75 / 625
攻めようとしている
しおりを挟む
私(村上義清)「井上領にちょっかいを出し始めてから言うのもなんだけれども。」
真田幸隆「なんでしょうか。」
私(村上義清)「うちの物流拠点って……。」
真田幸隆「勿論殿の本拠地であります。」
私(村上義清)「使う道は。」
真田幸隆「千曲川を使って越後に出まして、そこから日本海を西に進んで京を目指します。」
私(村上義清)「だよね。」
真田幸隆「どうされましたか。」
私(村上義清)「今取ろうとしているところってさ……。」
千曲川の下流域。
真田幸隆「ええそうですが。」
私(村上義清)「川を封鎖される危険性が……。」
真田幸隆「何を今更。武田と戦う前は勢力争いをしていたでしょうに。」
先代の村上義清の話。
私(村上義清)「……確かに。でも今はさ。煙硝を手に入れるために使っているし、その煙硝を手に入れるための原資となる麻織物を運ぶ道でもある。それにここは……。」
内陸国信濃。
私(村上義清)「塩も煙硝同様自前では確保することは出来ぬ。」
真田幸隆「そうですね。でもそれでしたら仮に井上や高梨と仲違いしましたら同じ結果になるのではないかと。いつなんどき今の停戦が崩れるやもしれませぬ。現にこちらから切り崩しを図っているのでありますから。」
私(村上義清)「申し訳ない。愚問だった。」
真田幸隆「とは言え殿の心配もごもっとものことであります。ただ日本海へ出る道でありましたら千曲川ばかりではありませぬ。幸い殿は小笠原と同盟関係にあります。ここから姫川を使うことも出来ますし、殿の名前では駄目でありましても小笠原の名前でありましたら井上高梨領を通ることも出来ます。あとこれは陸路でありますが峠を越えて飛騨を経由して越中に出ることも可能であります。……そう考えますと小笠原の攻略を目指したほうが……。」
私(村上義清)「一応うちの国の守護。」
真田幸隆「本当にそう思っていましたか。」
信濃は室町時代。幕府による直接統治を望んでいたものが多数存在した国。
私(村上義清)「国持大名を相手にすることを考えれば……だけれでも、今小笠原と相対するとなると。」
信濃の秩序を乱す武田を破った英雄としての評価が消え失せることになってしまう。
私(村上義清)「まぁ今、千曲川を封鎖されても塩と生活物資の確保。麻織物の運搬に関しては、とりあえず問題は無い。と……。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「でも煙硝のほうはどうする。あれは秘密裏に運ばないことには……。」
真田幸隆「それにつきましては……。」
真田幸隆「なんでしょうか。」
私(村上義清)「うちの物流拠点って……。」
真田幸隆「勿論殿の本拠地であります。」
私(村上義清)「使う道は。」
真田幸隆「千曲川を使って越後に出まして、そこから日本海を西に進んで京を目指します。」
私(村上義清)「だよね。」
真田幸隆「どうされましたか。」
私(村上義清)「今取ろうとしているところってさ……。」
千曲川の下流域。
真田幸隆「ええそうですが。」
私(村上義清)「川を封鎖される危険性が……。」
真田幸隆「何を今更。武田と戦う前は勢力争いをしていたでしょうに。」
先代の村上義清の話。
私(村上義清)「……確かに。でも今はさ。煙硝を手に入れるために使っているし、その煙硝を手に入れるための原資となる麻織物を運ぶ道でもある。それにここは……。」
内陸国信濃。
私(村上義清)「塩も煙硝同様自前では確保することは出来ぬ。」
真田幸隆「そうですね。でもそれでしたら仮に井上や高梨と仲違いしましたら同じ結果になるのではないかと。いつなんどき今の停戦が崩れるやもしれませぬ。現にこちらから切り崩しを図っているのでありますから。」
私(村上義清)「申し訳ない。愚問だった。」
真田幸隆「とは言え殿の心配もごもっとものことであります。ただ日本海へ出る道でありましたら千曲川ばかりではありませぬ。幸い殿は小笠原と同盟関係にあります。ここから姫川を使うことも出来ますし、殿の名前では駄目でありましても小笠原の名前でありましたら井上高梨領を通ることも出来ます。あとこれは陸路でありますが峠を越えて飛騨を経由して越中に出ることも可能であります。……そう考えますと小笠原の攻略を目指したほうが……。」
私(村上義清)「一応うちの国の守護。」
真田幸隆「本当にそう思っていましたか。」
信濃は室町時代。幕府による直接統治を望んでいたものが多数存在した国。
私(村上義清)「国持大名を相手にすることを考えれば……だけれでも、今小笠原と相対するとなると。」
信濃の秩序を乱す武田を破った英雄としての評価が消え失せることになってしまう。
私(村上義清)「まぁ今、千曲川を封鎖されても塩と生活物資の確保。麻織物の運搬に関しては、とりあえず問題は無い。と……。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「でも煙硝のほうはどうする。あれは秘密裏に運ばないことには……。」
真田幸隆「それにつきましては……。」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
頭が花畑の女と言われたので、その通り花畑に住むことにしました。
音爽(ネソウ)
ファンタジー
見た目だけはユルフワ女子のハウラナ・ゼベール王女。
その容姿のせいで誤解され、男達には尻軽の都合の良い女と見られ、婦女子たちに嫌われていた。
16歳になったハウラナは大帝国ダネスゲート皇帝の末席側室として娶られた、体の良い人質だった。
後宮内で弱小国の王女は冷遇を受けるが……。
元悪役令嬢はオンボロ修道院で余生を過ごす
こうじ
ファンタジー
両親から妹に婚約者を譲れと言われたレスナー・ティアント。彼女は勝手な両親や裏切った婚約者、寝取った妹に嫌気がさし自ら修道院に入る事にした。研修期間を経て彼女は修道院に入る事になったのだが彼女が送られたのは廃墟寸前の修道院でしかも修道女はレスナー一人のみ。しかし、彼女にとっては好都合だった。『誰にも邪魔されずに好きな事が出来る!これって恵まれているんじゃ?』公爵令嬢から修道女になったレスナーののんびり修道院ライフが始まる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる