旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

誰も

私（村上義清）「何を試すのだ。」

真田幸隆「義元に『一緒に信濃を取りませんか？』と……。」

私（村上義清）「義元の志向と米作を基盤に置く三河の国人たちのことを考えた場合、東海道筋から離れた信濃は眼中にないであろう。」

真田幸隆「とりあえず問い合わせだけでも。」

私（村上義清）「……わかった。」



　今川義元より回答有り。簡単にまとめると『勝手にせよ。』とのこと。



私（村上義清）「まぁそうだろうなぁ。」

真田幸隆「その答えをいただければ十分であります。」

私（村上義清）「どういうこと？」

真田幸隆「殿。」

私（村上義清）「どうした。」

真田幸隆「高遠（頼継）を攻め取りましょう。」

私（村上義清）「ほか（の諏訪）の連中が黙っていないぞ。」



　高遠頼継は諏訪の一族。



真田幸隆「ほかは実質小笠原の傘下に収まっています。その小笠原と殿との関係が良好であること。加えて諏訪の本家は殿の管轄内であります故、簡単に手を出すことは出来ませぬ。仮に出て来るのでありましたら返り討ちにするまでであります。」

私（村上義清）「確かに。……そうだな。高遠なぁ……。」



　高遠頼継は村上義清が武田晴信を破る３年前。武田晴信に攻められ本拠地である高遠城が陥落。以後、武田の支配するところとなっていました。



私（村上義清）「たまたま晴信が亡くなり、武田が放棄したから今も高遠が治めているのではあるが……。」



　一度は武田に従ったものたちが、戻って来た高遠に従うわけもなく。



真田幸隆「各々が好き勝手にやっているのが実情であります。」

私（村上義清）「もしかして何か仕掛けている？」

真田幸隆「知り合いが多いですからね。」



　真田幸隆は諏訪方面で活動していた武田家重臣板垣信方の元家臣。



真田幸隆「高遠内の国人らは今。好き勝手やっているとは言え、独力で体制を維持出来る力を持っているわけではありません。某か保障してくれる大きな勢力の庇護を求めています。ただそれを行う勢力が存在しません。とりあえず居る元の上司である高遠に頭を下げているだけのこと。」

私（村上義清）「もし義元が信濃を志向していたら。」

真田幸隆「こちらに出る幕は無かったことでありましょう。」

私（村上義清）「奥三河の諸将に義元のお墨付きを与えることは？」

真田幸隆「それよりも尾張でしょう。むしろ彼ら（奥三河の国人）も豊かな土地を求めているでしょうから。」

私（村上義清）「南信濃は平らな場所が少ないからな……。でもさ……。」

真田幸隆「如何なされましたか。」

私（村上義清）「高遠は一時期武田が治めた場所だろう。」

真田幸隆「はい。」

私（村上義清）「諏訪もそうだよな。」

真田幸隆「確かに。」

私（村上義清）「仮に高遠を奪ったことにより武田を刺激することになったとしたら……。」

真田幸隆「そのことでしたらこちらに考えがございます。」