝令
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いくさが想定とは異なる塩尻峠で始まったことに困惑する高遠頼継の陣に村上義清からの伝令が。
伝令「申し上げます。此度のいくさ。殿自らの手で小笠原長時を討ち果たすとのお達しあり。故に手出しは無用であります。」
『村上に出し抜かれた!!』と後悔するも、塩尻峠を眺めてみると自陣の目の前で小笠原長時と村上義清がいくさをしている。しかも村上義清が背を向けた状態で。よくよく目を凝らしてみると、小笠原長時と戦っているのは伝令の言う通り村上義清本隊のみ。諏訪や真田の衆は見当たらない。これを見た高遠頼継は村上義清からの伝令を無視。塩尻峠へ向け兵を動かすのでありました。
再び少し前の上原城。
私(村上義清)「1つ気になることが。」
真田幸隆「なんでしょうか。」
私(村上義清)「俺からの軍令を無視。もしくは届く前に頼継が兵を動かしたとしよう。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「兵を動かす以上、俺か小笠原かに付くことになると思うのだが。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「どちらに襲い掛かるにせよ。通る道は同じだよな。」
真田幸隆「そうなりますね。」
私(村上義清)「どうやって見分けるの。」
戻って塩尻峠へ向け一目散に兵を動かす高遠頼継。しばらく進み、村上小笠原両陣営の様子がハッキリとし始めたその時、1つの部隊が頼継の進軍を塞ぐ形で現れたのでありました。そこで……。
春日虎綱「此度のいくさは殿自らが小笠原長時を討ち果たす決意である!手出しは無用!!」
春日虎綱による大音声。これに対し、高遠頼継は緩めることなく進軍。
春日虎綱「高遠殿の忠節!この虎綱。しかと見届け申した!!故に兵を収めよ!!!」
しかし頼継は兵を止める気配はない。
春日虎綱「これが最後である!兵を収めよ!!収めねば裏切りとみなし攻撃する!!!」
最後通牒を突き付ける春日虎綱。しかし頼継は虎綱率いる隊目掛け突進。みるみるその距離を縮め。100mを切ろうかとなったその時。
「放て!!」
窪みに隠れていた種子島の部隊が立ち上がるや否や、春日虎綱号令のもと。高遠頼継の部隊目掛け一斉射撃を浴びせるのでありました。
その頃塩尻峠。
保科正俊「始まりましたな。」
私(村上義清)「そなたの言う通りであったか……。」
保科正俊「残念ながら。」
私(村上義清)「それで良かったのか……。」
保科正俊「私は武人故。仕事のあるところで働くだけであります。」
私(村上義清)「(……そうかぁ……?)」
保科正俊「それはそうと殿。目の前の敵は混乱しているとは言え、地の利は向こう(小笠原長時)にあります。加えて頼継の加勢を見て勇気づけられていることと思われます。油断ならさず。」
伝令「申し上げます。此度のいくさ。殿自らの手で小笠原長時を討ち果たすとのお達しあり。故に手出しは無用であります。」
『村上に出し抜かれた!!』と後悔するも、塩尻峠を眺めてみると自陣の目の前で小笠原長時と村上義清がいくさをしている。しかも村上義清が背を向けた状態で。よくよく目を凝らしてみると、小笠原長時と戦っているのは伝令の言う通り村上義清本隊のみ。諏訪や真田の衆は見当たらない。これを見た高遠頼継は村上義清からの伝令を無視。塩尻峠へ向け兵を動かすのでありました。
再び少し前の上原城。
私(村上義清)「1つ気になることが。」
真田幸隆「なんでしょうか。」
私(村上義清)「俺からの軍令を無視。もしくは届く前に頼継が兵を動かしたとしよう。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「兵を動かす以上、俺か小笠原かに付くことになると思うのだが。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「どちらに襲い掛かるにせよ。通る道は同じだよな。」
真田幸隆「そうなりますね。」
私(村上義清)「どうやって見分けるの。」
戻って塩尻峠へ向け一目散に兵を動かす高遠頼継。しばらく進み、村上小笠原両陣営の様子がハッキリとし始めたその時、1つの部隊が頼継の進軍を塞ぐ形で現れたのでありました。そこで……。
春日虎綱「此度のいくさは殿自らが小笠原長時を討ち果たす決意である!手出しは無用!!」
春日虎綱による大音声。これに対し、高遠頼継は緩めることなく進軍。
春日虎綱「高遠殿の忠節!この虎綱。しかと見届け申した!!故に兵を収めよ!!!」
しかし頼継は兵を止める気配はない。
春日虎綱「これが最後である!兵を収めよ!!収めねば裏切りとみなし攻撃する!!!」
最後通牒を突き付ける春日虎綱。しかし頼継は虎綱率いる隊目掛け突進。みるみるその距離を縮め。100mを切ろうかとなったその時。
「放て!!」
窪みに隠れていた種子島の部隊が立ち上がるや否や、春日虎綱号令のもと。高遠頼継の部隊目掛け一斉射撃を浴びせるのでありました。
その頃塩尻峠。
保科正俊「始まりましたな。」
私(村上義清)「そなたの言う通りであったか……。」
保科正俊「残念ながら。」
私(村上義清)「それで良かったのか……。」
保科正俊「私は武人故。仕事のあるところで働くだけであります。」
私(村上義清)「(……そうかぁ……?)」
保科正俊「それはそうと殿。目の前の敵は混乱しているとは言え、地の利は向こう(小笠原長時)にあります。加えて頼継の加勢を見て勇気づけられていることと思われます。油断ならさず。」
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