14 / 17
武田を
しおりを挟む
森長可:高坂を繋ぎとめるには武田が必要と言う事か……。
真田昌幸:はい。
森長可:かと言って我らとのいくさの際、勝頼を見限った者を高坂は認めていない。
真田昌幸:はい。
森長可:……信玄の流れに限定されるのだよな?
真田昌幸:はい。
森長可:今すぐここ信濃に入っていただく事の出来る人物……。
真田昌幸:そうなります。
森長可:斯様な人物が居るのか?
真田昌幸:います。
森長可:其方が説得するのだぞ?
真田昌幸:可能性は十分にあります。
森長可:……其方と行き来をしている人物なのか?
真田昌幸:公ではありませんが。
森長可:誰である?
真田昌幸:森様がお認めになるのでありましたら。
森長可:……わかった。教えていただきたい。
高坂昌元を繋ぎとめるのに必要不可欠な武田を名乗る資格のある人物の名を聞く森長可。
森長可:確かだな?
真田昌幸:はい。
森長可:わかった。引き続き連絡お願い致す。
真田昌幸:わかりました。では高坂を呼んで参ります。
しばらくして。
「高坂昌元に御座います。」
森長可:高坂殿。よく参られた。
高坂昌元:遅くなりました事。深くお詫び申し上げます。
森長可:真田殿。出浦殿より話を聞いている。心配させてしまい申し訳ない。
高坂昌元:真田より話を伺いました。川中島を私に?
森長可:高坂殿に託そうと考えている事に間違いない。上杉との国境並びに海津城をお任せする。何なら春日山城が見える二本木の陣所を使っても構わない。
高坂昌元:流石にあそこを持ち堪えるだけの兵を私は持っていません。
森長可:と言う事は上杉との戦線を維持する事は?
高坂昌元:景勝が全ての兵を率いて来たら難しいかもしれませんが。
出浦盛清:景勝は魚津の接収に向かっています。柴田様の軍勢に損耗はありません。
真田昌幸:越後国内には新発田が蠢いている。しばらく我慢すれば上杉攻めは再開される。
森長可:美濃が落ち着いたら私も戻って来る。独りにはせぬ事約束する。
高坂昌元:そうなりますと……。
真田昌幸:森様が戻って来たら返さなければならないと考えているのでは?
高坂昌元:……はい。
森長可:いやそれには及ばぬ。私が信濃に戻ってきた後も、川中島は高坂殿にお願いする予定である。
高坂昌元:では森様は何処に拠点を構えようとお考えなのでありますか?
真田昌幸:その事なのでありますが、高坂殿。高坂殿は勝頼様への想いを断ち切る事は出来ていないでありましょう?
高坂昌元:……。
森長可:隠さなくても構わない。私も今、同じ境遇にある。
真田昌幸:その無念を晴らす機会と、今後高坂様の主君となられる方を用意しています。
高坂昌元:誰でありますか?
真田昌幸:この方であります。
高坂昌元:……わかりました。協力させていただきます。
真田昌幸:はい。
森長可:かと言って我らとのいくさの際、勝頼を見限った者を高坂は認めていない。
真田昌幸:はい。
森長可:……信玄の流れに限定されるのだよな?
真田昌幸:はい。
森長可:今すぐここ信濃に入っていただく事の出来る人物……。
真田昌幸:そうなります。
森長可:斯様な人物が居るのか?
真田昌幸:います。
森長可:其方が説得するのだぞ?
真田昌幸:可能性は十分にあります。
森長可:……其方と行き来をしている人物なのか?
真田昌幸:公ではありませんが。
森長可:誰である?
真田昌幸:森様がお認めになるのでありましたら。
森長可:……わかった。教えていただきたい。
高坂昌元を繋ぎとめるのに必要不可欠な武田を名乗る資格のある人物の名を聞く森長可。
森長可:確かだな?
真田昌幸:はい。
森長可:わかった。引き続き連絡お願い致す。
真田昌幸:わかりました。では高坂を呼んで参ります。
しばらくして。
「高坂昌元に御座います。」
森長可:高坂殿。よく参られた。
高坂昌元:遅くなりました事。深くお詫び申し上げます。
森長可:真田殿。出浦殿より話を聞いている。心配させてしまい申し訳ない。
高坂昌元:真田より話を伺いました。川中島を私に?
森長可:高坂殿に託そうと考えている事に間違いない。上杉との国境並びに海津城をお任せする。何なら春日山城が見える二本木の陣所を使っても構わない。
高坂昌元:流石にあそこを持ち堪えるだけの兵を私は持っていません。
森長可:と言う事は上杉との戦線を維持する事は?
高坂昌元:景勝が全ての兵を率いて来たら難しいかもしれませんが。
出浦盛清:景勝は魚津の接収に向かっています。柴田様の軍勢に損耗はありません。
真田昌幸:越後国内には新発田が蠢いている。しばらく我慢すれば上杉攻めは再開される。
森長可:美濃が落ち着いたら私も戻って来る。独りにはせぬ事約束する。
高坂昌元:そうなりますと……。
真田昌幸:森様が戻って来たら返さなければならないと考えているのでは?
高坂昌元:……はい。
森長可:いやそれには及ばぬ。私が信濃に戻ってきた後も、川中島は高坂殿にお願いする予定である。
高坂昌元:では森様は何処に拠点を構えようとお考えなのでありますか?
真田昌幸:その事なのでありますが、高坂殿。高坂殿は勝頼様への想いを断ち切る事は出来ていないでありましょう?
高坂昌元:……。
森長可:隠さなくても構わない。私も今、同じ境遇にある。
真田昌幸:その無念を晴らす機会と、今後高坂様の主君となられる方を用意しています。
高坂昌元:誰でありますか?
真田昌幸:この方であります。
高坂昌元:……わかりました。協力させていただきます。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
織田信長IF… 天下統一再び!!
華瑠羅
歴史・時代
日本の歴史上最も有名な『本能寺の変』の当日から物語は足早に流れて行く展開です。
この作品は「もし」という概念で物語が進行していきます。
主人公【織田信長】が死んで、若返って蘇り再び活躍するという作品です。
※この物語はフィクションです。
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

旧式戦艦はつせ
古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。
梅すだれ
木花薫
歴史・時代
江戸時代の女の子、お千代の一生の物語。恋に仕事に頑張るお千代は悲しいことも多いけど充実した女の人生を生き抜きます。が、現在お千代の物語から逸れて、九州の隠れキリシタンの話になっています。島原の乱の前後、農民たちがどのように生きていたのか、仏教やキリスト教の世界観も組み込んで書いています。
登場人物の繋がりで主人公がバトンタッチして物語が次々と移っていきます隠れキリシタンの次は戦国時代の姉妹のストーリーとなっていきます。
時代背景は戦国時代から江戸時代初期の歴史とリンクさせてあります。長編時代小説。長々と続きます。
浅葱色の桜
初音
歴史・時代
新選組の局長、近藤勇がその剣術の腕を磨いた道場・試衛館。
近藤勇は、子宝にめぐまれなかった道場主・周助によって養子に迎えられる…というのが史実ですが、もしその周助に娘がいたら?というIfから始まる物語。
「女のくせに」そんな呪いのような言葉と向き合いながら、剣術の鍛錬に励む主人公・さくらの成長記です。
時代小説の雰囲気を味わっていただくため、縦書読みを推奨しています。縦書きで読みやすいよう、行間を詰めています。
小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも載せてます。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる