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移送ルート
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少年「歴史漫画持って来るね……。」
戸田康光「頼む。」
少年「えぇっと……。松平広忠の居城岡崎から陸路で西郡。今の蒲郡市で良いのかな?に移動します。」
戸田康光「ここまでは当時、分裂していたが松平一族の土地を通る事になる。ルートに選定されて問題は無い。そこからはどうなっている?」
少年「そこから舟に乗り、田原に向かう事になります。」
戸田康光「岡崎から駿府に向かうのであれば、全て陸路が最も近く。天候にも左右され難い。たださっきも話したように東隣の牧野が松平の領地を狙っているため通るのは難しい。故に田原を通る事にしたのであろう。ただな。」
少年「どうしたの?」
戸田康光「駿府に向かうのであれば上陸地点は田原では無い。大津だ。」
今の愛知県豊橋市老津町付近にある地名。
戸田康光「そこから陸路で浜名湖の西岸にある吉美まで送り届ける役を担ったと伝えられているよな?」
少年「うん。そこで
『陸路は危険ですから海を使いましょう。』
と唆して家康を尾張に売り払った?」
戸田康光「と言われているよな?」
少年「うん。」
戸田康光「その時、大津から吉美までの陸路が危険であった事は事実である。それは認める。故に海路の方が安全であった。この事も認める。ただその原因となったのが……。」
戸田と今川の対立。
戸田康光「のちの家康となる人物が駿府に向かったのが1547年の8月。その前年の1546年。我らの権益となっていた今橋城は、今川の手によって落城した。しかし戦いは翌年以降も続いた。その舞台となったのが……。」
田原城。
戸田康光「田原城の戦いは1550年まで続いた。広忠の息子は今川義元の下へ移送される事になった。その役目を……。」
今川と敵対している相手に依頼するであろうか?
戸田康光「跡取りを人質に出す事は重大事も重大事。綿密なやり取りを経て実行に移されるべきもの。岡崎と駿府の間で頻繁にやり取りが交わされた事は容易に想像がつく。受け入れ態勢はどうなっているのか?待遇はどうなるのか?そして最も大事な事は……。」
安全に移動するにはどうするべきなのか?
戸田康光「うちは娘を広忠に嫁がせている。広忠の事を蔑ろにするつもりは無い。ただ広忠の倅は、娘の子では無い。知多半島で諍いとなっている水野の妹の子だ。加えてうちは今川といくさの真っ只中にあり、劣勢も劣勢。滅亡を覚悟しなければならない状況にあった。そんな人物に……。」
人質の移送を依頼すると思うか?
戸田康光「あり得ないだろ?」
少年「うん。」
戸田康光「実際はどうであったのかを次に話そうと思う。」
戸田康光「頼む。」
少年「えぇっと……。松平広忠の居城岡崎から陸路で西郡。今の蒲郡市で良いのかな?に移動します。」
戸田康光「ここまでは当時、分裂していたが松平一族の土地を通る事になる。ルートに選定されて問題は無い。そこからはどうなっている?」
少年「そこから舟に乗り、田原に向かう事になります。」
戸田康光「岡崎から駿府に向かうのであれば、全て陸路が最も近く。天候にも左右され難い。たださっきも話したように東隣の牧野が松平の領地を狙っているため通るのは難しい。故に田原を通る事にしたのであろう。ただな。」
少年「どうしたの?」
戸田康光「駿府に向かうのであれば上陸地点は田原では無い。大津だ。」
今の愛知県豊橋市老津町付近にある地名。
戸田康光「そこから陸路で浜名湖の西岸にある吉美まで送り届ける役を担ったと伝えられているよな?」
少年「うん。そこで
『陸路は危険ですから海を使いましょう。』
と唆して家康を尾張に売り払った?」
戸田康光「と言われているよな?」
少年「うん。」
戸田康光「その時、大津から吉美までの陸路が危険であった事は事実である。それは認める。故に海路の方が安全であった。この事も認める。ただその原因となったのが……。」
戸田と今川の対立。
戸田康光「のちの家康となる人物が駿府に向かったのが1547年の8月。その前年の1546年。我らの権益となっていた今橋城は、今川の手によって落城した。しかし戦いは翌年以降も続いた。その舞台となったのが……。」
田原城。
戸田康光「田原城の戦いは1550年まで続いた。広忠の息子は今川義元の下へ移送される事になった。その役目を……。」
今川と敵対している相手に依頼するであろうか?
戸田康光「跡取りを人質に出す事は重大事も重大事。綿密なやり取りを経て実行に移されるべきもの。岡崎と駿府の間で頻繁にやり取りが交わされた事は容易に想像がつく。受け入れ態勢はどうなっているのか?待遇はどうなるのか?そして最も大事な事は……。」
安全に移動するにはどうするべきなのか?
戸田康光「うちは娘を広忠に嫁がせている。広忠の事を蔑ろにするつもりは無い。ただ広忠の倅は、娘の子では無い。知多半島で諍いとなっている水野の妹の子だ。加えてうちは今川といくさの真っ只中にあり、劣勢も劣勢。滅亡を覚悟しなければならない状況にあった。そんな人物に……。」
人質の移送を依頼すると思うか?
戸田康光「あり得ないだろ?」
少年「うん。」
戸田康光「実際はどうであったのかを次に話そうと思う。」
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