61 / 625
斡旋
しおりを挟む
「武田方より和睦の要請あり。」
との情報が村上義清のもとに。伝えた人物は……。
真田幸隆「山内上杉から来ましたか。」
私(村上義清)「武田から今川。今川から山内上杉を経由して。」
真田幸隆「今川としても晴信が居ないとなると北条のことが気になりますからね。ところで武田の代表者は誰に。」
私(村上義清)「晴信の嫡男になっている。」
真田幸隆「元服前の。」
私(村上義清)「そうだな。」
真田幸隆「後見人は誰ですか。」
私(村上義清)「飯富(虎昌)らしいな……。」
飯富虎昌は甲斐源氏の流れを汲む飯富氏の末裔で生まれは山梨県の身延。信虎時代から活躍するも、板垣甘利と共に晴信擁立に貢献。今は信濃の国佐久地方にある内山城の城主。
私(村上義清)「身延の生まれとなると。」
真田幸隆「今川との関係も強いことかと思われます。」
私(村上義清)「信濃への進出については。」
真田幸隆「どちらかと言えば消極的なほうかと。」
私(村上義清)「そうでなければ和議の斡旋など依頼しないか……。」
真田幸隆「ところでその内容は。」
私(村上義清)「晴信の亡骸並びに武田方捕虜の返還と諏訪、佐久の停戦となっている。」
真田幸隆「殿は如何なされますか。」
私(村上義清)「今川との繋がりが出来ると考えれば損ではないし、こちらもいくさを続けることは正直辛いところがある。ただこれでは一時的な停戦に過ぎない。」
真田幸隆「人質をとりますか。」
私(村上義清)「親を平気で追放することの出来る家だからな……。そうだな……。諏訪の子はまだ生きているのか?」
真田幸隆「晴信の子でありますか。」
私(村上義清)「いや。(諏訪)頼重のほうの子なんだが……。」
真田幸隆「私が板垣のもとに居た時は、まだ生きておりましたが。」
私(村上義清)「彼を迎え入れることは出来ないものか……。今、諏訪を抑えてはいるが如何せん大義名分がない。もし武田に諏訪を放棄する意思がある。頼重の子を諏訪に帰すのであれば、晴信の亡骸の返還に応じる。そうでなければこの和議は拒絶する。」
真田幸隆「独立させるのですか。」
私(村上義清)「いや。諏訪は落ち着いてはおらぬし、武田に近いものも多い。安全な葛尾で保護する。」
真田幸隆「佐久は如何致しましょう。」
私(村上義清)「志賀城(の戦い)前に戻すことが妥当な線と思っている。」
真田幸隆「殿は放棄するのでありますか。」
私(村上義清)「占領出来ていないからな。」
佐久領全体は武田の勢力圏。
私(村上義清)「信虎追放の混乱時。諏訪が抑えた南部は後見人の飯富虎昌の居城がある手前武田領。志賀城など北部は和議の仲介にあたった山内上杉が管轄すれば良いと思う。」
真田幸隆「志賀のものが帰還を求めていますが。」
私(村上義清)「武田に協力しているものが無傷で残っているところに戻っても良いことはないであろうし、直の部隊に編成したいと考えている。けっして悪いようにはせぬ。」
真田幸隆「武田の捕虜の扱いは。」
私(村上義清)「各人の考えに任せる。」
以上の返答を山内上杉から今川。そして武田へと通達。
「これで良いの?」
の反応が各所で巻き起こる中、停戦は成立。頼重の嫡男は葛尾へ。晴信の亡骸と武田の家臣は甲斐に戻り。いくさは終焉を迎えることになった。……と思われたのでありましたが……。
との情報が村上義清のもとに。伝えた人物は……。
真田幸隆「山内上杉から来ましたか。」
私(村上義清)「武田から今川。今川から山内上杉を経由して。」
真田幸隆「今川としても晴信が居ないとなると北条のことが気になりますからね。ところで武田の代表者は誰に。」
私(村上義清)「晴信の嫡男になっている。」
真田幸隆「元服前の。」
私(村上義清)「そうだな。」
真田幸隆「後見人は誰ですか。」
私(村上義清)「飯富(虎昌)らしいな……。」
飯富虎昌は甲斐源氏の流れを汲む飯富氏の末裔で生まれは山梨県の身延。信虎時代から活躍するも、板垣甘利と共に晴信擁立に貢献。今は信濃の国佐久地方にある内山城の城主。
私(村上義清)「身延の生まれとなると。」
真田幸隆「今川との関係も強いことかと思われます。」
私(村上義清)「信濃への進出については。」
真田幸隆「どちらかと言えば消極的なほうかと。」
私(村上義清)「そうでなければ和議の斡旋など依頼しないか……。」
真田幸隆「ところでその内容は。」
私(村上義清)「晴信の亡骸並びに武田方捕虜の返還と諏訪、佐久の停戦となっている。」
真田幸隆「殿は如何なされますか。」
私(村上義清)「今川との繋がりが出来ると考えれば損ではないし、こちらもいくさを続けることは正直辛いところがある。ただこれでは一時的な停戦に過ぎない。」
真田幸隆「人質をとりますか。」
私(村上義清)「親を平気で追放することの出来る家だからな……。そうだな……。諏訪の子はまだ生きているのか?」
真田幸隆「晴信の子でありますか。」
私(村上義清)「いや。(諏訪)頼重のほうの子なんだが……。」
真田幸隆「私が板垣のもとに居た時は、まだ生きておりましたが。」
私(村上義清)「彼を迎え入れることは出来ないものか……。今、諏訪を抑えてはいるが如何せん大義名分がない。もし武田に諏訪を放棄する意思がある。頼重の子を諏訪に帰すのであれば、晴信の亡骸の返還に応じる。そうでなければこの和議は拒絶する。」
真田幸隆「独立させるのですか。」
私(村上義清)「いや。諏訪は落ち着いてはおらぬし、武田に近いものも多い。安全な葛尾で保護する。」
真田幸隆「佐久は如何致しましょう。」
私(村上義清)「志賀城(の戦い)前に戻すことが妥当な線と思っている。」
真田幸隆「殿は放棄するのでありますか。」
私(村上義清)「占領出来ていないからな。」
佐久領全体は武田の勢力圏。
私(村上義清)「信虎追放の混乱時。諏訪が抑えた南部は後見人の飯富虎昌の居城がある手前武田領。志賀城など北部は和議の仲介にあたった山内上杉が管轄すれば良いと思う。」
真田幸隆「志賀のものが帰還を求めていますが。」
私(村上義清)「武田に協力しているものが無傷で残っているところに戻っても良いことはないであろうし、直の部隊に編成したいと考えている。けっして悪いようにはせぬ。」
真田幸隆「武田の捕虜の扱いは。」
私(村上義清)「各人の考えに任せる。」
以上の返答を山内上杉から今川。そして武田へと通達。
「これで良いの?」
の反応が各所で巻き起こる中、停戦は成立。頼重の嫡男は葛尾へ。晴信の亡骸と武田の家臣は甲斐に戻り。いくさは終焉を迎えることになった。……と思われたのでありましたが……。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
超文明日本
点P
ファンタジー
2030年の日本は、憲法改正により国防軍を保有していた。海軍は艦名を漢字表記に変更し、正規空母、原子力潜水艦を保有した。空軍はステルス爆撃機を保有。さらにアメリカからの要求で核兵器も保有していた。世界で1、2を争うほどの軍事力を有する。
そんな日本はある日、列島全域が突如として謎の光に包まれる。光が消えると他国と連絡が取れなくなっていた。
異世界転移ネタなんて何番煎じかわかりませんがとりあえず書きます。この話はフィクションです。実在の人物、団体、地名等とは一切関係ありません。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が1つ。それは今私が居るのは天正何年?
俣彦
ファンタジー
旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になった私。
武田家の当主として歴史を覆すべく、父信玄時代の同僚と共に生き残りを図る物語。
大日本帝国、アラスカを購入して無双する
雨宮 徹
歴史・時代
1853年、ロシア帝国はクリミア戦争で敗戦し、財政難に悩んでいた。友好国アメリカにアラスカ購入を打診するも、失敗に終わる。1867年、すでに大日本帝国へと生まれ変わっていた日本がアラスカを購入すると金鉱や油田が発見されて……。
大日本帝国VS全世界、ここに開幕!
※架空の日本史・世界史です。
※分かりやすくするように、領土や登場人物など世界情勢を大きく変えています。
※ツッコミどころ満載ですが、ご勘弁を。
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
旧陸軍の天才?に転生したので大東亜戦争に勝ちます
竹本田重朗
ファンタジー
転生石原閣下による大東亜戦争必勝論
東亜連邦を志した同志達よ、ごきげんようである。どうやら、私は旧陸軍の石原莞爾に転生してしまったらしい。これは神の思し召しなのかもしれない。どうであれ、現代日本のような没落を回避するために粉骨砕身で働こうじゃないか。東亜の同志と手を取り合って真なる独立を掴み取るまで…
※超注意書き※
1.政治的な主張をする目的は一切ありません
2.そのため政治的な要素は「濁す」又は「省略」することがあります
3.あくまでもフィクションのファンタジーの非現実です
4.そこら中に無茶苦茶が含まれています
5.現実的に存在する如何なる国家や地域、団体、人物と関係ありません
6.カクヨムとマルチ投稿
以上をご理解の上でお読みください
スーパー忍者・タカシの大冒険
Selfish
ファンタジー
時は現代。ある日、タカシはいつものように学校から帰る途中、目に見えない奇妙な光に包まれた。そして、彼の手の中に一通の封筒が現れる。それは、赤い文字で「スーパー忍者・タカシ様へ」と書かれたものだった。タカシはその手紙を開けると、そこに書かれた内容はこうだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる